見出し画像

DX読書日記#16 『DXナビゲーター』 カロリン・フランケンバーガー他

これからしばらくの間、いわゆる「DX戦略」の本を読んでいこうと思います。
今回ご紹介するのは「DXナビゲーター」(2021年)という本です。
DX関連の本は多数ありますが、本書が私の「イチ押し」です!

著者は、ザンクトガレン大学常勤教授で、同大学経営戦略研究所所長、エグゼクティブMBA学部長のカロリン・フランケンバーガー教授と、その他の皆さんです。

本書の原題は「DXのジレンマ The Digital Transformer’s Dilemma」です。
クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」から着想を得たとのことですが、本書はDXにおいてクリステンセンのジレンマに対する解決方法を提示するものといってよいでしょう。

本書の構成は以下のようになっています。

目次
日本の読者のみなさんへ
監訳者より
Introduction
中核事業のデジタル化は必要だが、会社の命運を握るのは真新しい破壊的なビジネスだ
生き残るには2種類の事業変革を
世界を飲み込むソフトウェアの波 – 適応方法がわからないままの企業
DXのジレンマ:中核事業を活性化させながら、破壊的な新製品や新サービスを立ち上げる
ほかのDX関連書籍には書かれていないこと
なぜ、どのようにして、本書ができたのか
パンデミックとDX
成功は同じではない – 旧世界と新世界でルールは異なる
ゴミ。かず。くず。廃材。廃品。廃棄物。がれき。がらくた。

Part 1 WHY TO ACT なぜ行動するのか?
Chapter 1 行動か倒産か、決断のときがきた

会社が抱える「Why」の課題を認識する
まず何よりも先に、自社が「取り組む理由(Why)」を理解する
変革失敗がまだまだ普通 – だが、失敗を避ける手はある
倒産を避けるための最新の流行は「両面の事業」の同時進行
参考事例(写真業界)

Part 2 WHAT TO DO 何をするのか?
Chapter 2 戦略、ビジネスモデル、各種デジタル施策の対立を止め、結束させる方法

会社が抱える「What」の課題を認識する
バラバラに戦略策定しない! – 両事業にまたがる包括的な戦略策定
包括的なデジタル戦略
戦略から具体的なプロジェクトに移る際に、企業が忘れがちなもの
ビジネスモデルイノベーションを通して競争優位性を得る
取り残されないために
参考事例(印刷機業界)

Part 3 HOW TO DO IT どのように実現するのか?
DXの「ハード面」の要素を把握する
Chapter 3 組織:柔軟な組織を構築するには?
会社が抱える組織の課題を認識する
え、両利きの何?
1つの夢のプロジェクトを求めるのでなく、複数の取り組みでイノベーションを進める
まずいかりを下ろし、それから出航 – 現在と未来のデジタル施策の位置づけ
同じ港にいる別のDXの船と関係を築く
企業内でS1曲線とS2曲線の仲を取り持つ
取り残されないために
参考事例(電力業界)

Chapter 4 テクノロジー:変革の推進力としてテクノロジーを活用するには?
会社が抱えるテクノロジーの問題を認識する
流行り言葉に惑わされずに、テクノロジーの本当の意味をつかむ
ITとテクノロジーはイコールではない
S1曲線とS2曲線のテクノロジーの緊張関係に対処する
取り残されないために
参考事例(インドネシア)

Chapter 5 プロセス:どのように目的を達成するか?
会社が抱えるプロセスの課題を認識する
DXに積極的に着手する
DXを積極的に推進する
S1曲線とS2曲線のプロセスの緊張関係に対処する
取り残されないために
参考事例(オランダ)
DXの「ソフト面」の要素の前に

Chapter 6 リーダーシップ:何をリーダーに求め、どのようにリーダーを探すか?
会社が抱えるリーダーシップの課題を認識する
DXの成否はリーダーで決まる
リーダーについて徹底的に理解する
望まれるリーダーシップの特性とは
望むリーダーを見つけるには
S1曲線とS2曲線のリーダーの緊張関係に対処する
取り残されないために
参考事例(タイヤ製造販売業)

Chapter 7 人材:何を人材に求め、未来の戦力をどう構築するか?
会社が抱える人材の課題を認識する
DXの成否は人材にも左右される
人材について徹底的に理解する
望まれる人材の特性とは
DXの人材を見つけるには
S1曲線とS2曲線の人材の緊張関係に対処する
取り残されないために
参考事例(アパレル業界)

Chapter 8 文化:どのように組織を活気づけ、団結を促進するか?
会社が抱える文化の課題を認識する
先入観を捨てて、文化の意味するところをつかむ
新しいマインドセットに向け思考を変える – 文化の方程式その1
業務のしくみとやり方を変更し行動様式を変える – 文化の方程式その2
S1曲線とS2曲線の文化の緊張関係に対処する
取り残されないために
参考事例(郵便業界)

Part 4 WHERE TO SEE RESULTS どこで結果を見るか?
Chapter 9 楽しむためではなく、結果を求めて実行する

会社が抱える「Where」の課題を認識する
KPI品目リストから戦略的なKPI設定へ
目標と事業計画書はもう古い – 目標と事業計画書は永遠に
失敗、また失敗、そしてよくなる
透明性は伝言ゲームに勝る
責任の押しつけ合いをやめ説明責任を明確にする
「ブーメラン効果」に目をつける
取り残されないために
参考事例(銀行業界)

Conclusion
すべてを組み込んで企業は生まれ変わる

『DXナビゲーター』から抜粋

本書が特徴的なのは、他のDX戦略本の多くが「Why」を中心に書かれていることに対し、本書が「How」実際にどのように変革を行うのかを中心に書かれているということです。

本書は、極めて実践的な内容となっていますが、それだけでなく、それが検証されたものであるということも、他のDX戦略本にはない特徴といってよいのではと思います。

企業でDXプロジェクトを率いた経営幹部と現場リーダーに取材を行い、100を超えるケーススタディをまとめあげた。
これをもとに構築した私たちのDX実施フレームワークを沢山の検証ユーザーに繰り返しテストし、得られたフィードバックをまた反映した。

『DXナビゲーター』から抜粋

本書は間違いなくDX戦略本の決定版と思います。
皆さんに是非お読みいただきたい一冊です。


この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?