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DX読書日記#10 『DX人材の教科書』 石井大智・鶴岡友也

はじめに

引き続きDX人材に関する本を読んでいこうと思っていますが、
タイトルだけで選んだだめ、少し想定と違う本を購入してしまいました。

ただ、大変良い本でしたので、紹介させていただきます。

株式会社STANDARDのCEO石井大智氏とCTO鶴岡友也氏による、「DX人材の教科書」(2021年)という本になります。

STANDARD社は、もともと学生ベンチャーで、2017年創業の大変若い会社です。
後輩のために作ったAI開発の教材に対して、大手の通信会社から社内研修で使わせてほしいと要望があったことが創業のきっかけだそうです。

今では、日本の大企業を中心に、480社以上に、DX推進の支援をしているという、素晴らしい会社です!

本書は、とても分かりやすく、説明も丁寧で、大変好感が持てるものです。
同社が、短期間の間に顧客を増やせているのも納得です!

本書の概要

著者は、日本企業のDXが遅れてしまった一番の理由として「デジタル技術を活用できる能力のある人材が社内にいない」こと、
その背景に、多くの日本企業が、情報システム部門をコストセンター的に扱い、外部化を進めてきた歴史があることを挙げています。

また、この状況に対して、デジタル技術を付加価値に変換できる「ビジネスサイドのDX人材」を社内で育成していくことが必要で、
理想的には、全社員がDXの基礎的なリテラシーを身に着けるべきとしています。

デジタル化する社会では、顧客のニーズの変化に合わせて、よりスピーディーにサービスを変えていかないといけません。
(中略)
全体の構造として、「ビジネスサイドにはデジタル技術を活用できる人材がいなく、エンジニアサイドにはビジネスを理解している人材がいない」という、いわば分断状態になっています。
(中略)
いまの日本には「デジタル技術と現場の課題を結びつける人材」が相当不足しているわけです。
(中略)
より深刻なのは、「ビジネスサイドの人材不足」というのが本書の問題意識のコアなのです。

『DX人材の教科書』から抜粋

本書では、上記の問題意識の下、「ビジネスサイドのDX人材」に必要な知識やマインドセット等について解説しています。

本書の構成は以下の通りです。

目次

第1章 DX人材なしでは、今後のビジネスは成功しない
DXの必要性や人材不足の現状、DX人材に求められるスキルを解説

第2章 DXを難しく考えるな!目的はシンプルに「顧客に価値を与えること」
DXの意味や具体的に何をすればいいのかを解説

第3章 「企画・組織・開発」3つの失敗を乗り越えればDXは成功する
DXの推進を阻むハードルとその乗り越え方を解説

第4章 DXプロジェクトの「企画力」がすべての社員に求められる
DXプロジェクトの企画を考えるプロセスを解説

第5章 脱・DXごっこ!価値あるPoCを進める方法
「PoC(概念実証)から次のステップに進めない」という課題の原因と対処法を解説

第6章 必ず身に着けるべき「アジャイル型のマインドセット」とは?
アジャイル型のマインドセットを持ち不確実性をコントロールしながら成果を出す方法を解説

第7章 9業界・45個の業界別DX事例から学ぼう
プロジェクト企画のヒントになるようなDX事例を解説

『DX人材の教科書』から抜粋

おわりに

簡単ですが、本書の紹介は以上です。

最初、不思議だったのは、アマゾンでの評価です。
私は素晴らしい本と思いましたが、アマゾンでの評価はそれほど高くありません。
カスタマーレビューからは、内容的に物足りなさを感じる読者が一定数いるようでした。

原因として想定したのは、本書のターゲットとタイトルのミスマッチです。

本書のターゲット読者は、これからDXに取り組むビジネスパーソンです。
ターゲットとするDXプロジェクトも、比較的小規模な、AI活用やソリューション導入等のプロジェクトということだろうと思います。

その意味で、本書のタイトル「DX人材の教科書」は、少し曖昧だったのかもしれません。
「ビジネスパーソンのためのDXプロジェクト超入門」くらいだったらアマゾンでの評価も上がったのではと思いました。

内容に目新しさはないかもしれませんが、このデジタル時代において、
日本企業の全社員が身に着けるべき基礎的なリテラシーのベースラインを、
著者が形にしてくれたことは間違いないでしょう。
(しかも、とても分かりやすい形で)

いずれにしても、同社のような学生ベンチャーがどんどんでてきてくれたら
日本の未来も明るいかもと思いました!

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