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作花先生の無戸籍児問題研修会レポ

離婚の話合い方について連載しているところでありますが,ちょうど,弁護士会の方で,作花先生をお招きして,無戸籍児問題についてご講演いただきましたので,レポることといたします

企画自体はずいぶん前から発案していたものの,岡山にいる先生を多摩支部(東京駅からももうちょいある)にお越しいただくには,といろいろあって断念していた経緯があった

時代は,オンライン研修会

遠隔であることを厭わなくなった時代よありがとう!!ZOOMにて,多くの先生方にも聴講いただく盛会となった

戸籍について触れだすと,アレルギー反応が起こることがあるようだけど,現に,今,無戸籍状態で困っている人がいる

戸籍に愛着がある人がいるのはともかく,今の戸籍の形のせいで,窮屈に思うのか,結局,犠牲になっているのは,子ども

子どもの権利条約によれば,出生後速やかに登録される権利がある

それにもかかわらず,出生届を出しづらいエラーの中で,子どもに迷惑をかけることになっていく

そういう子どももそのまま大人になってしまって,親になって,無戸籍が二世代に渡ることまで起きている

この問題をやはり違憲訴訟というカタチで世に知らしめ,実質的に,無戸籍問題への手当を開始するよう国にハッパをかけているのが,作花先生

再婚禁止期間違憲判決を勝ち取り,長年問題提起されていた民法の規定を変えさせたという偉業をすでに果たしているほか,サイボウズの青野社長が原告になったことで有名なニュー選択的夫婦別姓訴訟も担当され,今や,来月判決を控えている単独親権制違憲裁判,連れ去り不問の立法不作違憲裁判,自由面会交流裁判といった3部作も担っていらっしゃる

無戸籍問題WG(ワーキンググループ)は,無戸籍問題解消のための支援体制を強化する一環で,多摩地域の問題は多摩支部で救えるよう発足し,無戸籍問題相談体制も整備しているところ,改めて学びたくご講演を依頼することとなった

気づいたら,Twitterを介してご縁あったので窓口になっていた経緯あって,研修会のファシリを務めることになる

ZOOMのホストは事務局に設定してもらいながら,拙く引き受ける

あんまり慣れていないおかげで,研修会に参加するときは,出席確認をチャットに記すアナウンスもそこそこ,早々に作花先生にパスして,内容を解説していただく

無戸籍児問題の基本から 民法772条に問題

1 民法772条
1項「妻が婚姻中に懐胎した子は,夫の子と推定する。」
2項「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は,婚姻中に懐胎したものと推定する。」

嫡出推定が強く機能しすぎてしまう問題

親子関係不存在調停にせよ,認知調停にせよ,申立自体避けてしまうというエラーが起きる

その背景には,嫡出否認権(民法774条「第772条の場合において,夫は,子が嫡出であることを否認することができる。」)が「夫」にしかないことの問題

出生届が出せないとどうなる?無戸籍児とは?

戸籍がない。住民票がない。子の修学通知が届かない。修学経験なし。
運転免許証を作れない。銀行口座を開設できない。選挙権行使できず。

無戸籍の親子宅で母親が餓死(大阪)「助け求められず」(産経新聞令和2年12月24日配信の記事)

といった最近の報道もある

嫡出推定の及ばない子の理論も絶対ではない

婚姻解消後300日以内に出生した子であっても,母とその夫とが届出より約2年半以前から事実上の離婚をしていた場合には,嫡出の推定を受けない(最高裁昭和44年5月29日判決)

戸籍の記載前に住民票を作成できる,が

裁判手続などがある場合に限定

救済策:医師による懐胎時期の証明付で,離婚後に妊娠したが300日以内に生れた,早産のケースのみ

(「婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子の出生の届出の取扱いについて」平成19年5月7日民1第1007民事局長通達)。

子の懐胎が離婚前の場合は解決されないまま

要は,DNA鑑定などなかった時代に,血縁関係はともかく,どこかのイエに所属させることで,父のいない子にさえさせなければとりあえず,子どもは生き延びれるっしょ,のノリ?としか思えない嫡出推定制度が,今となっては歪すぎて,声にするまでもないけども,戸籍に抵抗する意識が自然と出生届の未提出を招き,無戸籍児を産み出していることが改めて理解されていく

国の発表では700~800人いると言われている無戸籍者(それだけでも多い)だが,そりゃ,無戸籍なだけあって,カウントの方法がなく,推定される数としては,10,000人とも語られているという

何とかしないといけないということで法務省も立ち上がり,弁護士会も何かしようと思うものの,困っている人と繋がること自体一苦労

作花先生のご活躍によって,自ずと問合せがあるというから,そのために前のめりに発信していく意義を感じる

再婚禁止期間違憲訴訟についても

改めて違憲判決を獲得したあの訴訟にも言及していただいた

違憲訴訟の戦略的な解説も大変参考になっていく

無戸籍児違憲訴訟で得たもの

こちらは,違憲判決にこそならなかったものの,問題提起をすることが,社会を動かす力になること,地元メディアを巻き込んでいく手法などが大変参考になっていく

無戸籍児問題が生じないための制度の利用例

いつも憲法裁判をダイナミックにアクションするだけでなく,個別の案件というのも果敢に取り組んでいくこと,両アプローチの意義をさらに感じる

学び深く,WGの仲間たちからの熱い質疑も飛び交いつつ,せっかくなので,と時間いっぱいに,作花先生のお話を聞こうと,テーマは無戸籍問題を飛び越えていく!!!

最新のあの情報まで展開していく,この続きは,ぜひ・・・♪


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