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アメリカもかつては「終身雇用」だった

昨今、終身雇用の崩壊やら転職の領域が盛り上がっていると感じています。

そんな中、終身雇用・年功序列を前提とした「日本的雇用」と、新卒一括採用はなく、ジョブポジションによって人材を採用する「アメリカ的雇用」の2つが話題に上がります。

しかしかつてのアメリカも終身雇用前提の働き方だったこと。
今の働き方になったのは必然的にそうせざる終えなかったということ。

これからの日本も、産業構造の転換、技術革新の速さ、さらにグローバル化の三重苦の中で、これまで守ってきた働き方を転換させなければならない局面であるということ。

これらの一連の流れを簡単に理解できる参考文献をまとめました。

アメリカでの終身雇用・年功序列

20世紀前半〜1970年代
今ほど競争環境が激しくなかったため、同じものを「長期にわたって」「ゆるやかに改良しながら」「大量に」製造し、販売した企業が多くの富を獲得していました。工場で物を作るわけですから、大量の人間を雇用することが必要になります。
また、同じものをゆるやかに改良しながら大量製造するわけですから、同じ人にずっと担当をしてもらった方が良いわけです。すなわち、「新卒一括採用」かつ「終身雇用」という雇用体制が最も合理的である、という結論が導き出されます。
また、長期に渡って在籍してくれた社員であればあるほど、多くの価値を発揮できますので「年功序列」「年功賃金」が合理的な判断となります。
当然、労働者としては、大企業に採用してもらい、そこで長期に渡って働くことが、最も合理的で期待生涯収入が高い“働き方”になるわけです。当時の若者は、こぞって大企業に入社することを希望しました。すなわち、個人の人生は企業に従属していたわけです。これを、“企業従属の働き方”と呼ぶことにしましょう。

終身雇用の崩壊と汎用仕様①

60年代までは、アメリカでも一つの会社で生涯を過ごす終身雇用が当たり前だった。(親子孫三代が同じ会社で働くことも珍しくなかった。)
それが70年代以降、日本のメーカーをはじめとする海外企業との競争で業績が悪化すると、家族経営を信条としていたIBMやコダック、AT&Tなどの大企業は大規模なリストラに追い込まれ、終身雇用や年功序列は瞬く間に消滅した。
いまでは全ての会社が、いつでもどこでも交換可能な”汎用仕様”のマニュアルで運用され、労働者の価値観も変わり、自分たちが”サラリーマン”だった時代があったことすら覚えていない。
わずか40年ほど前のことなのに。

終身雇用の崩壊と汎用仕様②

アメリカは1920年代から世界の工場と言われて、大国として成長していったわけです。戦後も冷戦構造を背景に軍需産業が急激に伸びた。ところが1970年代から80年代にかけて、その成長が止まってしまった。
何が起こったか。日本のような新興国が登場して製造業が通用しなくなったんです。で、産業をどうするかという課題に直面して選択したのが、二次産業から三次産業にどんどんシフトするということであり、それと同時に終身雇用から流動性を担保する労働市場へのシフトを行うことだった。
当時のアメリカの中心を担った企業といえば、GM、クライスラー、GE、IBM、コダック、ゼロックスなど。いまはどうなったか。GM、クライスラー、コダックは潰れた。GEやIBMのように金融やメディカル機器会社、コンサル会社に脱却しなかった企業はすべて潰れたわけですよ。それはどういうことかというと、今の日本の流れと似ているじゃん、ってこと。


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