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法制審家族法制部会第15回議事録1~北村幹事・武田委員・佐野幹事

8月の共同親権Day(22日)、にわか高校野球ファン

ムネアツに感動しちゃうけど、そろそろ議事録読むのを再開しましょー
15回の分ね

 法制審議会家族法制部会

第15回会議 議事録
 
第1 日 時  令和4年6月7日(火)  自 午後1時30分
                     至 午後5時32分
第2 場 所  法務省大会議室
第3 議 題  養子制度、財産分与制度に関する規律の検討(二読)
第4 議 事  (次のとおり)
 
議        事
○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会家族法制部会の第15回会議を開会いたします。
  本日は御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。本日も前回までと同様、ウェブ会議を併用した開催となりますけれども、よろしくお願いを申し上げます。
  まず、本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局の方から説明をお願いいたします。

養子のテーマも大事よ

○北村幹事

 事務当局でございます。今回ですけれども、新たに作成した部会資料はございません。本日は、前回会議の際に送付いたしました部会資料14に基づいて御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  資料の説明は以上になります。
  今回もウェブ会議を併用していることから、御発言に当たっては、冒頭でお名前をおなのりいただきますよう、よろしくお願いいたします。
○大村部会長 ありがとうございました。
  それでは、本日の審議に入りたいと思います。ただいま事務当局から説明がありましたように、本日は前回会議の積み残しになっております部会資料14に基づきまして、御議論を頂きたいと考えております。
  具体的な進行の段取りですけれども、前回会議の最後に部会資料14のうちの第1の1、「未成年養子縁組の成立要件」という部分、資料で申しますと1ページから10ページ目までですが、この部分について御説明を頂いておりますので、本日はまず、この部分についてまとめて御議論を頂きたいと思います。その後に、養子に関する後半の部分、第1の2、「未成年養子縁組の効果」、それから第1の「3 未成年養子縁組の離縁」という部分、資料で申しますと10ページから16ページまでということになりますが、この部分をまとめて御議論いただくということを予定しております。最後に、第2の「財産分与制度に関する規律の在り方」これは16ページ以下ということになりますが、これは1から8までをまとめて御議論いただきたいと考えております。以上のように三つに分けて御意見を頂戴したいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
  なお、この部会の審議は2巡目もそろそろ終わりに近づいております。前回も御意見がありましたけれども、これまでに出ている論点について、あるいはその他の論点について、更に議論をしたいという御希望をお持ちの方も多いと認識をしております。基本的には、前回の最後に申し上げましたように、中間試案の取りまとめに向けた議論の中で、御意見を述べていただきたいと考えておりますが、もし本日の会議で、最後に多少時間が残るようであれば、その時間を使って御意見を頂くということも考えております。時間確保のためにも、部会資料14の審議につきまして御協力いただければ幸いに存じます。
  まず、部会資料14の第1の1の部分につきまして、意見交換に入りたいと思います。御意見等あります方は、どなたからでも結構ですので、自由に御発言をお願いいたします。挙手をお願いいたします。

