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思考が生み出す価値を5つに分類してみた。

今回は、思考MAPを作成した際の最初の作業を紹介していきます。

そもそも、なぜ考える力を鍛える必要はあるのか?
その目的から整理してみました。

まず、思考が生み出す価値(事業への貢献)を4分類にしてみた。

これが4つの分類です。(あとで、もう一つ増えます)
① 0→1  新規事業を創る/新商品・サービスをヒットさせる
② 1→10 事業を成長させる/売上をアップさせる
③ not 1→1 トラブルを解決する/昨年対比との差を埋める
④ 1→1 予定通り、タスクを遂行する/マニュアル通り運用する

左側に価値の生み出し方を整理しています。
読み方は、下から
1→1(イチイチ)
not 1→1(ノットイチイチ)
1→10(イチジュウ)
0→1(ゼロイチ)
と読んでいます。
それでは、一つずつの意味を説明していきましょう。

当たり前のことを、当たり前に行う1→1人材
これは、本来1ある価値のものを1として、実行するということを意味しています。
例えば、予定通り、タスクを遂行する。マニュアル通り運用するものです。

新入社員で仕事を始めた時は、これが求められるのではないでしょうか?
また、運用系の仕事においては、1→1をミスなくこなすことが大切になってきます。

次が、not 1→1です。
これは、本来あるべき1の価値が毀損している状況になっている、つまり(not 1)という悪い状況に陥ってしまっているので、その状態を1に戻すというものです。

具体的には、トラブルを解決する、昨年対比との差を埋めるというものです。ネガティブな問題が発生した時に、その問題を認識し、その問題を解消して、基の状態に戻すものです。
何か問題あれば、その問題を解決して、基の姿に戻すというものです。これは、狭い意味での問題解決と言えるかもしれません。

すでにある価値をさらに成長させる1→10人材
これは、1ある価値を10まで持っていくというもので、事業を成長させる。売り上げを上げるというものです。既存事業として、既にある程度の規模があるものを、さらに大きく成長させるというものです。ここでは、1→10人材と呼んでいますが、実際には、1→100、1→1000を実現することも可能です。

新しい価値を生み出す0→1人材
その名の通り、0から1を生み出す人材で、新規事業を創る、新商品・サービスをヒットさせることができます。
全く何もない状態から、1を生み出す人材がこれにあたります。

この4分類の中で、思考MAPでは「0→1人材」「1→10人材」にフォーカスを当てていきます。

●「0→1人材」「1→10人材」にフォーカスを当てる理由
その理由は、大きく2つあります。

その一つは、単純に今、経営・人事の現場で興味度が高いからです。
右肩上がりの経済では、「not 1→1人材」の育成がメインになっていたように思います。目指すべき成長に対して、いかにキャッチアップするかが大切でした。

しかし、今は違います。
既存事業の閉塞感が強い中で、どうやって事業を成長させるかが最重要課題です。

そして、2つ目の理由が、上2つと下2つに求められる思考法が根本的に違うことです。 

●思考のトレーニングは、大きく2つに分類できる

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違いは、思考の起点です。

違いは、上2つは、現時点が基点になっているのに対して、下2つに関しては、将来(あるべき姿)が基点になっています。
思考のきっかけをどこに持つかという点で、全く違う思考法になっています。

●あるべき姿と現時点の差を埋めるGAPアプローチ

下にある③④の思考法は、あるべき姿が起点になります。

一番下にある④の1→1は、本来1の価値がある事を、そのまま実現するというものですので、あるべき姿が規定されています。既にあるべき姿を決まっていますので、その姿をどう実現するのか考えていく形となります。

下から2番目にある③not 1→1についても、同様の流れになってきます。あるべき姿は見えているが、現状はその姿を実現できていないため、その差を埋める思考の流れとなっています。
思考としては、あるべき姿から現状のGAPを埋めていきます。

このように、上記2つは、あるべき姿から現状の差(GAP)を埋めていきますので、この2つをGAPアプローチと呼ぶことにします。このGAPアプローチの本質は、その名の通り、GAP(差)を埋めることにあります。

