石田 康平

東大の特任助教で、研究とデザインをしています。未来の建築やVR、MRなどが中心。建築学専攻長賞、新建築コンペ最優秀賞ほか。クマ財団2期クリエイター(1800人以上→50人)。トヨタドワンゴ高度AI人材認定。DC2。ex Takramインターン。思考のまとまりをnoteで。

石田 康平

東大の特任助教で、研究とデザインをしています。未来の建築やVR、MRなどが中心。建築学専攻長賞、新建築コンペ最優秀賞ほか。クマ財団2期クリエイター(1800人以上→50人)。トヨタドワンゴ高度AI人材認定。DC2。ex Takramインターン。思考のまとまりをnoteで。

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  • 2023年3月に博士論文を書き上げるまで

    博士論文を書き上げるまでの日々をつづります。提出は2023年3月の予定。月に1回フランクな研究報告書がとどきます。どう博論ができあがっていくのか。研究のテーマや進捗などがメインです。

  • 「今月のよかった本リスト」まとめ

    毎月、読んだ本から5冊を選んでおすすめしているシリーズのまとめです。いろんな本を知りたい方はぜひ。

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    はじめての方にぜひ読んでいただきたい主要なnoteをまとめています。

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受賞論考の全文公開〜夢の中で暮らすことから始まる都市の公共性のこれから

この論考は、僕が2021年5月から7月にかけて書き上げたものだ。 「新建築論考コンペティション」というコンペが開催されることを知り、それに参加するために執筆した。 結果としては1等(最優秀作品)に選ばれ、『新建築』という雑誌の2021年10月号で巻頭論文を飾ることとなった。 このnoteでは、その論考の全文を公開している。 コンペのテーマと審査員論考は、論文よりもゆるく、エッセイよりも硬い文章のイメージである。 自分の主観も込めながら、ある程度論理性のあることをしっ

    • 夢原稿2023年4月の報告書

      少し前のnoteでこのマガジンは「2023年3月に博士論文に書き上げるまで」の延長戦として、「2024年3月に夢についての原稿を書き上げるまで」として継続することを決めた。少し遅くなってしまったけれど、長かった4月の間のことについて少し書いておきたい。 大学のことはじめこの4月より、東京大学大学院で特任助教に着任した。

      • 2024年3月まで「夢における空間論」延長戦のお知らせ

        4月はあまりに多くのことがゆきすぎて、異様に長かった。身体の代謝が高いと時間がゆったり流れるという話を小耳に挟む。4月の時間が流れ始めるにつれて、この3月までの時間は止まっていたのではないかと思う。 5月の時間は、再び速く流れている。気がつくとひとつきが終わりに近づいている。 この2ヶ月ほどずっと悩んでいた。博士3年間の振り返りをしてみようと思ったのだが、どうにもうまくいかなかった。 今振り返ると、特に忙しくはなかった気がする。16平米ほどの狭い部屋で3年を過ごした。ひ

        • 椎名林檎『罪と罰』は「幽霊」の曲である。

          このnoteでは、椎名林檎さんの名曲である「罪と罰」の歌詞を読み解いてみたい。いわずと知れた名曲であり、最近ではAdoさんにカバーされたりもしている。あの退廃的な曲の独自性は一体どこからやってきているのか。 僕の解釈によれば、あの曲は街を漂う幽霊の歌である。おそらくは不倫などの道ならぬ恋の果てに事故死した女性の地縛霊の、悲痛な叫びである。不倫の罪悪感が、あの曲に退廃感を与えているのではない。不倫という罪による罰の中にいる、死者の無限の苦しみが、あの曲を退廃的なものとしている

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          手段としての文章と信頼〜ChatGPTと記者会見での経験

          対話のない文章のこと とあるレクチャーで、終了後の参加者のレポートをいくつか読ませてもらった。複数読んでいて、変な話だがChatGPTを使って書いているのだろうな、というものは一目見ればよくわかる。びっくりするくらいに明らかで、かなり驚いた。 文章を膨大に読んでいると、そこに逡巡や悩みのようなものが透けてみえるようになる。とりあえず「えいや」とまとめている部分や、ネットから借りた人の言葉で書いている部分や、気持ちよくなって書いてしまっているところ、考えないで書いている部分

          博士課程の総括note

          簡単に、自分の3年間を振り返ってみたいと思う。ステータスとしては、東大の学部→東大建築の修士→東大の博士、という感じで、ずっと内部進学である。専門はVR・MRと建築・都市などで、修士から博士までのあいだの主な業績は以下の通り。 1. 博士課程に進んだ経緯修士の時に、スマートグラスが普及した未来の都市構想の作品や自動運転が普及した時代の都市構想の作品などを製作していた。 そういうことを続けたいんですよね、とPanasonicの執行役員に相談した際に「事業会社としては、社長と

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          2023年3月博士論文合格の報告書。

          東京大学大学院工学系研究科の博士課程を修了し、無事に「博士(工学)」を取得いたしました。さまざまな形で応援いただいたみなさま、ありがとうございました。 1. 学位取得のお知らせ2021年の11月からこのマガジンを始め、連載回数15回以上にわたり、博士課程での生活について色々なことを報告してきた。迷ったこともあれば鬱になったこともあったし、楽しいこともあった。いろんな人と対話し、スタジアム研究したり能面の作品を作ったり色んな寄り道もした。無事に学位を取得できてひとまずは良かっ

