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読書感想|生きるとは?「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘

小説を読み終えました。

タイトルと装丁を見ただけで、温かい気持ちにしてくれそうな小説だなと感じます。

本の紹介

タイトル それからはスープのことばかり考えて暮らした
作者   吉田篤弘
ジャンル 小説
出版日  平成9年9月25日
ページ数 287ページ

『暮しの手帖』で好評を博した「それからはスープのことばかり考えて暮らした」が、筆者自身の装幀による、とてもすてきな本に仕上がりました。佃二葉さんの味わい深いイラストもふんだんに楽しめます。

暮しの手帖HP


この小説が「暮しの手帖」での連載によって生まれたことを知り、納得です。

衣食住をとても大切にしている「暮しの手帖」


特に食に関する記事は、毎回「なるほどーっ」と唸るものばかりで、勉強させていただいています。



登場人物は銀幕スターに恋をした青年オーリィくん

サンドイッチ店「トロワ」の店主と息子

屋根裏に住む大家さんのマダム

映画館でよく見かける緑の帽子を被ったおばあちゃん


ある日、おばあちゃんとオーリィくんが映画館で二人きりになりました。


いつものポップコーンとは違う、何やらいい匂いがして来ます。
一体なんの匂い?


その正体は


スープ。


おばあちゃんが携帯用ポットに入れて持ってきたようです。


その日からオーリィくんの人生の真ん中にスープが存在するようになります。


でもそれは、オーリィくんに限ったことではなく、
サンドイッチ店の親子も、
マダムも、
もちろん緑の帽子のおばあちゃんにも
人生の真ん中のスープがあるようで・・・。


感想と気づき

私が読んで感じたこと、自分もしてみたいな、と思ったことを紹介します。

人生に生きる意味を問うならば・・・

この本の感想を一言で言うならば


「あ、私も『とにかく、おいしい!』スープを作ろう」と言うもの。


自分の心身の状態により、同じ本であっても感じ取るものは違ってきます。


この本はその差が特に大きくなるものではないかと思いました。


ハラハラドキドキすることや
オチがあるわけでもなく、
普通の人が、普通の暮らしを、淡々と紡いでいく。


その様子を物語っているお話だからです。


今の私は、病気で休職中。


発症当時の記憶はしんどすぎて、あまりありません。


ちょっと元気になった頃から「なんで私がこんな病気に・・・」と思うようになりました。


誰かのせいにしたくて。


そしてもうちょっと元気になった時には
「ああ、あほやなあ、私。」と今度は自分を攻めるようになりました。



体調を崩すまで仕事に没頭する必要があったかな?と。


今は、さらにもうちょっと?!元気になりました😊


どんな生活を送っているかというと、



毎日淡々と同じことを繰り返しています。



朝起きて、本を読み、身支度をして、朝食を作り、旦那と子供を起こして送り出し、掃除洗濯、そしてコーヒーをのんで一休み。

お昼ご飯を食べたらお昼寝をして。

そうこうしていたら、子供が帰ってきてちょっと賑やかに・・・。


先日親友の農園にお邪魔をしました。


柿農家に転身したんです。


同じ職場で働いていましたが、彼女も疲労困憊していました。


あれ以上続けていたら、きっと私と同じ状態になっていたのかもしれません。


いいタイミングでいい決断をされたなあと思っています。


長い間、私は仕事を休ませていただいていますが、もうすぐ復帰する予定です。


そのことを彼女に相談した際、ふと言われたのです。


「あなたはこれまでたくさんの人をサポートしてきた。でも今度、あなたが職場に戻った時に、誰があなたをサポートしてくれるのか?そんな人がいてるのか?心配だ」と。


おっと。
確かに・・・。


サポート側にいた人間を、誰がサポートしてくれるのかな?


痛いところをつかれました。


きっともうすぐ、管理職と復帰に向けての話し合いがあると思います。



その時にこの現実を話してみようかと昨日はあれこれ考えました。


でも、この小説を読んで、やっぱりそれも今の自分の幸せにつながるかどうかわからないなあ、と思うように。


私は今、淡々と「毎日同じことを繰り返す暮らし」の中に
「幸せ」を感じています。


この本を読み終えた後、「生きる」ことの意味ってなんだろう?と考えるようになりました。


私が今、思う答えは・・・


「生きる」こと自体に意味はなく
ただ「生きる」に尽きるのではないかな?というもの。


なぜなら、ただ「生きる」ことに幸せを見出しているから。


なぜ働くのか?その答えは・・・

「経済」


正直、それしかありません。


今の私には、仕事に「生きがい」を感じることはなくなりました。


体調が戻ると、また体調を崩した職場に戻る予定です。


これが「吉」と出るか「凶」と出るかはわかりません。


配置換えや転勤は希望すればある程度は可能かと思います。
ただ、正直、どの選択がいいのか、よくわかりません。


それに、前と同じように働ける気力体力は残っていない。


だから
「淡々」と仕事をこなしてくしかありません。


そう、「淡々」と。




この本を読んで「淡々と」の意味合いがの私の中で少し変わりました。



冷たい感じや冷静さだけではなく、落ち着きや心の余裕などが加わった感じ。


淡々とゆっくり落ち着いて、毎日を繰り返していけばいい。
家族との時間も、
仕事も。


ただし「家族」と「仕事」の「淡々」の意味合いは、全く違います。


家族との生活は、丁寧にゆっくりと時間を紡ぎたい。
これが第一です。


私自身の時間も同じです。


仕事は一つずつ業務をこなしていく。
淡々と。


それ以上も以下もなく。


勤務時間や人間関係も同じ。


淡々と毎日同じことを繰り返すなら、
今の仕事をやめなくても、
移動をしなくても、


今の私でも可能ではないか?


生きがいが見出せなくても、
苦しみや悲しみを感じる機会は、減るかもしれない。


最後に

仕事仕事で衣食住がおざなりになっていた私。


きっと同じように悩むアラフィフ女性、ワーママ、全国にたくさんいるのでは?


スローダウンすることの大切さを今しみじみ感じています。


仕事に完全復帰できるどうか、わかりませんが、
一日一日を大切に繰り返し、じっくりコトコト煮込んだスープ!?のような、ゆっくり流れる幸せな時間を見つけたいと思います。


今夜のご飯は野菜をたっぷり煮込んだポタージュにします♫

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