研究日記8, 9月の報告書
7月末に仕事を辞めてから、なんだかずっと暑いような気がする。7月、8月、9月と長らく猛々しい夏の中にいる。思えば去年の今頃は「能面をつけて8人が暮らす集合住宅」のために、敷地とした三鷹の森に通っていた頃だった。汗をしっかりかいたあとのビールが美味かった。今年はまだ禁酒令の中にいる。酒を飲まない生活は、時間が長くてとても良いと思う。
8月中旬ごろ、仕事を辞めてからだらだらと過ごしすぎている気がして、3つの目標を立てた。第一に、酒をしばらく断つこと。第二に、毎日運動すること。第三に、Off-Realという最近おもいついたコンセプトの文章のための企画書をまとめること。
夏の半ばに突然激しい運動をやり始めたらすぐに体調を崩して数日熱が出た。体は夏の前までに鍛えておかねばならぬと知った。それ以来運動は少し控えているが(サーフィンをやろうとしたのだが、台風で流れてしまった)、ほかの2つは概ね達成した。
仕事を辞めてからいろんなものが変わった。まず「死にたい」とか「腕を切り落としたい」とか追い込まれることがなくなった。それから、毎日が不安定なことにとても喜びを感じる。安定した身分にいると自分が死ぬようで苦しい。職の展望もお金の展望も何もない状態のほうが、毎日が楽しい。前までは、仕事をするときも義務性が伴うから、机に向かうと頭痛と吐き気に襲われることも多かった。最近は気楽に釣りをしているような気持ちで、ふと思い立ったときだけ物を書き、アイディアを作っている。何故かそのほうが不思議と沢山できる。
本は本当にたくさん読むようになった。丸山眞男や小林秀雄や江藤純や西田幾多郎や鈴木大拙や和辻哲郎や九鬼周造など日本の哲学系がやや多め。思想史に興味があるのは、Off-Realというコンセプトについて理解を深めるため。忙しい周りの人が、時間があっても本を読む(おそらくは心の)余裕がないと言っていたし、僕も退職の前はあまり本を読めなかったから、読書量は心のお疲れ度のバロメーターかもしれない。
建築系の部局の仕事を辞めてから建築系とはほとんどかかわりがなくなった。僕って建築やってたんですっけ?という気持ちになることすらある。畑田くんのはからいでVRの人とよく話す。いろんなことが前向きに進んでいるような感じもする。
はじめてのVR学会のこと
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2025年3月に「夢における空間論」を書き上げるまで
旧「2023年3月に博士論文を書き上げるまで」。博士論文を書き上げるまでの日々を綴っていました。今は延長戦中です。月に1回フランクな研究報…
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