●現時点から、不確実な中で未来を切り拓くブレークスルーアプローチ

一方、③④の思考法は、現在を基点して考えます。

1→10は、今は、1の価値だが、10の価値をどうやって生み出すのかという思考法でした。この場合、現時点で1の状態という中で、なんとか価値を上げて10の状態を創り出したいというものです。将来の状態の予想はできませんが、なんとか将来において、ブレークスルーを起こしたいと思考を進めます。

0→1は、何もないところから、1の価値をどうやって生み出すのか?という風に、
現時点では予測できない未来で、いかにブレークスルーを起こすかという点で、ブレークスルーアプローチと呼びたいと思います。
このブレークスルーアプローチの本質は、未来を切り拓くことにあります。未来が見えない中で、どの方法に進んでいくのか決断しなければなりません。

ここまで「0→1」「1→10」にフォーカスを当てる理由をまとめてきました。理由としては、その1、注目が高い、その2、求められる思考法が違うという点がありました。


●「0→1」「1→10」を更に細分化する。
ここまで、「0→1」「1→10」人材育成の必要性を述べてきましたが、この話をIT企業の企画部長にしたところ、こんな反応が返ってきました。

「確かに、思考法としてGAPアプローチとブレークスルーアプローチに分けることには、納得感がある。ただし、事業を成長させたいという人材が0→1と1→10の2パターンでは、少し分類が粗いのではないか?事業や商品の置かれた状況に応じて、求められる思考法は、もう少し他のパターンがあるかもしれない」

●「0→1」「1→10」を更に要素分解する
そんなご意見を頂きながら、整理したマップが下の表になります。
事業を成長させたいというビジネスパーソンを分類してみました。

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この表では、事業を成長させたいという人を分類しています。

まず、最初に2つに分類させていて、1つは企業人、もう一つは起業家です。今回は、企業内人材育成をテーマにするため、起業家は、今回は、対象外とします。

更に、企業人を分解していきます。
最初に、既存事業と新規事業に分解します。既存事業の商品・サービスを更に成長させたいのか、それとも、新規事業を創っていきたいのかの2つです。

●更に、既存事業を2つに分解することができます。
一つは、これまでの延長線上で社内コンフリクトなく戦う1→10人材です。

もう一つが、既存事業でも、これまでを否定する戦い、つまり、社内コンフリクトがありながら価値を創る人材です。つまり、今、1ある価値を壊し、0にいったん戻して10に伸ばしていく。こちらを1→0→10人材と呼びたいと思います。

1→10人材に関しては、既にある商品・サービスを更に普及することを目指していきます。

一方で、1→0→10人材に関しては、既存のビジネスを一度壊しながら、10に成長させるということを意味しています。この場合、商品・サービスの内容を変更したり、ビジネスモデルを変えながら、事業を成長をさせていきます。

このように、同じ既存事業の成長という意味でも、2つに分類することにします。それぞれで違った思考法が求められてくるため、分けて考えるようにします。

そして、3つ目が企業内で新規事業を行う0→1人材です。企業内のリソースを使いながら、0から1を生み出す人材を意味しています。

●皆さんがなりたいゴールがどのタイプですか?
さて、皆さんの会社、もしくは、皆さん自身は、どのような課題感をお持ちなのか、ぜひ、一度考えてみてください。
ここに、2つの質問を用意しましたので、ぜひご参考にしてください。

質問1、あなたの会社では、どのような人材を育成したいでしょうか?もしくは、あなたは、どのような人材になりたいでしょうか?これまで、ご紹介してきた5つの人材タイプの中から、選択してみてください。
(5つの人材タイプ)
     0→1人材
     1→0→10人材
     1→10人材
     not 1→1人材
     1→1人材

質問2、そのタイプを育成するにあたっての課題は何ですか?
    伸ばしたい自社社員(あなた)の強み
    改善したい自社社員(あなた)の弱み

   

この二つの質問を通じて、これからの人材育成を考えてみてはいかがでしょうか。

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