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レストランをやめた僕に訪れた転機 2

お待たせしました。
このエピソードはこちらの続きになります。

レストランをやめた当時の僕が感じていたこと 1

有名店をハシゴした転職活動


退職して実家に帰った僕は、徐々に体力を取り戻してストレスから解放されるようになっていきました。そして、これまでよりもっと深く食に関して勉強していきたいと思っていました。まだまだ実力不足だと感じていたからです。一度志したレストラン業から簡単には離れられませんでした。

まずは東京・目黒のkabiというレストランに行きました。kabiは本当にすごかった。デンマークで学んできたらしい「発酵」を日本料理に取り入れて、唯一無二の料理を作り出してました。しかも、ドリンクはクラフトビール、カクテル、冷や酒、燗酒、泡白赤ワインなど、次々とコースに合わせてジャンルレスで出てきて旨い。全く新しい感じもするし、しっかり日本料理の軸も感じられるし、とんでもなかったです。しかも、オーナーシェフとオーナーソムリエは僕と同世代でした。

実は、「働きたい」という旨を事前にメールで伝えていました。返信がないので、ディナーの予約をして一人で食べに行ったんです。kabiで働けたら、もっと沢山の事を知れると考えてました。しかし、すでに僕よりも若いハングリーそうな料理人が沢山働いていて、僕が入る隙間はありませんでした。

その次は、できる限り海外に繋がりのあるレストランで働きたかったし、経歴的に将来自慢できるような一流レストランを探しました。ただ、レストラン探しは想像以上に厳しかったです。10件近くのレストランに連絡し、そのうち3件で入社試験を受けました。

東京・広尾にあるイタリアンの名店アクアパッツァでも研修を受けましたが、理想と現実のギャップに自ら辞退しました。

そして、大阪のHAJIMEの入社試験を受けました。飲食業界では珍しい5段階ある厳しい入社試験の最終試験に進みました。「実際に5日間営業に参加して、お互いに判断する」というものでした。

僕は皿洗いとして営業に参加しました。もちろん、ただの皿洗いじゃありません。どの食器も超高級ですし、形が特殊です。100個ほど皿洗い時のルールが設定されていました。僕は一生懸命、自分なりに工夫して皿洗いを続けました。でも、うまくいきませんでした。

2日目の研修を終えて、3日目の朝、僕は39度以上の熱が出てしまって、研修を中断せざるを得ませんでした。4、5日目も熱は下がらず、結局入社試験は打ち切りになりました。

僕は研修の担当者に謝罪の電話をして、実家でゆっくり過ごしていました。

僕に訪れた衝撃の転機

父「好平!この録画見てみー!好平にぴったりの人がおったで!めっちゃ面白いわ」

珍しく父が興奮してたので、速攻で録画を見ました。

クレイジージャーニーという番組で、「年商6000万円!平成のハーブ王」みたいなタイトルでした。

・日本全国、そして世界から彼のハーブを求めて、広島の山奥に人がくる
・アラブの金持ちが農園の買収に○億円出してきた
・小さければ小さい方が高く売れる
・農協に卸すんじゃなくて、三ツ星レストランに卸す農業をする
・農業が楽しくて仕方ない

最後は、デンマークの世界一予約の取れないレストランと言われる「noma」で食事をするシーンで終わりました。

見終わると、速攻で挨拶文を書いて履歴書と経歴書を送りました。
他にも番組を見て、飛び込みたい奴がいるかもしれん!と速攻で速達で送りました。

その翌日、ハーブ王の梶谷さんから電話がありました。
「今は誰も雇う気はなくて、給料でないけど1ヶ月くらい研修に来る?」との提案に僕は二つ返事でYESでした。

僕は約1ヶ月後に広島に向かいました。

広島県三原市久井町にある梶谷農園は、全国の料理店にハーブ、マイクロリーフ、ベビーリーフ、エディブルフラワーなどを卸しているスーパーレストランファームです。社長の梶谷譲さんの生き様が本当にユニークでかっこいいです。調べればいろんな記事が出てくるので、ここでは特に書きません。

梶谷農園での1ヶ月間、寮まで無料で貸してもらって住みこみました。朝7時から夕方4時ごろまで仕事に参加して、毎日夕食を梶谷さんの家でご馳走になりました。当時、梶谷農園には日本人が8〜10人、フィリピン人が5人働いていました。

フィリピン人たちが農園のエンジンというくらい、彼らは本当によく働きます。僕は研修中のほとんどを彼らと過ごして、彼らに仕事を教えてもらっていました。彼らは、給料の約半分をフィリピンにいる家族に送っているそうです。必死にならなくてもある程度豊かに生きられる日本人の若者と違って、彼らは根気強くめちゃくちゃ働くし、ハングリーでした。そんな彼らと働けたのは大きな刺激になりました。

そして、夜はほとんど毎日宴会です。梶谷さんの自宅で、梶谷さんが毎日手料理を振舞ってくれました。本当にありがたかったです。毎晩、ビールと熱燗を出してくれて、毎回酔っ払いながら、沢山のことを話してくれて、めちゃくちゃ楽しかったです。世界中のシェフや農家と繋がっている日本のトップファーマーですから、話のスケールも面白さも酒の量も桁違いでした。

浴びるように沢山のことを経験し、本当にあっというまに1ヶ月はすぎていきました。この1ヶ月間で、本当に沢山のことを学びました。梶谷農園のみなさんにはとても感謝しています。

この時点で僕の気持ちは、「農家、めっちゃ楽しいな〜」という感じで。きっと、この時すでに農業に転身する気になってたと思います。ただ、この時点では、自分が実際にベビーリーフを育てるとは全く思っていませんでした。

というのも、きっと今思えば梶谷農園のやってることが凄すぎて、その凄さがまるでわかっていませんでした。梶谷さんが経験してきた10年以上の失敗と挑戦の積み重ねは、もうすでに綺麗なオペレーションになってフィリピン人が回しているので、いとも簡単そうに見えます。農法やレシピもフィリピン人達がバンバンやっていくので簡単そうに見えます。週休2日、きっちり8時間労働、有給ありのホワイト農園なので、運営さえも簡単そうに見えてきます。

「これなら僕にもできるかも」

そんな甘い感覚を持って、研修を終えました。

続く

「畑のサラダ」を通して明るい食卓をお届けしている小さな農家です。
淡路島東浦にてベビー&マイクロリーフ、ハーブ、エディブルフラワーを育てています。
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