アドラー用ヘッダ

私たちは相手の性格を知りたいのです。なぜならそれが相手と付き合っていくために役に立つからです。(ライフスタイル論#01)

2017年2月6日

(月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています)

前回は「自分の関心をコントロールすること」ということで勇気づけの方法について書きました。

今回から、これもアドラー心理学の中心的なアイデアである「ライフスタイル」について書いていきたいと思います。

現代は普通の会話で「性格」「パーソナリティ」「キャラ(キャラクター)」といった単語を使っています。まわりの人をその性格や行動パターンでタイプ分けすることは、昔から行われてきました。おそらく、そうすることで相手のことを納得したり、相手の行動を予測できるというメリットがあるからでしょう。

実証データの裏付けがない「血液型別性格占い」が日本で浸透しているのも、「あの人AB型なんだって」「ああ、やっぱりね」というような会話が成立するためでしょう。私たちは相手の性格を知りたいのです。なぜならその情報が相手と付き合っていくために役に立つからです。

もし血液型を教えてもらうだけで、その人の性格がわかるとすれば便利です。しかし実際には血液型と性格には関係がありません。したがって血液型を聞いてもその人の性格を予測することはできません。それでも当たっていると錯覚するのは、当たっているところだけを取り出し、それ以外のことを無視しているからです。

質問に答えていくと、あなたの性格を16タイプのどれかに分類してくれるテストもあります。これは、ユングの「タイプ論」に基づいています。ユングのタイプ論では、まず心のエネルギーが内側に向いている人を「内向」、外側に向いている人を「外向」と分けます。そのあとに、心の4つの働き「思考」「感情」「感覚」「直観」のどれが一番強く働くかで分けます。そうすると全部で2 x 4 = 8つのタイプに分けることができます。16タイプに分けるテストはこのユングのタイプ論をアレンジしたものです。

最新の心理学研究によると、人の性格は5つの因子によって記述できます。その5つとは、「外向性(Extraversion)、情緒安定性(神経症傾向 Neuroticism)、協調性(Agreeableness)、良識性(Conscientiousness)、開放性(Openness)」です。これらの5つの因子の強さによってその人の性格が表現できます。この5つの因子は「ビッグ・ファイブ」と呼ばれています。

ビッグ・ファイブでは、5つの因子の強さの組み合わせによってその人の性格が記述できると考えています。このような考え方を「特性論」と呼びます。一方、16タイプのテストでは最終的には16種類のタイプに分けています。これを「類型論」と呼びます。とはいえ、タイプに分ける前はそれぞれの因子の強さを算出しますので、この段階では特性論的な見方をしています。限られた類型に分けるのは、その記述をしやすくするためです。

さて、こうした特性論的な性格の捉え方は現代心理学が取っている立場ですが、アドラーのライフスタイルはこれとは一線を画しています。

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