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2023年3月に「夢における空間論」を書き上げるまで

旧「2023年3月に博士論文を書き上げるまで」。博士論文を書き上げるまでの日々を綴っていました。今は延長戦中です。月に1回フランクな研究報告書がとどきます。どうVR×建築の研究が… もっと読む
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記事一覧

研究日記2024年4月の報告書

この4月のことこの1ヶ月は自分でも驚くほどに何もなかった。仕事が決まったりはしたし、研究員の仕事は(多少は)していたけれど、とにかく暇だけがあった。3月末から4月初旬にかけていくつかの重要なメール(その中には設計事務所で働いてみたいという相談のメールもあったし、頼まれていたことへの返答もあった)を送ったけれど、多くの人の4月の忙しさのせいか、メールの内容が悪いのか、ほとんど返信は返って来なかった。エアポケットに入りこんだように、ほとんど誰とも会わず、何も起きなかった。 本だ

研究日記2024年3月の報告書

今月は異様にのんびりしていた。ほとんど大人の夏休みだった。モラトリアム。もちろん仕事もしていたけれど、それよりも膨大に本を読み、展覧会を訪れ、いくつかの文章を書いた。たくさん読み、なにかを書いてみるほどに、自分が何を考えようとしているのかよく分からなくなった。たくさん考えたような気もするし、何も考えていなかったような気もする。時間は溶けた気もするし、長かったような気もする。一人になると、時間感覚はバグって長短のコントラストが異様にくっきりとして記憶が朧げになる。 そういう1

研究日記2024年2月の報告書

1. 東京都現代美術館での展覧会、大詰め現在、自作を3作品展示中の東京都現代美術館にて、2月23日、2月24日にギャラリーツアーを実施した。23日に1回、24日に2回実施し、各回ともに20人から30人の方が参加してくださったようだった。 3月2日にも1回、3月3日にも1回ギャラリーツアーを実施する。Virtual Renovationのデモも、特段トラブルがなければ、この機会にのみ体感してもらえる。 日時|①3月2日(土)16:00~ ②3月3日(日)17:00~ 各回1

研究日記2024年1月の報告書。

12月からコンペに取り組んでいるものの、うまくまとまらずにパニック気味。考えた内容やアイディアは沢山あってもプレゼンとしてうまくまとめられない。難しい。パニック気味な月末。 ツイートで自分を奮い立たせてみたが悪手だったかもしれん。 新建築の巻頭論考の執筆新建築の原稿を急に書くことになって、10日ほどで書き上げて一週間ほど細かくやり取りして校了した。内容は、博士論文で考えたことをまとめた。期間こそ短かったものの大変貴重な機会でありがたい限りだと思った。 そういえば、このn

研究日記12月の報告書

1. MOTでの展覧会東京都現代美術館の企画展「アニュアル展extra」にて、新作2つを含む3作品を出展している。 ひとつは博士論文をまとめ直した『歴史におけるVR的なもの』、2つ目は2019年のMR時代の都市構想『Virtual Renovation』(デモは新しく作り直した)、3つ目は新作のコンセプト『Off-Real』の展示である。 このnoteマガジンは「夢」についての原稿を今年度末までに書き上げることを目標としてきたが、美術館の展示という形で期せずして一つの段

研究日記11月の報告書

銭湯のすばらしさ。 銭湯にここ2ヶ月ほど通うようになったのだが、今までのどんなものより、快眠とストレス低減と自律神経の調整に効果がある感じがする。 最近、睡眠時間3-4時間でずっと1,2週間過ごしていて、いつもなら吐き気を催したりえづきまくったりするのだが、今回は全然そうならなかった。これも多分銭湯のおかげと思う。前までは、寝付けずストレスに感じることも多かったのだが、銭湯に行った日は間違いなくずっと深く眠れる。おすすめである。 温泉とかと比べて銭湯はやたらと温度が高い

研究日記10月の報告書

10月29日に誕生日を迎え、29歳になった。ほとんど仕事もないままに29歳となるとは思わなかった。フラフラしているといろんなプロジェクトによんではもらえる。しっかりしたものもあるしとてもいい加減なものもある。ほとんどはいい加減なものである。 お金も払わずに働かされることが多くて、さすがに疲弊してきた。不安定であることは特に気にならないし、まあいい加減であることも良いのだが、不安定は自分のためにあるときには贅沢でもあるけれど、時間を取られ二束三文に利用されしかし先が見えないと

