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026 [アドラー心理学] 感情にはいつでも目的がある

今回は、感情を取り上げます。まず現代心理学における感情の捉え方を説明したあとで、アドラー心理学では感情をどのようにとらえ、どのように対処しようとするのかについて説明したいと思います。ネガティブな感情が人のウェルネスを壊していくことが社会的な問題となっています。これに対してどのように対処していけばいいのかについてアドラー心理学はヒントを与えてくれるでしょう。

・感情の問題を考えるときスタートレックに出てくる冷静なバルカン人を思い出します

現代ほど感情の問題が重要になっている時代はないかもしれません。感情は、私たちが幸せに生きるための鍵でもあり、一方で私たちを悩ませる元にもなっています。いつでもイライラしている人もいますし、ときどき怒りで爆発する人もいます。一方で、楽しい感情やワクワクする感情などのポジティブな感情は、私たちに幸せを感じさせてくれます。

イライラしたり、怒りを爆発させてしまうと、人間関係は簡単に壊れます。ましてや、そうした感情を頻繁に起こしていると、誰からも遠ざけられてしまうでしょう。そうならないために怒りをコントロールする方法も考えられています。アンガーマネジメント(怒りのコントロール)と呼ばれる手法です。このようなことが考えだされているということは、逆に言えば、怒りをコントロールすることが難しいということの裏返しなのでしょう。

感情の問題を考えるとき、私はいつもSFの「スタートレック」に出てくる異星人であるバルカン人のことを思い出します。彼らは、感情的な反応を強い自制心によって抑え込んでおり、いつでも冷静で論理的な振る舞いをします。バルカン人の一人であるスポックを見ると、いつでも私は「ああ、バルカン人のようになりたい」と思ったりするのです。

・ポジティブ感情は思考と行動のレパートリーを広げる

スタートレックに出てくるバルカン人のように、もし感情という厄介なものがなければスッキリ生きられるかもしれません。とはいえ、そんなわけにはいきませんし、人類が感情という機能を進化させてきたからには何らかの理由があるはずです。

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