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ファーストコンタクト・ライブラリ

2017年から継続して書いているマガジン「ちはるのファーストコンタクト」からテーマに沿った記事を編集して公開します。テーマは、アドラー心理学、教える技術、おとなの研究生活、そのほ…
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#アドラー心理学

038 [アドラー心理学] 共同体感覚と勇気

アドラー心理学の中核をなすアイデアは、劣等感とその補償、ライフスタイル、そして共同体感覚の3つです。今回はその中でも最も重要な共同体感覚を紹介します。さらに、「勇気の心理学」と形容されることもあるアドラー心理学における「勇気」について取り上げたいと思います。 思想/理論/技法という3つの階層アドラー心理学は、「思想/理論/技法」という3階層からなっています。 まず、真ん中の理論の階層は、「5つの基本前提」です。それは、目的論/全体論/仮想論/社会統合論/個人の主体性の5つ

034 [アドラー心理学] アドラー心理学を21世紀にどう位置づけるか:その良さと独自性

前回は、アドラー心理学の理論的な枠組みについて書きました。今回はその後半として、アドラー心理学のキー概念と独自の治療技法について説明します。そしてアドラー心理学が現代の私たちにどのような意味を持ち、どのように役立つかについて書きたいと思います。 アドラー心理学の3つのキー概念理論の有用性は、簡潔性と予測性の2つの軸で評価することができます。科学の理論であっても、個人的なプライベート理論であっても、それが単純であれば、適用範囲が広くなりますし、さらに良く当たるものであれば便利

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030 [アドラー心理学] アドラー心理学を21世紀にどう位置づけるか:基本前提の意味

アドラーブームの表面的な嵐は過ぎ去り、収束したように見えます。しかしアドラー心理学の土台は私たちの間に一部定着したかもしれません。そうした中で、100年を経たアドラー心理学を21世紀の私たちがどうとらえ、どう使うかということについて書きます。 ・100年を経たアドラー心理学を21世紀の私たちがどうとらえるかアドラー心理学は、ミリオンセラー『嫌われる勇気』によって広く知られ、コミックでも読まれ、テレビドラマにもなり、さまざまなセミナーで「アドラー流」や「アドラーに基づく」とタ

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026 [アドラー心理学] 感情にはいつでも目的がある

今回は、感情を取り上げます。まず現代心理学における感情の捉え方を説明したあとで、アドラー心理学では感情をどのようにとらえ、どのように対処しようとするのかについて説明したいと思います。ネガティブな感情が人のウェルネスを壊していくことが社会的な問題となっています。これに対してどのように対処していけばいいのかについてアドラー心理学はヒントを与えてくれるでしょう。 ・感情の問題を考えるときスタートレックに出てくる冷静なバルカン人を思い出します現代ほど感情の問題が重要になっている時代

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022 [アドラー心理学] 早期回想とエピソード分析というアドラー独自の技法

今回は、心理療法としてのアドラー心理学について説明します。アドラーの時代(20世紀初頭)は臨床心理学がやっとその芽を出したところでした。ですので、その技法としてもたくさんのものがあるわけではありませんでした。フロイトの自由連想法や夢分析は、クライエントの無意識を探るための技法として画期的なものでした。 ・アドラーにとっての無意識一方で、アドラーは、無意識も意識も個人として統合されているというモデルをとりましたので、無意識を探るということには重心をおきませんでした。それは無意

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018 [アドラー心理学] アドラー心理学は自己啓発心理学ではない

私はアドラー心理学について研究しています。アドラーというと、「心理学の三大巨頭の一人」であるとか「自己啓発の源流」とかのキャッチフレーズがついています。それも判で押したようにです。コピペがコピペを呼んだという感じでしょうか。 フロイト、アドラー、ユング(生まれた順)は確かに「臨床心理学の基礎を築いた3人」ではあるでしょう。しかし、「心理学の三大巨頭」は明らかに言い過ぎ、あるいは「盛り過ぎ」です。なぜなら、臨床心理学は広大な心理学の1つの領域に過ぎませんから。 さらに腑に落

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014 [アドラー心理学] 葛藤場面の中で自分のライフスタイルがわかる

ファーストコンタクト・ライブラリの [アドラー心理学] のここまでの話は、 003 [アドラー心理学] 自己肯定感、自尊心、そして劣等感 007 [アドラー心理学] 教育から仕事、そしてウェルネスへ 011 [アドラー心理学] ポジティブ心理学の起源としてのアドラー心理学 とつなげてきました。 今回は、「劣等感とその補償」と並んで、アドラー心理学の中心概念の1つである「ライフスタイル」を取り上げます。ライフスタイルは今で言えば性格やパーソナリティと言い換えられる概念です

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011 [アドラー心理学] ポジティブ心理学の起源としてのアドラー心理学

ファーストコンタクト・ライブラリの [アドラー心理学] のここまでの話は 003 [アドラー心理学] 自己肯定感、自尊心、そして劣等感 007 [アドラー心理学] 教育から仕事、そしてウェルネスへ とつなげてきました。 今回は、近年広がりを見せているポジティブ心理学とアドラー心理学との関係についてお話ししたいと思います。 ■ポジティブ心理学とは何かポジティブ心理学が広がりを見せています。日本ポジティブ心理学協会のサイトによると、ポジティブ心理学は次のように説明されています

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003 [アドラー心理学] 自己肯定感、自尊心、そして劣等感

先日のエクステンションセンター「アドラー心理学入門」で「自己肯定感が低い」あるいは「自尊心が低い」ということで悩んでいる人が何人かいました。今回は、アドラー心理学から見た、自己肯定感、自尊心とはどういうことかを、劣等感という概念をからめて考えてみたいと思います。 ・国際的に見ても日本人は自己肯定感が低い国際比較によると(平成26年版子ども・若者白書)、日本では「自分自身に満足している」や「自分には長所がある」といった質問に対する肯定的な回答の割合が小さくなっています。 h

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