          博士論文2023年1月の報告書。

          さる1月26日に、博士論文の最終版を提出した。あとは判定待ち。さあどうなるか。

          博士論文2022年12月の報告書。

          あけましておめでとうございます。1月5日に博士論文公聴会があるため、それに向けて原稿書き直しと発表資料作成をしている年末年始。ご飯屋さんが閉まっていて困る。静かで穏やかなのはいいけれど。 帰省もせずに1ヶ月ほどずっと博論の原稿を書き直してるのは、全ては1月5日に公聴会があるせい。教授ですら文句を言っている。誰得なのか不思議。昔はもっと遅かったらしい(中旬とか)。お正月に休ませないのが博士最後の嫌がらせ、に思える。これで終わりと信じている。 1. この1年のこと2022年は

          博士論文2022年11月の報告書。

          ミャンマーで拘束されていたドキュメンタリー作家の久保田くんが解放された。7月に拘束されてからおよそ4ヶ月。随分と長い時間だったと思う。 判決が懲役10年と出た時は僕でさえ視界が暗む思いがし、その長さを想像して絶望した。久保田くんはクマ財団の同期である。友人がそのような目に遭うとは、想像さえしていなかった。 釈放が決まる少し前に久保田くんと仲の良い知人に会った。その人は久保田くんがミャンマーに渡る直前に久保田くんに会い、「やめた方がいいんじゃないの」と止めつつも止めきれなか

          第17回ダイワハウスコンペで優秀賞を受賞しました。

          第17回ダイワハウスコンペで優秀賞を受賞しました。最優秀賞は一つ、優秀賞が二つで、優秀賞の間の優劣は決まってはいないので192作品中の2位とのことです。8月に参加を宣言してからなんとか最後まで来られてよかったと思う。ただまあ負けた悔しさもあるし考えたことも色々とあるので、気持ちの整理としても書いておきたい(後半は課金バリアありますのであしからず)。 Ⅰ:作品のこと初めに、自分の作品について書いておく。他の作品についてはまだYouTubeでしか出ていないようなので、詳細に読ま

          博士論文2022年10月の報告書。

          10月中旬すぎになって9月末に提出したコンペの1次審査の通過知らせが届き、博論もふくめて今月の追い込みはさらにてんやわんやとなった。そのおかげで季節はほとんど記憶にない。 10月の前半にかけては少しのあいだ落ち着いて博士論文を進めていた。主に章立てを整理し、本文を書き進めていった。現段階の構成はこの記事の下に載せている。先月末の怒涛のコンペ提出と論文提出が終わってからの小休止。というか11月初旬にかけての追い込み。のはずだったのだが。 (コンペへの参加宣言や意気込みなどは

          博士論文2022年9月の報告書。

          博士論文の提出が11月17日だと思っていたら実は11月7日で10日も期限が早まり、焦りに焦っている。 このnoteは博論提出までの七転八倒を綴るマガジンなのでその話を少し。 僕の見る範囲では9月に入ってから正確な博論審査のスケジュールが掲載された。したがって正確な期限を知ったのもその時。実は博士論文の制度についてきちんとした説明はこれまで一度もない。普通は入学時などに学科ガイダンスのようなものがあると想定されるだろうけれど、存在しない。 ではどうするかというと、入学して

          メタバースでの「土地」ブームについての雑感(長め)

          メタバースでの「土地」ブームについて。個人的にはどうもいかがわしいなと思っている。なぜいかがわしいのか、ではどう考え直せばいいのか、少し書いておきたい。 今のメタバースでの「土地」ブームを簡単に説明するなら、誰かが『アートのこと語ります(人気コンテンツ予定!)』というタイトルだけ書かれた空のWebページを作り、そのWebページの一部に「広告スペース」を作って販売しているようなもの。もちろんそのWebページが人気でなければ特に価値もでないはずなのだが、何故かWebページの中身

          博士論文2022年8月の報告書。

          あまりに長い暑い2ヶ月だった。クーラーの効いた部屋に閉じこもっていると身体が疲れてくる。夏が始まる前に体力を上げておかなくては、と改めて思う。とはいえ冬も冷える。身体の筋肉量と代謝は常に高い方が良い。7月に鰻を食べておかなかったのは痛恨事だった。菖蒲湯や柚子湯、七草がゆや鰻など日本の文化はやはり自律神経を保ちながら四季を過ごすためのものという気がする。そういえば寺は涼しかった。特に庭の周りはひんやり。庭はクーラーなのかもしれなかった。浄土教の寺は、形式として複数の庭と空間が入

          博士論文2022年7月の報告書。

          ドキュメンタリー作家で友人の久保田徹くんがミャンマーで拘束されたというニュースが今日の早朝に入ってきた(7月31日)。政治的な抗議デモを撮影していたところ拘束されたという。近しい友人がそうした目にあい危険の渦中にいるという状況に直面し、動揺している。 無事に帰ってきてほしい。何ができるというわけではないのだが、声をあげるつもりで署名に賛同した。 1. ブロックチェーンのイベント「Aya Talking with Joi in Tokyo」への参加7月の初めに、伊藤穰一(J