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金曜の夜は美しい程、悲しみが溢れている

今日はなぜだか、元気が有り余っていて部屋の掃除をした。

引越しをしてから6か月が過ぎたのに部屋の至る所が未完成のままだった。

引越しをする時に要らないものを全て捨てようと思っていたのに結局時間がなくとりあえず段ボールに詰めたまま持ってきてしまった。

新しいインテリアを考えようとしても、そんな物達が隠れて場所を取っていたこの部屋がなかなか好きになれずにいた。

とりあえず生活する為に必要な物は適当に置いていたが、いつの間にか定位置になりつつあって、そんなのも悪くないなとまで思う程に慣れてしまっていた。

この部屋はまるで今までのあたしみたいだった。

なにか違うと分かっているのに、それでいいんだと思い込んで、いつの間にか日常に変わっていく。

勿論、それが悪い事ではないと思うし、そうやって生きていくのも幸せだと思う。

たまにそんな日常を愛おしく思える日もある。

むしろそうやって生きていくのが当たり前の筈なのに、あたしは何に不満を抱いているのだろうか。

それでも今日、やっと色んな思い出とお別れを告げた。物がなくなっても記憶から消えてしまったとしても、それがあった事で積み重ねられてきた自分はここにいるから大丈夫。

思い出がなくなる事なんてきっとない。

また新しい物に出会える場所が出来た。

そうやって少しずつ、自分が自分になれますように。

そしていつかこの部屋を愛する事が出来るといいな。



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