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給料の交渉をするべき3つの理由

給料の交渉と聞くと、難しそうだと感じたり、自分とは関係のない事だと考える人が多いのではないでしょうか。特に、今まで給料の交渉をやったことがない人や、慣れていない人にとっては、給料の交渉をやると上司や面接相手にマイナスな印象を与えてしまうのではないかと気が引けるか方も多いと思います。しかし、給料の交渉は就職、転職においてとても重要なプロセスです。このプロセスを怠ると、あなたの生涯賃金に影響がでるだけでなく、オファーをもらった仕事に対しても十分にコミットできず、会社にとってもマイナスになります。特に、海外での就職の場合や、外資系の会社に就職、転職する場合は給料の交渉をやるのが当たり前とされています。

では、具体的に、なぜ給料の交渉をすることが大事なのでしょうか?その理由は大きく3つあげられます。

理由1:給料の交渉をせずに逃した分の給料を取り戻すのに2年以上かかってしまう

まえに述べたように、給料や福利厚生について交渉をしなかった場合、多くの場合が実際のあなたの市場価値より低い内容になってしまいます。
米国の平均年収の増加が3%(つまりは年毎の昇給が3%で、普通に働いていると、一年ごとに給料の3%分の昇給があります。※実際の値は、インフレ率、また会社ごとに異なります)なので、もし最初の給料交渉の際に、10%低い給料を設定された場合、その分を取り戻すためだけに2年以上かかることになります。
また、さらに悪いことに、初めの転職の際に低めの待遇を受けると、その後の転職の時の結果にも影響する可能性があります。これは、一般に、転職後の給料は、現在の給料にくらべて、10〜20%増が目安と言われているからです(あとから説明するように、この上限をやぶって、自分の市場価値にもとづいた妥当な給料を交渉で勝ち取ることは可能です)。つまり、キャリアの初めの給料が低いと、その後の会社でも、本来もらえてるはずの給料より低いところからスタートすることになります。その影響が、キャリアを通じて積み重なると、生涯にわたる収入がに大きく影響することになります。

理由2:面接相手はあなたが給料交渉をすることを予測している

給料交渉に関しては、面接している担当の人事や、応募したポジションのチームマネージャー(つまり、入社後のあなたの上司。以下、マネージャー)は、候補者が給料の交渉をするのが当たり前と思っているケースがほとんどです。特に、給料の交渉は、あなたが面接を受ける仕事のポジション、役職が高くなるほど重要になってくるので、あなたが加わるチームのマネージャー自身が、高い確率で給料交渉を行って今のポジションについていると考えていいでしょう。
また、先に述べたように、会社側は相手が交渉をすることを前提で交渉を始めるため、会社側から最初に提示される内容は、大抵の場合低めに見積もられています。よって、面接の際に給料の交渉を切り出すことはまったく的外れでもなんでもありません。むしろ、給料の交渉をきちんとして、希望の給料と、なぜ自分がその内容の待遇を受けるに値するかという根拠を提示してくる候補者の方が、採用している側からみて有能でスキルが高いように写ります。結局、マネージャーはあなたの給料をポケットマネーから支払うわけではなく、会社が支払います。よって、支払う給料が高くても、能力や自信のある人材を雇ったほうが、より大きなチームのアウトプットが期待でき、チームのためにプラスになるということです。
また、給料の交渉をして具体的な希望内容を相手に伝えることで、あなたが応募したポジションについて真剣に考えていることを相手に印象づけることができます。海外では、人材の流動性が日本にくらべてすごく高く、職探しをしている候補者が面接のプロセスの途中で他の会社にオファーをもらい、もとの面接をキャンセルする場合が多々あります。一方、採用担当人事や、マネージャーにとって、採用のプロセスはかなりの労力と時間がかかります。よって、彼らが真剣に考えていると思う応募者に対してフォーカスし、積極的にアプローチする傾向にあります。

理由3:給料の交渉をしないと会社とあなたのどちらも損するLose-Loseの関係

もしあなたが給料の交渉を一切行わなかった場合を考えてみましょう。結果あなたは本来ならもらえるはずの給料より少なめの給料をもらい、本来ならもらえるはずのボーナス、有休がもらえなかったとします。
この場合、会社側が勝ち、候補者が負けるWin-Loseの結果に思えるかもしれませんが、それは間違いです。契約内容を満足するまで交渉せずに契約書にサインして入社した人の多くが、仕事に対して不満を持ちやすく、すぐに仕事を辞めるという傾向が、統計からもわかっています。この場合、会社はまた代わりの人を採用する必要があり、また多大な費用と労力をかけなければいけません。たとえすぐに代わりが採用できたとしても、トレーニングやオンボーディング(チームに加わるためのオリエンテーション)をまた初めから行わなければいけません。
そもそも、多くの場合、会社側はあなたが思っているよりももっと多い給料や待遇に対する予算を持っています。この予算は事前に割り当てられたもので、あなたの給料や待遇を常識的な範囲で増やすくらいはまったく問題ありません。それよりも、会社にとっては、あなたが満足いくフェアな内容の待遇をもらって、あなたが仕事を楽しみながら、長い間、集中して成果をだしてくれた方が有益です。

このように、転職や就職の時に、給料の交渉を行うことはとても大切です。しかし、初めて給料の交渉をやる人にとって、給料の交渉を正しく、効果的に行うのは難しいものです。もし、しっかりした、給料交渉の準備やノウハウを知らないまま、面接に挑むと、希望した内容が相手に受け入れられないのみならず、場合によっては応募中のポジションへのオファーを逃したりすることもあります。

「海外就職のための給料交渉完全ガイドブック」は、著者が複数の転職を元に蓄積した経験と、リサーチをまとめた、給料交渉を成功させたい人のための完全ガイドブックです。この本を読むと、面接の際の給料の交渉について、どうすれば納得の良く、フェアな給料が得られるかを知ることができます。私がこれまでに得た経験やノウハウが、海外での就職に挑戦しようとしている方々や、転職を考えている人が待遇交渉を上手く行えるような手助けになればと思います。

また、これから日本でも近年ジョブ型雇用が増えてきているので、日本での就職、転職の時にも給料の交渉が重要なスキルになると思われます。この本で述べたテクニックや理論は、国や会社に関係なく利用することができるので、海外への就職の場合のみでなく、日本での就職にも役に立つでしょう。

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次回:「いつ給料の交渉を行うべきか

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