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伏線の華麗な回収_ザ・ホエール

家で映画を観るってこと。
なんの変哲もない日常で観るとなるとまず2時間くらい集中して観れるチャンスはまず稀で
何かと家のことをしながらになるし、ウトウトしたらすかさず寝ちゃうし
なかなか難しい。

日常の自宅で観たこの ザ・ホエール
劇場鑑賞し損ねた作品だった。
家で観て、最後まで観るのに1週間くらいかかりました。

一回20〜30分ずつ、次観るときは思い出すために前回中断したところから5分くらい戻して観るから
結果劇場よりも長い時間鑑賞することになり無駄に思いが強く蓄積されたかもしれない。

観るまで謎だった、主人公がなぜ巨漢になっているのか。どういう生活をしているか。
話が進んでいくと、それが緩やかな自傷行為というかもう自死行為ということが分かってくるんだけどそれでも自分と、娘と、現実と、過去と穏やかに向き合った結果なのよね(衝動的に激しく向き合えない体調だってのもあるんだけど)。

その代わり、彼の周りは激しい。
義務感に囚われていたり、悲しみや憎しみをぶつけたり、自己肯定のために親切を押し付けたり、主人公の動きや感情の波が緩やかだから周りが忙しないし勝手な人間だと感じてくる。
チャーリーは物理的ケアが必要な人なんだけど、ケア労働しまくっていてそれをケアしているリズもまた大変なんだろうけど、勝手に来てはワーワーなってそのせいでチャーリー死にかけたりするし。

宗教家の彼なんか私結構 オコ でした。
なんやねんお前、勝手に恩を着せようとしたり、救いがどうとか、そんで勝手にスッキリしてなんやねんお前。

ただね、

華麗なる伏線の回収ラスト。
これは本当に良い終わり方。だと思った。
ラスト10分くらいはおかわりして2回観た。
号泣。

最初のシーンからのアレやコレが走馬灯のように脳内をかけていき、詳細が描かれないチャーリーと恋人のことまでも勝手に脳内で再生されるようで。
色々やらかしてうまくいかなくてどうでも良くなっちゃった人生だったけど、振り返れば娘という自分の分身と過ごした時間は輝かしく、素晴らしい存在だった事、限られた残りの時間にすべき事は娘との事で。最後の最後に神は彼に幸せを与えた。
という感じをラストの数分で一気に脳みそに叩き込まれた。

チャーリーの元嫁やリズの立場からしたら、おま、ちょ、この野郎・・って感じなんだろうけど。

最近終わり方がうーーーんって作品ばかり観てたからかこの終わり方はすごく良かった。

それからね。

自分に正直になれ、正直な文章を書け。

人を傷つけても正直に生き、結果望まぬ未来になり自分を隠し狭い行動範囲で限られた人としか接しない主人公が終盤に投げかける言葉。
これはグサっときた。
子供からの処世術として「正直にならない」を隠れモットーとしている私にとってセガサターンくらい脳天に直撃した。

そんな時、タイムリーに正直になれる数少ない人から連絡が来た。
それは次回「花腐し」のときに。

このラストシーンを観るためだけでも劇場にいくべきでした。

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