DMMは雑草戦略かもしれない #読書記録
「雑草という戦略」、めちゃくちゃ面白かった。
著者は、静岡大学教授で農学博士の稲垣栄洋さん。
「予想不能な変化に対応する」ことを強みとして発達させた戦略である、という雑草の生存戦略は、たしかにビジネス戦略に通じるところがあります。
一定の環境で生存することに最適化しすぎてしまうと、環境変化に弱いのは、企業においても同じですよね。特に現代のように予測不能な変化が起こる環境において、「何をするか」よりも「どうあるべきか」を定義することの大切さを、雑草が教えてくれる気がしました。
読み進めていて、「これってDMMじゃん!」って思いました。
予測不能な変化が起こる環境で生き残るために、様々な事業を立ち上げてポートフォリオを多様化させる。
そこそこ規模は大きいけれど、大企業に勝てるほどではないから、彼らが入ってこないような市場を選び、そこでのシェアにこだわる。
社内で特に明示化されてはいないですが、DMMの戦略は、雑草戦略そのもの、な気がしました。
ネタバレ含み、ちょっと長いですが、読書メモも残しておきます。ご興味あれば読んでみてください。
【読書メモ】
● 雑草の戦略は、「予想不能な変化に対応する」ことを強みとして発達させた戦略である。
● 雑草の成功法則は、「逆境」 ✕ 「変化」 ✕ 「多様性」という掛け算で表される
● 安定した環境では競争力が物を言うが、環境がかき乱されるような不安定な環境では、競争などしている余裕はないのだ。撹乱のある場所で求められることは、競争の強さではなく、次々に変化する環境に対応する適応力である。
● 撹乱に生きる雑草の基本戦略は、「たくさんの小さな種子」である。何しろ、予測不能な変化が起こるのである。何が起こるかわからない、どう変化するかわからない状況では、何に投資していいのかわからない。そうであるとすれば、少しでもさまざまな物に投資をした方がいいのである。それが、「たくさんの小さな種子」の戦略である。
● 数多くのチャンスを見つけては、小さなチャレンジを繰り返す。そして数多くの失敗の中に成功を見つける。それが、予測不能な変化を生きる雑草の戦略なのである。
● 早く芽を出す種子とゆっくり芽を出す種子は、どちらが有利なのだろうか。そもそも、どちらが有利かという問いそのものに誤りがある。どちらが有利かは、置かれた環境や状況によって異なる。雑草が生えるのは、予測不能な変化が起こる環境である。何が正しいかわからないのであれば、両方、用意しておく方がいい。
● 種子の性質がバラバラであるという「多様性」が雑草の武器なのだ。
● 植物が世代を超えて生き抜いていくためには多様性は不可欠
● 雑草が生えている場所は「変化する環境」である。何が正しくて、何が間違っているかは、環境によって異なる。成功したか失敗したかも結果論でしかない。何が正しいかは誰にも分からないのだ。雑草は、常に「答えのわからない」環境に置かれている。どちらが正しいかわからないときに、どうするか。雑草の答えは、明確である。どちらが正しいかわからないのであれば、両方持っておくことが正しい。
● 雑草は、戦う場所を戦略的に選んでいる。しかし、武器は多い方がいいから、持っている武器は捨てない。あらゆるオプションを持つことが、変化に対応する上では重要なのだ。
● 雑草は、自らのコピーを増やす戦略よりも、多様性のある異能集団を維持することに努力を払ってきた。
● 変化こそが、強い植物がもっとも力を発揮できない場所である。そして、変化する環境は、弱い植物にとってチャンスでしかない。変化が多いということは、それだけチャンスが多いということなのである。