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030 [アドラー心理学] アドラー心理学を21世紀にどう位置づけるか:基本前提の意味

アドラーブームの表面的な嵐は過ぎ去り、収束したように見えます。しかしアドラー心理学の土台は私たちの間に一部定着したかもしれません。そうした中で、100年を経たアドラー心理学を21世紀の私たちがどうとらえ、どう使うかということについて書きます。

・100年を経たアドラー心理学を21世紀の私たちがどうとらえるか

アドラー心理学は、ミリオンセラー『嫌われる勇気』によって広く知られ、コミックでも読まれ、テレビドラマにもなり、さまざまなセミナーで「アドラー流」や「アドラーに基づく」とタイトルで使われるに至りました。その背景には、フレーズとして切り出してきただけでも斬新なものとなるアドラー心理学独特の考え方と理論があるからでしょう。

確かに、「あなたの人生はあなた自身が決める」や「過去は変えられない。未来を見よう」や「他者に貢献することが幸せにつながる」と言ったフレーズはインスタントに勇気を与えてくれるものです。とはいえ、そのフレーズの基礎となっている考え方を知らなければ、ただ表面的に「勇気づけ」られているだけなのかもしれません。

まあ、それでもいいのかもしれません。しかし、その基礎となっている理論の全体を知れば、なぜそのようなフレーズが出てきたのかということを理解することができます。そうした深い理解を得て、初めてアドラー心理学が、自分自身とその生き方を考える上で役に立ち、指針になるのではないかと思っています。

アドラーから100年を経て、現代の心理学はさまざまな領域に発展し、私たちの心と生き方を解明する上で進歩しています。しかし、その発端としてアドラーは現代の心理学に直接つながるアイデアを提示していました。それが21世紀の今、私たちがもう一度アドラー心理学を学ぶことの意味です。アドラーのアイデアがわかり、現代の心理学がわかり、それらを自分の人生に役立てることができるのです。

・アドラー心理学への5つのアプローチ

アドラーから100年を経て、現代の心理学はさまざまな領域に発展し、私たちの心と生き方を解明する上で進歩しています。しかし、その発端としてアドラーは現代の心理学に直接つながるアイデアを提示していました。それが21世紀の今、私たちがもう一度アドラー心理学を学ぶことの意味です。アドラーのアイデアがわかり、現代の心理学がわかり、それらを自分の人生に役立てることができるのです。

さて、一口にアドラー心理学といっても、そこからどのようなイメージを引き出すかは様々です。ある人は「自己啓発の先駆」として人生を生きていくための警句やヒントを見出そうとするかもしれません。また、ある人は心理療法やカウンセリングの流派としてのアドラーを思い浮かべるかもしれません。さらには、人間関係をどのように築いていくかについての実践的なノウハウを導き出そうとする人もいるかもしれません。

私はアドラー心理学にアプローチする道のりとして次の5つの種類を考えています。

(1) 5つの基本前提
(2) 3つのキー概念
(3) 治療技法とケーススタディ
(4) 応用領域
(5) 現代心理学へのつながり

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