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目的・目標を考える

 僕は高校の野球部の生徒のトレーニング指導を不定期でしていますが、その中で日々思うことがあります。それは、「目的・目標」が定まっていないということです。漠然と甲子園という目標だけ持ち、日々の練習をなんとなくこなして、結果に対する反省も行わずに気が付けば3年間が終わっている。これは、僕自身の失敗談でもあり、今の現役生にも共通して言えることだと感じています。

 物事はなんでもそうですが、理想とする自分があって初めて、それに近づくためにはどんな能力が必要で、その能力を得るためにはどんな要素のトレーニングを取り入れるべきなのか、それを考えることで目の前のやるべきことが視えてきます。

 これはチーム単位で考えれば、全国大会という理想に対してどんな選手や戦術が必要で、それを強化するためにはどんな練習が必要か考えるということが大切であるわけです。

 あらゆる方面でのパフォーマンスが求められるスポーツが多いですが、野球を例に出して考えると、大まかに「打つ」「投げる」「走る」「守る」という要素があり、それぞれで求められる筋肉の使い方や能力は異なります。それの全てをまんべんなく強化しようと思えば、なにから手を付けていいかわかりません。その結果が、昔から伝統的に言われている「野球選手は足腰が大事やから走り込め!」「力を伝えるのに体幹が大事やから腹筋しろ!」というような、漠然としたトレーニング方針に陥るわけです。

 もちろん走り込みに意味がないとは言いませんが、失点は少ないのに得点を取れずに負けてしまう、明らかに打撃を強化すべきチームにおいて「走って足腰を鍛えろ」というのは明らかに非効率的で遠回りです。また、同じ状況のチームで「守備やバントやエンドランなどのスキルや戦術の練習」に重きを置いて練習するのも「今はそこちゃうやろ!」となります。

 得点を取るにはなにが必要なのか。出塁率や長打率、四死球数、犠打や走塁、盗塁などの要素が必要になります。安打や長打を増やすためには体重やスイングスピード、コンタクト率、配球を読む力などが必要になるでしょう。それらを強化するためには、脚の筋力はもちろんのこと、腹斜筋の使い方やバットの出し方など神経の要素も鍛える必要があるでしょう。漠然と走りこんで素振りを200~300回やっても、スイングスピードに関わる筋力が鍛えられるわけではないので、変化する量は乏しいわけです。

 つまり目的・目標を定めるということのメリットは、今すべき練習、今鍛えるべき能力の優先順位をつけられるということです。


まとめ

1. 理想とする自分の姿など目標を明確にする(短期・長期)
2. 理想に近づくためには、どのような要素、能力が必要か考える
3. その能力を獲得するために必要な練習、トレーニングを考える
4. その中で優先順位をつけてトレーニングする


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