#123 成果物とプロセスのバランスを取る。思い入れとの向き合い方
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
今日は、思い入れを持つべきポイントと、マーケットの正直な声を聞くことのバランスついて考えてみました。
〇背景
Iwasakiさんのこちらの意見が非常に印象に残り、下記の記事でコメントをさせていただいたところ、アドバイスをいただきました。
このやりとりが今回の記事の発端です。
「自信作=思い入れ」と売れることのバランスについて考えてみます。
◯成果物とプロセスへの思い入れを分けて考える
成果物への思い入れ
マーケット視点で考えた場合、評価の対象は成果物です。私のようなシステム開発者にとって成果物とは、顧客に提供するシステムのことであり、顧客はそのシステムの使いやすさや業務効率の改善、業務の先の販売業績への影響などを基に評価します。
顧客の課題や要望に対して、顧客が求める機能よりも使いやすく顧客の成果に直結する提案を行い実現することが腕の見せ所であり、思い入れが生まれるポイントです。自分の提案が受け入れられ、提供した機能に良いリアクションをいただけると非常に嬉しいです。
一方で、私の視点からは良くないものでも、顧客の強い要望で実現した機能が評判が良いというケースがあります。このようなケースでは顧客の業務上の制約が障壁となり、システム的にも業務的にも最善ではありませんが、実際には頻繁に使用されるため「売れるものが良いものとなる」と考えています。
売れることを考える時、顧客の事情を深く理解するためには「マーケットの正直な声を聞く」ことも必要であり、自分の考えに固執しすぎることは危険です。
プロセスへの思い入れ
システム開発者や運用者である私にとっては、成果物と同様にプロセスも非常に重要です。
システムは1度作ったら終わりではありません。作成したシステムは長期間にわたり使用されます。私の会社では売り切りのシステム開発ではなく、その後も運用保守を行いながら改善を続けるスタイルです。したがって、運用の負荷を減らし、システムの追加改修がしやすい状態にするためのプロセスが重要です。
同じ機能を提供する場合でも、プロセスにこだわらなければ長期的には問題が生じます。機能が実現できれば良いと、とりあえずの実装をしてしまうと運用や追加開発に跳ね返ってきます。
運用に忙殺されていると新しい価値を生み出す余裕がなくなり、追加改修が難しくなるため、顧客の要望に応えることも難しくなります。
そのため、複雑な仕様をシンプルな設計に落とし込む方法や、現在のシステムとの整合性や運用を考慮した実装のプロセスに思い入れが生まれます。
〇それぞれの思い入れに向き合う
成果物に対する思い入れとプロセスに対する思い入れが混同されてしまうと、「売れる」という観点でより良い成果を得るための適切なアプローチが取れなくなります。
成果物への思い入れに向き合う
顧客が要求するものをただ作ることに喜びを感じないことはありますが、それはただの邪念です。
顧客の要求が時には適切でないこともありますが、それは別として、顧客の要求に応じることが私の仕事であり、顧客がその要求をする理由を探り、深く理解し、顧客の期待を超える価値を提供することが重要です。
例えば、淡口らぁめんの繊細な出汁の味を楽しんで欲しいと思っていても、実際には適当に脂をぶち込んだ濃口らあめんのパンチのある味が好評であることもあります。思い入れと売れることは別のことと捉え、売れる商品を追求する必要があります。
プロセスへの思い入れに向き合う
一方で、システム開発のプロセスは売れるかどうかとは異なる評価軸であり、顧客や営業にとっては評価が難しい部分です。
成果物として実際に触る機能とは異なり、運用しやすい実装や追加開発に耐えられる設計を、そのまま理解し評価してもらうのは難しく、それを求めるべきでもないと思います。
ただし、顧客が「ポテトもついでお願いします。」くらいのノリで軽く要求する機能が実は非常に難しいこともあります。この点を営業や顧客に理解してもらう必要があります。
プロセスへの思い入れが、運用やシステムの将来の成長を見据えて、顧客や営業にもどれだけポジティブな影響を与えるかを考えるべきです。
そして、それを顧客や営業の視点で理解いただけるように伝えていく必要があります。
成果物への思い入れに関しては、自信作は自信作で良いですが、売れるかどうかは別と考える。一方でプロセスへの思い入れには出来る限りこだわる。
そういうバランスを取ることが重要かと思います。
ということで、エンジニアとしての私の思い入れポイントと、顧客への価値提供とのバランスについて考えてみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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