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学生服リユースショップさくらや研究【女性の起業支援塾編その3】

 「さくらや」に来て、融資の話もせず馬場加奈子さんにお店の大変さなど、いろいろなことを尋ねていた銀行員。実は信用金庫の支店長だったわけですが、馬場さんの思いをくみ取って作った企画書を具体化するべく、女性のための起業塾がいよいよ始まります。


起業塾の起業

 2015年11月、「Sanuki woman キャリスタ塾」の第一期が高松信用金庫レインボー支店で開講されました。とは言っても、支店長も馬場さんも起業塾を運営した経験はありません。何から始めるか、どうやって進行するか。まさに「起業塾」の起業でした。

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 ともかくも馬場さんたちが重点に置こうと考えたのは、各受講生が「なぜその仕事をしようと考えたのか」という原点に戻ることでした。仮に事業を開始してうまくいかなくなったとしても、起業した時の思いを持ち続けることが大事だと、馬場さん自身が身をもって経験したからです。

 「キャリスタ塾」は、事業計画書の策定を指導する一般的な創業塾ではなく、その一歩手前の位置づけで、

「自分で仕事を始めたいけど何から始めればいいの?」
「他の起業の話を聞いて自分の起業に生かしたい」
「事業の悩みを相談・解決したい」

 という女性をターゲットにしたそうです。女性は男性では思いつかない、女性ならではの発想や事業に対する思いを持っているものの、それを対外的にうまく伝えられない、誰に相談したらいいかわからないといった悩みを持っているケースが多いのです。

 そこで、グループディスカッションやプレゼンテーション、そして馬場さん自身の実体験をもとにした双方向・対話型にしたそうです。まずは自分の夢や事業への想いを整理し、これからの「きっかけ作り」の支援を主目的としたのです。

継続を重視

 「キャリスタ塾」の塾生は、社会貢献、地域ビジネス、創業などに興味がある、起業したい又は起業している香川県内の女性を対象に募集されました。各回、高松信用金庫の支店を持ち回りで会場として定員は15~20人、募集は各支店の営業マンたちが顧客訪問時に「キャリスタ塾」のチラシを渡したり、ATMコーナーにポスターを掲示して行われました。

 馬場さんは起業する前に生命保険会社で法人営業をしていたので、その時の経験から、営業では様々な情報を届けることが顧客にとって有用で喜んでもらえると実感していました。そのため、「キャリスタ塾」も高松信用金庫の営業に使ってもらえれば相乗効果になるのではないかと考えました。

 馬場さんがよく耳にする話として、どの起業塾も受講者を集めるのに苦労するのだそうです。そして最終的には付き合いで出席者を集めて人数合わせをしているのだとか。でもそれでは「やった感」で終わるだけ。必ずしも大がかりなイベントごとにする必要はなく、少人数でも継続していくことが大事だと馬場さんは考えています。

「キャリスタ塾」は、
・当時としては珍しい対話型の起業塾であること
・金融機関が主催することの物珍しさ
・「何が始まるのか」という期待
から、塾生の募集に困ることはなく、毎回、定員を確保して開催されたそうです。

 次回は、「キャリスタ塾」の具体的な進め方をお伝えします。

 続く

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