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#71 顧客の信頼を損ねる「XY問題」とは?(2024/04/20)

こんにちは。
旅行会社向け販売システムの受託開発をしているエンジニアのこへいです。

システムを提供している顧客からの改善要望の依頼を受ける際に、なかなか要件が決まらずに顧客に不満を抱かせてしまうケースがあります。

「XY問題」という概念がこの原因を説明するのに非常にピッタリだったので紹介させていただきます。

〇顧客の課題が伝わらない原因

顧客からの要望が、解決方法を実現するエンジニアに届くまでに営業の方が挟まるのが一般的です。

顧客 ⇒ (要望) ⇒ 営業 ⇒ (要望) ⇒ エンジニア
顧客 ⇐ (課題) ⇐ 営業 ⇐ (課題) ⇐ エンジニア

コミュニケーションのルート

顧客は要望(欲しい機能)を伝えますが、エンジニアとしてはその要望をそのまま実現することを拒む傾向があります。
顧客が無邪気に欲しがる機能は実現するコストが大きい割に、何を解決したいのかがわからないことが多いからです。

そこで顧客の課題の背景を尋ねるためにコミュニケーションを取ります。
その際に、顧客・営業・エンジニアそれぞれの視点によるバイアスが入り、エンジニアが課題解決に足ると考える機能が顧客が解決したい課題とずれてしまうという問題が発生します。

〇XY問題とは

XY問題とは「質問者が、本当に解決したい課題Xについて直接聞くのではなく、Yという二次的な課題を解決する方法を聞く」ことによって発生するコミュニケーション上の問題を指す語である。これはヘルプデスクや技術サポート、ソフトウェア工学、カスタマーサービスなどの現場でしばしば見られる。

質問者はYによってXを解決することができると考えているが、しかし、Yを解決してもXは解決しないか、またはYは解決方法としては不十分であることが多い。本質的な課題を曖昧にしたり二次的な問題を持ち込んだりすることは、回答者に不要な苦労をさせたり、または不十分な解決方法が示されることにつながる。

Wikipediaより

まさにこれです。顧客・営業・エンジニアのコミュニケーションでは、

エンジニアは「開発コストが少ない方法で解決したい」というバイアスがかかり本質的な課題を特定し最適と思える解決方法の提案を優先します。

営業は「顧客に寄り添うためにも要望をなるべくそのまま受けとめたい」というバイアスがかかり顧客寄りのコミュニケーションを優先します。

顧客は自分たちの課題を一番知っているのは自分達というバイアスがかかり、自ら解決策まで考え実現を依頼します。

これらのバイアスがかかり、XY問題が起こります。

〇俯瞰の目でXY問題を解決する

XY問題が発生する主な原因は、質問者が自力で問題を解決しようとしたときに、それを誤解して、小さな課題Yさえ解決できれば本当の課題Xは解決できると思い込むことである。XY問題の発生によって、回答者は質問者の抱えている問題を解決できなかったり、質問の本質的な部分を理解できなかったりするので、質問者はかえって不満を持つことになる。

このような状況は、質問者が、本質的な目的から離れた、無意味な細部について質問した場合にあらわれやすい。 回答者はなぜその情報が必要なのかを逆質問して、根本的な問題を特定することでXY問題を避けることができる。

Wikipediaより

WikipediaにはXY問題を回避する方法も記載されています。

XY問題が起こる構造やそれぞれにどのようなバイアスがかかっているかを理解し、俯瞰して課題の根本を特定するためのコミュニケーションを取りましょう。ということですね。

特に質問をする際には「考え」ではなく「事実」を聞くのが重要です。
例えば現状の業務の課題については、実際の業務の手順や困っている原因(時間がかかっている、難易度が高い、それはなぜか)など、具体的な事実を収集することで、互いの課題認識の齟齬を減らし、最適な解決策に近づくことが出来ます。


ということで今回は顧客の信頼を損ねるコミュニケーションの問題を説明した「XY問題」について紹介しました。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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