見出し画像

デザイン科OBインタビュー 佐原健先輩 後編

都立工芸高校デザイン科の進路学習の一環として行なうインタビュー企画、今回は本田技術研究所のデザイン室で四輪車のエクステリアデザインを担当する佐原先輩にお話を伺いました。
インタビュアー: OBインタビュー担当生徒3名


前編ではデザイナーとしてのお仕事の概要について、中編では進路選択のお話や具体的なお仕事の内容についてお話いただきました。続く後編では工芸高校在学当時のお話について伺います。

前編はこちら

中編はこちら

ー当時の工芸高校の雰囲気について教えて下さい。

(過去の写真を見ながら)当時の僕は、この金髪で眼鏡かけてる人ですね。3年間で髪が黒かったことが無いんです。ずっといろんな色にしてました。工芸祭の時の控え室が真ん中の写真で、今でもそうかもしれないですけど、和気あいあいとした感じで。

ー今とあんまり変わらないです。

でこの右側の写真に写ってる謎の黄色い液体、これ化学の選択授業の写真ですが、先生がワインを作ろうって言い出したんです (笑)。山梨まで行って葡萄を買って、帰ってきてすり潰して、酵母を入れて、瓶に入れて冷蔵庫に寝かせてワインを作って、卒業の時に20歳になったら飲めよって渡されました。

スクリーンショット 2021-11-18 8.58.23

次の写真は僕の卒業制作ですね。1人になって籠るための宇宙船のようなプロダクトといったコンセプトの作品でした。

スクリーンショット 2021-11-18 8.16.15

最後の写真が1999年の工芸祭。僕らと一緒に定年で退職された先生がいて、その先生に色んな民族衣装を着せたイラストを描きました。あと、ビーナスの大きな石膏像を囲んでライブデッサンをやりました。

僕は課題研究の授業でギター作ったんですけど、ギタークラフトにはまってた時期で(笑) 市販の1番安いやつを買ってきて、それをバラして削って、塗装したり切ったり、自分の好きなギターを作りました。当時はこんな感じでしたけど、今のデザイン科は逆にどうなのかな。

スクリーンショット 2021-11-18 9.05.59

ーそんなに変わらないかもしれないです。意外と今の工芸高校と雰囲気が同じで、なんだか親近感が湧きました。

でも、当時はスマホっていうものが無かった時代で、皆ガラケーなんですよね。

ー確かにそうですね。


だからスマホいじってる人は当然居なくって、その間皆音楽を聴くとか雑誌読んだりしてました。

当時、水道橋の工芸高校の周りに、ありとあらゆるファストフードのお店があって、マクドナルドもあるしケンタッキーもあるし、ミスタードーナツもあったし、ダンキンドーナツっていうお店もあったんです。だから学校終わったらその辺に行ってお茶1杯だけ頼んでずっと喋ってて、最後店員さんに追い出されたら東京ドームの外の広いところでまただベって、みたいな感じでしたね。

ー最後に、学生のうちにやっておくべきこととかはありますか。

自分の経験でしか語れないけど、今のうちに勉強しておいたほうがいいよってことかな。やっぱり大人になってから勉強したいとか勉強しときゃ良かったな、ってみんな思うんです。大人になってから気づいてまた若い人にそう言ったりするんですけど。

もう一つは感性を養うことですかね。普通高校の高校生だと、デザインを本格的に学ぶのは進学後の18歳くらいからだけど、デザインの勉強を15歳とか16歳から始めている工芸高校の人たちは、センスとか物を見て何かを感じる力が違うと思うんです。それを早いうちに磨いておくっていうのは、プロのデザイナーになってもそうじゃなくても大事な財産になると思います。

工芸時代の友達には主婦として子育てしている友達もいるんですけど、子供の為に何かを作ったりとか、ちょっとイラストを描いたりというところで他の人と全然違う何かが飛び出すんですね。何かを見ていいなと思ったり、真似して自分も作ってみたりとか描いてみたり、そういう体験をいっぱいしておくのがいいと思いますね。

<同じく工芸高校出身で佐原先輩の上司、山岸政彦先輩からもメッセージをいただきました>

僕は佐原さんよりもだいぶ前に工芸を卒業したけど、やっぱり若いうちから水道橋っていう山手線の内側で勉強して感性を磨くっていうことは本当に大事で、僕もそのおかげで今の自分があると思っています。現役工芸生の皆さんも工芸高校は地理的にもすごく有利だっていうのを再認識してもらいたいですね。


もう1つは、多分最近は進学する生徒さんも多いと思うけど、本田技研には佐原さんがやっている自動車の外観だけじゃなくて、インテリアのデザインもあれば、CMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)、ファブリックといった領域の仕事もあります。

ホンダは幅広く人材の募集をしているので、もし機会があったらホンダの採用にも是非チャレンジしてください。工芸高校の先輩はホンダの中に沢山居ますし、待ってますので!

画像1

ーお二方、貴重なお話ありがとうございました!


「Honda e 」については、書店にて販売しているAXIS増刊「Hondaデザインのリアル」にて佐原先輩のインンタビュー含めて詳しく紹介されています。ぜひチェックしてみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?