15回目だけど資料14を使う

○武田委員

 親子ネット、武田でございます。本日もよろしくお願いいたします。
  まず、この養子制度全般、第1、養子制度に関する規律の個々の論点ということで、個別の論点七つほど出ていると思いますが、その個別の論点の前に総論的に触れさせていただき、その後、それぞれの各論に関して意見を述べさせていただければと存じます。
  1巡目の議論の中で、第9回会議だったと思いますが、私からは、明治学院大学の野沢先生の論文を提出しまして、親とは誰かと、ステップファミリーにおける親とは誰かという問題提起をさせていただいたと記憶しています。
  続いて、第12回会議でも、子どもの権利条約の考え方に立って法改正をやってきた欧米、こういった諸外国では、親子関係が夫婦関係に優先して、親の婚姻状態にかかわらず親子関係は継続すると。我が国も、是非この機会に、大人中心の視点から子ども中心の視点への転換が必要と、こんなふうに述べさせていただいたと記憶をしております。
  一方、今回部会資料14が配布されました。こちらを拝見する限り、まだまだ婚姻関係が親子関係に優先している、ちょっとこのように読めてしまうなって思っています。親子関係というものは、親が誰と結婚、離婚、その後の再婚と、こういう大人の都合で変化するものと思います。当然ここには、子ども独自の権利を考慮すべきですが、あまり想定されていないように感じています。今更ながらですが、子どもの権利条約が想定しているのは、このように大人の都合で子どもの権利が損なわれている状態、これを変えることではないかと思っています。親の都合で子どもから親が奪われてしまうことがないように制度を変えるべき、そのような勧告が国連の子どもの権利委員会からも出されている、こういった意味が、まだまだ今の議論の中では反映されていないように感じています。
  これまで一貫して述べてまいりましたけれども、離婚により両親の葛藤や、一方の親を喪失する体験、これは大きな子どもにとっての苦痛であろうと思います。しかし、再婚というのは、子どもにとっては更に適応が難しい家族変化であろうと思います。ここまでの議論では、面会交流であるとか養育費の支払であるとか、どちらかというと非親権親とのつながりを少しでも継続する方向に、曲がりなりにも検討が向かっているように、私個人的には感じていました。であるなら、この継親子、養子縁組した後の非監護親というのは、子どもにとってどのような存在になることを想定しているのかというところが、まだまだ見えないなと思っています。子どもの利益、権利、これを中心に据えて、現行制度の問題点を検討していくのであれば、再婚で親が入れ替わるということこそ、適応に苦しむ局面なのではないかと思います。離婚後も一定の関わり合いがあるとして、子どもと暮らす親権者が再婚、その後養子縁組した後は、非親権親には関わりを断ってもらうという想定なのでしょうか。本来であれば、この辺りをもう少し方向性を明確にして議論をすべきではなかろうかというのが、私の意見でございます。
  諸外国の取組をそのまま持ってくる、これも乱暴な議論ということは当然分かっておりますが、1巡目の議論でも申し上げましたとおり、諸外国がどのように離婚後の親子関係、継親子関係に関して展開してきたのか、これは、いろいろ資料を探しまして、我が国でのステップファミリー支援団体、ステップファミリー・アソシエーション・オブ・ジャパンと、略称SAJさんという団体がございまして、ここに、論文も出させていただいた明治学院大学の野沢先生も協力して、2015年にシンポジウムが開催されています。私も当時出席した記憶がございます。米国に関しましては、ミズーリ大学のローレンス・ギャノン先生、マリリン・コールマン先生、ニュージーランドに関してはビクトリア大学のジャン・ブライヤー先生、それぞれの国でのステップファミリー制度に対して講演を行っています。ちょっと資料の分量が多かったので、本日は配布をお願いしませんでしたけれども、可能であれば、委員、幹事の先生方に、該当箇所を明示した上で、事務局を通じてURLだけでも御案内させていただけないかなと、そんなふうに感じております。
  総論が長くなりましたが、それぞれの論点に関して意見を申し述べたいと思います。
  まず1点目、家裁の許可の要否に関しては、1巡目の発言同様、案③、家裁許可を必要とする方向かなと思います。理由は、家裁関与にすることで、子どもの意向確認、継親となる者に対して一定の親講座的なもの、こういうものを与える機会を作れないかと、こんな理由から案③を推させていただきたいなと思います。
  順番飛びまして、(4)代諾縁組、これについては廃止すべきと考えております。家裁関与にして、(5)の養子の必要的聴取も、現行の家事事件手続法にのっとり、子の意向確認をしていく方向なのではないかなと、そんなふうに感じています。
  戻りまして(2)です。家裁の許可に係る考慮要素及び許可基準に関してです。これは、考慮要素をもう少し明確化いただかないと、現時点でちょっと判断するのが難しいところかなと思っています。1巡目で私の方から紹介させていただきました目黒の結愛ちゃん事件の継父のように、無理やり親になろうとする、こういう意欲を肯定的に捉えるような考慮要素になってしまうようであれば、これはこれでリスクでしかないのかなと考えます。
  6点目、養親になろうとする者による養子の意向確認に関して、こちらについては反対です。夫婦関係が親子関係に優先する考え方の下、このような意向確認をして、子の意向が把握できるとは思えません。(1)で述べた再婚前親講座のようなベースがあって初めて検討できるようになるのではないかと、そんなふうに考えています。
  最後ですね、7点目の父母の関与に関してです。部会資料14、9ページに親権や監護権を有しない者に代諾や上記同様の関与は慎重に検討すべきとありますが、ちょっと今、まだ判然としない部分、具体的には、こちらの記載によると、監護者を1名に指定する前提のように読めます。仮に主たる監護者ということで1名を指定したとしても、私は、共同監護というものは否定されないのではないかという認識です。共同監護者の定義をどうするかという議論は、今まだなされておりませんが、まずこういった共同監護者という存在を認めた上で、父母の関与を検討することが必要なのではなかろうかと思います。
  最後になります。養子縁組後の父母の関与ですね。親権や監護権に基づくというよりは、私は父母固有のものであると思います。特別養子のように、相続権も含めて法的に親子関係が解消されるというわけではありませんが、再婚後、養子縁組後は、実親と子の断絶が行われている事例が多いと思っています。当然拒否的な濫用があってはいけませんが、一定の関与方法を検討していくべきと、このような立場でございます。
  長くなりましたが、以上です。
○大村部会長 ありがとうございます。武田委員からは、一般論あるいは総論として、婚姻と親子の関係について、親子優先という方向で考えるべきだという御意見を頂きました。特に、再婚の場合に、非監護親との関係について配慮をする必要があるだろうということだったかと思います。
  具体的な問題については、大きく分けて二つあったのかと思って伺っておりました。一つは家裁の関与の仕方についてで、未成年の養子縁組については家裁関与を必要とするという方向で考えたいという御意見。代諾は廃止とおっしゃったと思いますが、それも家裁の判断に委ねるという御趣旨だったでしょうか。他方、関係者の取扱いのうち、子どもの意向の確認については、現在のこの条件の下では反対である、父母の関与については、父母の固有に権利ないし権限として考えるべきだといった御意見だったと伺いました。ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。

