DX読書日記#17 『DX戦略立案書』 デビッド・ロジャーズ
今回は「DX戦略立案書」(2021年)という本を読みました。
著者はコロンビア大学経営大学院教授のデビッド・ロジャーズ氏です。
コロンビア大学経営大学院では、エグゼクティブ向けの教育プログラムのファカルティ・ディレクター(学部長?)として、主にデジタル・ビジネスおよびデジタル・マーケティングを担当されているそうです。
本書では、デジタルが変化させている5つの戦略領域(顧客、競争、データ、革新、価値)について、フレームワークを示しながら解説しています。
デジタル経営変革のためのプレイブック
顧客
戦略的テーマ：顧客ネットワークを活用する
主となる概念：消費者行動ファネルの再構築、購入までの道筋、顧客ネットワークにおけるコア活動
競争
戦略的テーマ：製品だけでなくプラットフォームを構築する
主となる概念：プラットフォームによるビジネス・モデル、直接的(間接的)ネットワーク効果、仲介機能(中抜き)、競争力のある価値連結
データ
戦略的テーマ：データを試算に変える
主となる概念：データの価値の類型、ビッグ・データの原動力、データに基づく意思決定
革新
戦略的テーマ：スピーディーな実験でイノベーションを起こす
主となる概念：分散型(探索型)実験、収斂型(検証型)実験、実用最小限の機能を盛り込んだプロトタイプ、事業規模拡大に向けた道筋
価値
戦略的テーマ：価値提案を時代に適応させる
主となる概念：市場価値という概念、衰退市場からの撤退、価値提案の進化のステップ
本書の構成はこのようになっています。
目次
序
訳者まえがき
1 デジタル経営変革に関する5つの領域 顧客、競争、データ、革新、価値
デジタルに関する盲点を克服する
デジタルが変化させている5つの戦略領域
デジタル経営変革のためのプレイブック(戦略立案書)
自分自身のデジタル経営変革をスタートさせる
本書の各章に関するガイド
2 顧客ネットワークを活用する
顧客について再考する
顧客ネットワークのパラダイム
マーケティング・ファネルと購入経路
5つの顧客ネットワーク行動
ツール：顧客ネットワーク戦略ジェネレーター
顧客ネットワークにおける組織の課題
3 製品だけでなくプラットフォームを構築する
競争について再考する
プラットフォームの勃興
プラットフォームのビジネス・モデルとは何か
プラットフォームの共創上の効用
プラットフォームの間の競争
ツール：プラットフォーム・ビジネス・モデルマップ
競争地図に起きつつある変化
ツール：競争のバリュー・トレイン
競争における組織上の課題
4 データを資産に変える
データについて再考する
無形資産としてのデータ
どんな企業もデータ戦略は必須
ビッグ・データのインパクト
必要なデータをどこで見つけるか
顧客データを事業価値に変える4つのテンプレート
ツール：データ・バリュー・ジェネレーター
データに関する組織的課題
5 スピーディーな実験で革新を起こす
イノベーションを通して株価プレミアムを高める：イントゥイットの物語
実験とは学びのこと
2種類の実験
実験の7つの原則
ツール：収斂型実験法
ツール：発散型実験法
イノベーションを拡張する4つの経路
イノベーションにおける組織の課題
6 価値提案を時代に適応させる
価値の再考：あなたはどんな商売をしているのか
縮小する市場から抜け出す3ルート
必要性に迫られる前に刷新しよう
市場価値の5つのコンセプト
ツール：価値提案計画(バリュー・プロポジション・ロードマップ)
価値提案を時代に適応していく際の組織的な課題
7 破壊的なビジネス・モデルを使いこなす
破壊の定義
デジタル時代の破壊
破壊理論
破壊のビジネス・モデル理論
デジタル型破壊者：iPhone, Netflix, ワービー・パーカー
ビジネス・モデル破壊理論における3つの変数
ツール：破壊的ビジネス・モデル・マップ
ツール：破壊的レスポンス・プランナー(破壊的脅威に対する対応策プランナー)
破壊を越えて
結論
自己診断：デジタル経営変革にむけて準備ができているか？
戦略立案のためのツール紹介
参考文献
索引
本書では、DXの戦略レベルを大変分かりやすく整理しています。
「実験」をDXにおける重要な要素として、このような形で取り上げているのは他の本にはない特徴と思いました。
著者の顧客ネットワークや破壊理論も楽しめます。
戦略立案のためのツールも著者のサイトで紹介されていました。
本書を購入していない方にもダウンロード可能なようです。
https://www.davidrogers.biz/tools-resources/
皆さんにお奨めできる一冊と思います。
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