私の税理士事務所敗戦期EPISODE12もしも私が税理士を選ぶとしたら
なくなる職業の上位に税理士が入っていますが,
実際のところどうなんでしょう?
私は、税務に関して仕事は無くならないと思います。
ここ最近の税制改正による税務の複雑化は異常です。
プロの助けを必要としないはずの年末調整や個人の確定申告ですら一般人には理解不能となってきています。
消費税の軽減税率に至ってはアホすぎてFacebookに投稿する気すらおこりません。
政治家と、官僚の感覚が現実と乖離して末期症状を迎えているとしか思えません。
プレミアムフライデーの時もそうでしたが、きっと官僚のなかにそんなアホなと思っていた人もいたと思いますが、それを言えない空気があるのでしょう。
税理士が不要と言われるエストニアでさえ、インボイス制度の付加価値税にだけは会計事務所が存在価値を示していましたので日本で税理士はなくなることはないと思います。
とはいえ、クラウド会計ソフト会社が、さもこれからは税理士は不要みたいなプロパガンダ広告をしたので、確実に一般人のなかでの税理士の価値は下がっていると思います。
これをコモディティ化(日用品化)と呼ぶことができます。
たとえば1本100円のパナソニックの乾電池と、5本で100円のダイソーの乾電池。
もしもパナソニックの乾電池が5倍以上長持ちするのあれば、ブランド価値のあるパナソニックを選ぶ可能性が高いと思います。
これを実際にテストした人がいます。乾電池で機関車トーマスのおもちゃが走りつづける時間を測定したそうです。
パナソニックは10時間28分走り続けました。
一方ダイソーはさすがにこれにはかないませんでした。
10時間20分で力尽きたそうです。
この結果を知ったら私だったらダイソーの乾電池を買います。
つまり得られる結果が変わらなければひとは安いものを選びます。
私は、法人の社長でもありますのでもし自分が税理士でなかったら、どんな税理士だったら価格で選ばないのかを考えてみました。
クラウド会計ソフト会社のプロパガンダに反して 税制が複雑になるほどグレーゾーンが多くなり、税理士によって得られる結果が変わってきます。
まず、私が税理士に頼むとしたら、税務調査で、できれば追徴課税されることなくつつがなく終わらせて欲しいと思います。
そうなるとよく勉強してる人を選ぼうとします。
よく勉強してるひととして、本を書いているひと、ブログやメルマガ、最近だとYoutubeで情報発信している人の中で近くの人を探すと思います。
ユニークな例として、著名な税理士のセミナーのランディングページの受講生の声に必ず実名で感想を投稿する税理士さんがいます。
中小企業の社長さんもその手のセミナーのランディングページを見られるので、よく名前が出ていると熱心に勉強してる税理士さんだと印象づけられ近くの社長さんから問い合わせが入ることがあるそうです。
(投稿のコツもあるそうなのですが、これは営業秘密です。)
事務所の規模はどうでしょう。
国際税務などの高度な知識と情報を必要しないのであれば、小規模の事務所で、経営者感覚のある税理士と直接やり取りができるところを選びます。
望むことは、コンサルタントとかコーチ的役割です。
わざわざ専門のコンサルタントやコーチと契約するのであれば、内情をよく分かっていて気心の知れている税理士がその役割を担ってくれれば有り難いと思います。できれば顧問料に少し上乗せしてその範囲内でやってもらえれば、お手軽です。
その際高度な、経営コンサルティングは望みません。
以前私自身がコンサルタントと契約して定期的にスカイプでコンサルティングを受けていたことがあります。
こちらのやりたいことと関係なく、一方的に他業種の過去の成功事例を当てはめようとしてきました。当然こちらの心は閉じてしまいますので全く成果はでませんでした。
また、コーチングも受けたことがあります。
売上目標のようにシンプルな目標設定ができる営業マンなどであれば有効だとおもいますが、さまざま問題がこんがらがっている経営者の場合、仕事の内容ををよく理解していないコーチからコーチングを受けると無駄に思考が広がり過ぎて逆に混迷の度合いを深める危険性を感じました。
そういう意味で、事業や社長の置かれた現状を把握している税理士が、コンサルタントとコーチの中間の教えない聞くコンサルティングや、やらないことを削ぎ落とすような思考の整理役を担うことはとても有効だと思います。
特に得意な数字をもとにした事実をもとに客観的に話す事は重要です。利益ベースでなく資金繰りベース、たとえば3年後の預金残高などを目標にするとやる気が湧いてきます。
私は今、自分で作ったソフトでセルフコンサルティング的なことをしていますが、その中で気付いたことがあります。
社長が、気になるのは、売上、税金、お金だということです。
経費の削減が最もキャッシュフローに好影響を与えることは明らかです。ですので、経理の奥さんや、税理士はまず社長に経費削減をすすめます。私もそうでした。
粗利率3割の会社の、3万円の経費削減は売上10万円に相当しますなどどいうことを滔滔と得意気に説明していました。
それが社長の、心に響かないことは今ならわかります。
なぜなら、究極のリスク請負業である中小企業の社長になった大きな理由は、
「自由にお金が使いたいから!」です。
私は、weworkという月5万円以上かかるコワーキングスペースを借りていたのですが、月に数回しか行きません。でもそこにいくと、ビールが飲み放題で時代の先端のベンチャー起業家になったような気分を得られる素敵な空間です。
税理士業の方が繁忙期に入ると全く行けなくなるので、セルフコンサルティングの結果、まともに固定費が削減できるため一旦退去することにしました。
その寂しさと言ったら・・・
きっと社長もこんな気分で、いろいろあきらめていることがあるんだろうなあと実感しました。
わかったことは
売上は社長のエネルギーを上げ、経費削減はエネルギーを下げるということです。
では、利益はどうでしょう?
会計学の授業で、企業の目的は利潤(利益)の追求であると習いました。
それでは、利益は社長にとってプラスのエネルギーになるのでしょうか?
多くのケースで、利益はプラスのエネルギーにならないということがわかりました。
なぜなら、本音を言うと社長は、
「できることなら税金は払いたくない!」からです。
社長の頭の中の公式は、利益=税金 です。
これらは経営理念には書けないし決して社員の前では言えませんが、正直な気持ちだと思います。
私が税理士を選ぶとしたらその心情を汲み取りながらも良い方向に導ける人を選びたいと思います。
理解はしても同調しないスタンスのとれる人。
これは、大手税理士事務所の若手社員では難しいだろうと思います。
税金を少なくしようとすると、どうしても利益を少なくする方向に進みがちです。
なので利益ベースで説明しても社長の腹に落ちないのです。
在庫が増えれば利益は増えますが、お金は減りますなどと、説明されたら、
「一体オレはどうすればいいんだ!」と切れられても仕方がありません。
唯一、キャッシュ(預金残高)だけは、嘘をつきません。
潤沢な預金残高は、人間の根源的欲求である、生存欲求を満たしてくれます。
だから預金残高ベースで最もお金が残る方法を、感覚ではなく、数字にして客観的事実を示す必要があると思います。
私は、キャッシュフロー計算書や貸借対照表の説明をすることなく、ダイレクトにお金の動きが分かるツールを作ることを生き甲斐にしています。
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