ステップファミリーの野沢さん推し


○佐野幹事


 幹事の佐野です。私も総論と各論ということでお話しさせていただければと思います。
 まず総論的なところは、これは武田さんと同じような考えになるのかもしれませんけれども、やはり普通養子制度も子どもの利益、福祉のための制度という点で趣旨を一貫すべきではないかと思います。やはり養子縁組というのは人為的に法的な親子関係を創設するという、非常に子どもにとって重大な影響を及ぼすことになりますので、それをきちんと踏まえていくべきかと思います。
 その観点から、各論ということで申し上げますと、まず、1番目の家裁の許可ですが、家庭裁判所は、これに関しては全て関わるべきと考えます。せめて代諾縁組の部分については、家裁の許可を必要とするオプションがあってもいいのではと、個人的には思っております。その上で、考慮要素、これを法定することについては肯定的に考えておりますけれども、その中には子の意向、心情の把握というのは必須だと思っております。直前に養子縁組に関する調査報告を頂きましたけれども、それを見ても、子どもに対する説明や意向の確認や聴取というのが、なされていない実情が見えてきているのではないかと感じました。精読させていただければと思いますが、非常に興味深い内容だったと思っております。
 それから、(3)の夫婦共同縁組については特に異論がないのですけれども、代諾と必要的聴取の関係については難しいと思っておりまして、特に代諾については、例えば、中学生ぐらいの子が、親の代諾で養子縁組をされてしまうということが、果たしてそれでよいのかという思いもあります。先ほど申し上げたように、せめて代諾の部分については、家裁の許可が入るのであれば、子どもの意向が聴取されればよいのですが、他方で、代諾縁組の年齢を下げるということになると、今度は中学生の子が自分で、単独で養子縁組できてしまうということになりますので、それも若干法的な効果を理解ができているのかという心配がございます。やはり、家裁の許可の中で、子どもの意向を確認していくという手続が必要なのではないかと思います。
 それから、父母の関与、実親の関与というところですが、ここも結局事案によるように思います。それまで全く関与してこなかった実親と、継続的に関与してきた実親を同様に考えられるかというと違うのではないか、また、DV加害者だった実親に関与の機会を提供することで監護親と子どもの安全性が害されるということもあります。そういった従前の関係性も踏まえた上で、家裁の許可の中で聴取の必要性なども検討すべきことなのではないかと思います。さらには、ほかに実親以外に、監護親あるいは監護している人がいる場合には、その監護している人に確認をするとか、そういったことも必要になってくるかと思います。
 その点に関連して、効果の部分にも関連するのですけれども、当事者の方と接していて思うのですが、離婚後、他方の親が関与したいという理由の一つには、連れ子養子縁組をされてしまうと親権変更ができないという点が大きくあります。監護親に勝手に養子縁組されないように関与したいというニーズがあるものですから、連れ子養子をした後も親権変更ができるという枠組みを残しておくと、実親が養子縁組に関与したいというニーズを少しは軽減できるようにも思います。
○大村部会長 ありがとうございます。佐野幹事からも、総論、各論に分けて御発言がありましたが、総論としては、普通養子縁組、ここで言う未成年養子縁組についても、やはり子どもの利益を中心に考えるべきであるという御意見をいただきました。
 各論については、大きく分けてやはり二つかと思いますが、一つは家裁の許可について、これをやはり必要とする方向で考えたいが、せめて代諾の場合については必要としたいという御意見とともに、代諾について年齢を下げるという対応には、子ども本人の判断の当否という観点から問題があるのではないかといった御指摘があったかと思います。他方、考慮要素として子の心情を勘案するということは重要だという御指摘もあったかと思います。もう一つは、実親の関与についてですが、こちらは事案によるのではないかというお話と、それから養子縁組後の親権変更の道を開いておくということが問題を軽減するのにつながるという御指摘だったと思います。ありがとうございます。
  ほかにはいかがでしょうか。

佐野弁護士がよく問題の所在を理解されていることがわかる

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