アメリカのオンライン授業② ディスカッションがなくなる衝撃
さて、冬学期の終わりに突然、オンラインへの移行が通達され、教職員一同、まず、戸惑いました。対面とオンラインは何が違うのか。オンラインでは何ができて、何ができないのか。多くの教職員にとっては、未知の領域でした。
今回は、そもそも米国大学の普段の授業はどんなものだったのか、そして、オンライン移行とは何を意味するのかについてお話ししていきます。
米大学授業はオンラインと対面の組み合わせ
米国の大学では、もともとオンラインの学習管理システム(Learning Management System)を活用した教育を行なってきました。わたしの所属する大学では、Canvasというシステムを使っています。
Canvasでは、教職員がシラバスや読み物をアップロードしたり、課題を出したり、課題の採点をしたり、学生に連絡をとったりできます。
学生は、Canvasを利用して、読み物や課題をダウンロードしたり、オンラインでのディスカッションに意見を投稿したり、課題を提出したりしていました。
社会科学系の場合、普段の授業で学生は、予習としてオンラインで読み物をダウンロードして読み、事前に質問や意見などをCanvasに投稿し、クラスに来て講義を受けたり、ディスカッションを行うというのが基本でした。
つまり、普段から米国大学での学習は、オンラインと対面の組み合わせでした。オンラインへの移行というのは、「対面」の部分もオンラインに切り替わるということなのです。
ディスカッションができない衝撃
米国大学の教育は、大人数の講義もありますが、少人数でのディスカッションを特に重視します。
米国大学ランキングでは、教授:学生の比率が重視されたり、Participation Gradeといって、授業への参加と発言が成績に反映されるなど、ディスカッションは教育の要とされてきました。
対面での自由なディスカッションができないということは、学生にとっても教職員にとっても、衝撃的な変化として捉えられました。
わたしが参加した教職員向けのトレーニングでは、ディスカッションをどうするかということが盛んに議論され、春休み中に行った学生へのアンケートも、ディスカッションができないのではないか、という不安の声であふれていました。
Zoomの導入
この「対面」での授業を補うべく、ZoomというWeb会議のためのツールが導入されました。大学がZoomと契約して間もなく、教職員には、それぞれアカウントが準備され、Canvasのシステム上でZoom授業を設定できるようになりました。
教職員に対して真っ先に提供されたトレーニングは、Canvas、Zoom、そして、ビデオコンテンツを作成できるPanoptoというツールの使い方でした。わたし自身、それまで、Zoomは一度、面接で利用したのみだったので、今回はZoomのさまざまな機能を知る良いきっかけになりました。
実際のディスカッションへのZoomの活用については、また追って書きたいと思います。
次回は、コロナ禍のオンライン授業と、一般的になりつつある「オンライン講座」の違いについて、お話しします。
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