#258 組織は川上から腐るのはなぜか?
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
今日はNewsPicksの坂井風太氏の、たった一人の熱量から始める「組織改革実践」という講座から学んだ内容について紹介します。
前編である本動画では、組織が硬直化する構造的な問題について、その原因と改革の起点について紹介されています。
その中から、特に学びが強かった点についてまとめます。
坂井風太氏の組織論は現場目線で非常にわかりやすく、こちらのnoteでも強い組織を作るためのキーワードである組織効力感の解説についてまとめていますので、ぜひこちらもお読みください。
◯自分の手足を使って利益を生み出すことに興味を持たなくなると組織は硬直化する
盤石なビジネスモデルに過度に慣れすぎると自分で利益創出できる人もいなくなる。それは、自らの手足を使ってどのように利益を生み出すかに興味を持たなくなるからである。
と述べる坂井氏。
例えば、弊社のような受託のシステム開発においては、顧客の課題をビジネス面でもシステム面でも解像度高く理解し、全体最適なソリューションを実現することが利益創出に繋がります。
そのモデルが軌道に乗り効率化のために役割分担が進みエンジニアの顧客課題への興味が薄れてしまうことなどが、自ら利益を生み出すことへの興味が薄れる前兆です。
全体最適なソリューションとは、1つの答えがあるわけではありません。
集めた情報から合理的でない判断をし、顧客の課題を解決できる全体最適な方法を模索しながら実現していくことになります。
つまり、出来るかわからないけれどもやり切ると宣言し、やり遂げる胆力が求められます。
決断しないリーダーはいらない。
と言われますが、いくらビジネスやシステムの理解があっても決断してやり切れないのであればリーダーとしては力不足ということです。
「合理的な判断」と「決断」は別ものであるということです。
そのような決断の機会が減ることで組織の硬直化が進むということです。
目の前の仕事だけに一生懸命になっていると気づけないので注意が必要です。
◯料理はでてくるけど厨房が危ない
料理(成果物)はちゃんと出て来るので問題ないと思っていても、実は5人の中の2人しか稼働しておらずその2人たけがすごく頑張っているという状況がヤバいと述べられています。
その2人が辞めたら厨房は回らない。どうせ辞めないと思っていても、責任感がなくてやめていないだけであり、代わりの人が見つかればすぐに辞めてしまうリスクと隣り合わせの状況です。
この状況をリーダーやミドルマネージャーが上司に相談しても、上司はよくよくヒアリングもせずにただの愚痴として扱い、この状態を放置してしまうということを危惧しています。
これはマネージャー陣が忙しすぎるなどの構造的な問題もありますが、マネージャーはリーダーやチームに勝手にうまくやってくれと任せてしまうと、組織は川上から腐っていく。危険な厨房は「微妙な戦略が、自己修正が働かないまま放置され、目の前の仕事に追われ続ける組織」の前兆ということです。
これはリーダーやミドルマネージャーにも言えることです。
大抵リーダーは厨房で頑張っているうちの一人です。そうであってもメンバーに対してしかりと向き合わなければいけません。
リーダーが上司に危険な厨房についてエスカレーションしても意味がないからと、部下に対しても同様な対応をしてしまうと、部下のエンゲージメントも下がってしまいます。部下は上司の鏡だからです。
ここで手を打つ時に注意すべきなのは組織課題の解決のために時間を使わないことです。メンバーのモチベーションの低い理由に向きあることよりも重要なのは、チーム全体が顧客や事業に向き合う時間を最大化するべきです。
ただただ手を差し伸べて親身に話を聞くことよりも、明確な目標設定を設定しメンバーが事業に向き合うような状況を作ることが大切です。
◯マネジメントの民主化
この時に有効なのが、マネジメントの民主化という考え方です。
マネージャーがメンバーを引き上げていくことは、正直にいうと精神的にも物理的にもキツイ。そのため、完璧なマネージャーを目指すのではくメンバー一人一人がセルフマネジメントできる状態を目指そうということです。
これは当然難しいことではありますが、要は組織を良くするのはみんなでやればいいといことです。ただでさえマネージャーは忙しいのに、教育まで担うのは難しい。新卒の社員であっても学生時代の部活で後輩の指導をしていたのであれば教育を任せることは可能です。
経験のあることはどんどん任せてしまえばよいのです。
また、エンジニアであればプログラミングの理論を知っている人程、キャッチアップが早く仕事で成果を出すことができます。理論は現象の理解や課題設定の短縮に使えるからです。マネジメントも同様で、メンバーが理論を知っていればチーム・組織の課題に対する解像度が上がり、自身で課題を設定することが可能ということです。
理論が浸透するとメンバーの中から的を射た意見が出てくるため、パパっと話すだけで課題に対するアプローチが決まるようになります。
マネジメントをマネージャーの仕事として捉えるのでなく、チームの役割と浸透させることで、事業に向き合う強い組織になるということです。
◯どんな改革も最初は1人の熱量
組織が川上から腐る構造やそれを解消する方法について理解したとしてもチームが勝手に良くなることはありません。
どんな改革も熱量を持った最初のひとりの粘り強い活動がかかせません。背中を見せないと人は育たない。挑戦しないと人に挑戦をさせるなんてことは出来ないからです。
自分の組織でも強いチームには熱量を持った強いリーダーがいます。そして、その姿を見た弟子がいます。脈々と弟子が生まれチームはどんどん強くなっていきます。最初の1人の熱量が周りに火を付けたり、同じことを考えている人が互いに認知し集まっていくからです。
「うちの経営陣は動かない」と問題を上司や会社のせいにしても組織は良くはなりません。文句を言い、他責思考の人は自分自身が大企業病の一員です。組織は川上から腐っていきます。
自分に矢印を向けて、改革を実現する熱量を持った最初の1人になりましょう。
ということです。
最後までお読みいただきありがとうございました。