研究日記8, 9月の報告書

7月末に仕事を辞めてから、なんだかずっと暑いような気がする。7月、8月、9月と長らく猛々しい夏の中にいる。思えば去年の今頃は「能面をつけて8人が暮らす集合住宅」のために、敷地とした三鷹の森に通っていた頃だった。汗をしっかりかいたあとのビールが美味かった。今年はまだ禁酒令の中にいる。酒を飲まない生活は、時間が長くてとても良いと思う。 8月中旬ごろ、仕事を辞めてからだらだらと過ごしすぎている気がして、3つの目標を立てた。第一に、酒をしばらく断つこと。第二に、毎日運動すること。第

研究日記6, 7月の報告書

ずいぶん書くのが遅くなった。6月はほとんど何も書けなかった。沈んでいたと思う。6月の中旬に東大の退職を決めて、7月の初旬からヨーロッパに2週間ほど行き、7月末に退職した。 退職のことについてどのように書けばよいのかいささか迷った。 書いて吐き出してしまいたい気持ちと、隠すべき経歴としてなかったことにした方が賢いのではないかという気持ちとの間でゆれた。ただ自分のメモとして言葉を書いてみても何か胸のつかえがとれなかった。抱えているものというのはそういうものだろうか。自分の情け

闘争と一瞬の花火としてのパリコレ〜ゲストとしての鑑賞とお手伝い

パリコレは一瞬の花火のような時間だった。 ブランドは半年ほど全身全霊で準備し、現場に入ってからも膨大な人がフランス語や英語や日本語を行き通わせながら準備する。設営はそのようにしてたくさんの人が、それぞれの持つ時間を溶け合わせるようにして進む。 ショー自体はたった10分か15分かそこらで終わってしまう。あまりに早く短く、しかし濃い。その前後の時間を体験できたのはとても幸運なことだった。このnoteでは、パリコレの体験とその前後について書く。 主にファッションを学ぶ人やもの

研究日記2023年5月の報告書

1. Podcast「だれかとどこか」のアップロード4月から東大の助教2人でひたすら議論するPodcastチャンネルを始めた。今月も無事に週ごとに4本の動画と音声をアップできた。1週か2週に一度くらいVRや能や夢について自由に議論する時間は、それ自体以上に、あとから見返す機会が貴重なものとなっている。自分が何を話していたのか、話していた時の記憶と記録は、まるで結びつかない。自分も自分の話から想像を深める。まるで刺激をそこに保存しておいておくような感覚がある。 編集は時間がか

研究日記2023年4月の報告書

少し前のnoteでこのマガジンは「2023年3月に博士論文に書き上げるまで」の延長戦として、「2024年3月に夢についての原稿を書き上げるまで」として継続することを決めた。少し遅くなってしまったけれど、長かった4月の間のことについて少し書いておきたい。 大学のことはじめこの4月より、東京大学大学院で特任助教に着任した。

2024年3月まで「夢における空間論」延長戦のお知らせ

4月はあまりに多くのことがゆきすぎて、異様に長かった。身体の代謝が高いと時間がゆったり流れるという話を小耳に挟む。4月の時間が流れ始めるにつれて、この3月までの時間は止まっていたのではないかと思う。 5月の時間は、再び速く流れている。気がつくとひとつきが終わりに近づいている。 この2ヶ月ほどずっと悩んでいた。博士3年間の振り返りをしてみようと思ったのだが、どうにもうまくいかなかった。 今振り返ると、特に忙しくはなかった気がする。16平米ほどの狭い部屋で3年を過ごした。ひ

博士課程の総括note

簡単に、自分の3年間を振り返ってみたいと思う。ステータスとしては、東大の学部→東大建築の修士→東大の博士、という感じで、ずっと内部進学である。専門はVR・MRと建築・都市などで、修士から博士までのあいだの主な業績は以下の通り。 1. 博士課程に進んだ経緯修士の時に、スマートグラスが普及した未来の都市構想の作品や自動運転が普及した時代の都市構想の作品などを製作していた。 そういうことを続けたいんですよね、とPanasonicの執行役員に相談した際に「事業会社としては、社長と

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