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平凡社員のビジネスパーソンノウハウ⑤(How(どのように):プレゼン)

 本稿は、『仕事をするうえで重要な2つのこと』のうち「1.その仕事のゴールは何かを常に意識する」の中の「How(どのように):プレゼン」の具体対応(ハウツー)について触れる。(↓以前の投稿)


◇How(どのように):プレゼン

 本稿では、プレゼンの具体対応(ハウツー)について触れていく。
 基本的な大方針は前稿でも説明している通り、結論 → 理由 → 結論である。


■具体対応(ハウツー)

〇プレゼン
 プレゼンテーションについては、ワード、パワーポイント等、複数の手段があるが、今回はパワーポイントを想定して説明する。
 さしあたっては、まずプレゼンを2つのパートに大別したい。資料準備のパートと、説明のパートである。
 それぞれのパートについて、触れていく。



 ◎資料準備

 資料準備にあたっては、あらゆる書籍等で語られているが、いきなりスライドを作り始めない方が絶対によい。
 説明の結論と根拠が既に分かっている前提で、資料準備は以下1~7の手順を推奨する。

 <資料作成の手順>

  1. 目的【Why(なぜ)】、誰への説明か 【Who(誰に)】を確認

  2. 説明の背景・結論を2,3文で簡単に文章化

  3. 結論の根拠を2,3文で簡単に文章化し、根拠を補強するデータを準備

  4. 説明の構成を検討(手順2 → 手順3 → 結論の詳細)

  5. 説明の構成を上司とすり合わせる

  6. 説明の構成の認識が一致すれば、資料の作成にかかる

 この中で重要な手順は、手順1と手順2、手順5である。以降で要点や詳細を説明していく。


1.目的【Why(なぜ)】、誰への説明か【Who(誰に)】を確認

 まず第一に重要な手順である。5W1HのうちWhy(なぜ), Who(誰に)を改めて整理すること。
 ここが整理できていないと、的を外したプレゼン、理解し辛いプレゼンになり、以下のような不評を買う。

【結論が不明確】「結局、何が言いたかったの?」
【報告する側、される側の認識不一致】「これって何の話だっけ?」
【興味、関心を押さえられていない】「これは考えた?これは?」

 目的の再整理の必要性は言わずもがなである。資料準備にあたって、この資料で一番言いたいことが明確に整理できていれば、資料全体として一本柱の通った分かりやすい資料となる。

 そして以前の稿でも触れているが、誰に説明をするか、の整理は資料作成にあたって、とても重要度が高い。相手次第で何をどう説明するかは大きく変わる。例えば日常的に報告しない相手や役職者に対しては、背景を手厚めにしなければ、一番大切な説明冒頭で、説明を受ける側の認識がブレてその後の説明が理解できなくなる。

 加えて、相手が何に興味があるかを押さえた説明でなくてはならない。具体的な例を挙げるならば、上位の役職者に説明をする際には、全社大の影響(コスト、リスク、ベネフィット)などを踏まえた、よりマクロな視点をフォローした説明にする必要がある。


2.説明の背景・結論を2,3文で簡単に文章化

 スライドの冒頭にあたる。冒頭部分は、相手が説明を聞く準備を整えるための、スライドにおける最重要な部分である。この手順では、背景と結論を簡単に文章化する。そして結論には、相手にどうしてほしいのか(判断を仰ぎたいのか、報告だけなのか)を盛り込んでおくとよい。

 注意事項として、文章化にあたっては、手順1で確認したWhy、Whoに沿った背景・結論となっているかを確認したい。

3.結論の根拠を2,3文で簡単に文章化し、根拠を補強するデータを準備

 結論を支えるための根拠を簡単に文章化し、根拠を補強する数値データや情報を準備する。
 数値データや情報から、どのようなマトリクスやグラフをスライドに掲載するかのラフイメージを描いておくと、手順5の上司とのすり合わせ時に役に立つ。

 注意事項として、根拠を考えるうえで当然の検討ではあるが、根拠事項に抜け漏れが無いようにする。(ただし知識が少ない場合は漏れる可能性があり、一人で考えすぎると時間がもったいないため、ほどほどに)


4.結論の詳細を検討

 手順2で書ききれなかった結論の詳細説明を検討する。例えば今後のスケジュールや今後のアクションなどの、記載すべき項目を整理しておく(手順4ではラフスケッチで。手順6で詳細に作り込む)。


5.説明の構成(手順2→手順3→手順4)を上司とすり合わせる

 説明の概要と構成(手順2→手順3→手順4)を直属の上司とすり合わせる。無駄な仕事をしないための重要な手順である。
 一人でスライドを完全に作り込んでしまうと、手順2~4の構成に過不足や重大な齟齬があったとき、資料の大幅な修正が必要となる可能性がある。作り込みすぎない段階(手順2~4)ですり合わせを行った方がよい。


6.資料の作成にかかる

 手順5ですり合わせた内容に基づき、資料の肉付けを行う。この手順6に関しては、望ましいスライドについて説明する。

▽スライドの枚数
 「1つの情報は1スライド」を推奨したい。一つのスライドに複数の情報があると、分かり辛くなる。
 したがって、以下の通り合計2+X枚が望ましい。(Xは根拠の数)
 ・手順2:1枚(背景を踏まえた結論、として1スライド)
 ・手順3:X枚(根拠の数Xに合わせてスライドを用意)
 ・手順4:1枚(結論の詳細部分)
 
 ただし、会社風土や相手によっては少ないスライド枚数で簡潔に、とか、スライド1枚にすべてをまとめることを好む場合もある(某大企業ではワード1枚に整理する風土があると聞く)ため、必ずしも、1情報1スライドが最適解ではないことは留意したい。

▽スライドのデザイン
 タイトル:「〇〇について」は避け、スライドで何を伝えたいのか簡潔に
 本文:箇条書き等や、マトリクスを用いるなど一見して分かるように
 色使い:できるだけ使う色の数は絞る。使っても2,3色程度
 その他:ページ番号は忘れずに

<マトリクスの例>


 ◎説明

 説明にあたっては、どのようなマインドで説明に臨むべきかについて触れたい。

<大切にしたいマインド> 
説明は伝わらなければ意味がない。相手を見てハキハキと喋る
②緊張しているときは、興奮していると思え
 
具体的には以下のとおりである。


「①説明は伝わらなければ意味がない。ハキハキと喋る」について
 
視覚情報、聴覚情報、言語情報が不一致であるときに、人は非言語情報の影響を大きく受けるとしたメラビアンの法則よろしく、ロジカルな資料であっても、声が小さかったり、落ち着きがなかったり、挙動不審であれば、受け手は不安になる。作った資料に自信をもって、相手を見て堂々と喋ろう。


「②緊張しているときは、興奮していると思え」について
 
緊張している時のパフォーマンスの上げ方について、Brooks, A. W氏が「Get excited: Reappraising pre-performance anxiety as excitement」という論文で提唱している。その内容は、落ち着こうとするより、興奮している、と口に出して言うことで、不安が興奮に再評価されて、パフォーマンスが向上するというものである。
 
 嘘のような話であるが、私自身にも経験がある。説明の時には「うまく説明できるかな……?」という不安ではなくて、「なんも知らん奴に教えてやろう!」と上から目線で意気込むと、自然と緊張が解けて、ハキハキと落ち着いて喋ることができた。これも、不安が興奮に再評価された結果と思う。
 

 以上、プレゼンのうち、資料準備と説明について触れた。プレゼンに関してはここまでとする。
 会議については別途次稿以降で説明することとしたい。


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