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いつも通りの過ごし方に価値がある

この記事は1,997文字あります。個人差はありますが、3分〜5分でお読みいただけます。

今日はnoteの連続更新103日目です。

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今回のテーマは「緊急時の後の生活や対応で気をつけてほしいこと」です。どうぞお付き合いください。


いつも通りの過ごし方にも価値がある

先週までは災害時や非常時の話を中心に発信してきました。こうしたことは、緊急時だけでなく日常的に知っておいてほしいことでもあると思って、いつも記事の最後にはそれに関連する情報のリンクを載せています。

今回はそれに関する内容です。
先日、ぼくが務めているよこはま発達クリニックの院長であり、よこはま発達相談室の代表である内山登紀夫先生がXでこんな投稿をしていました。

緊急時の後には中長期的な対応が必要で、多くのボランティアの方々がサポートしてくださります。これは大事なことである一方で、その時に知っておいてほしいこととして書いてくださったのだと思います。

例えば、遊びでも「みんなと一緒に」が楽しめるお子さんもいれば、そうでないお子さんもいます。それ以外にも、「誰かと過ごすこと」が日常的になってしまい、結果として「人がいないと過ごせない(=不安が強くなる)」ということにもなったりすることがあります。

これらが良いとか悪いとかそういうことではなくて、一人で過ごすことが悲しいことなわけでもないし、一人で過ごせることにも価値があるということです。一人でレゴや図鑑を見ている時間も尊重してほしいし、誰かと遊びたい時にはそうしたらいいと思うんです。

なので、どっちかだけというように極端に考える必要はないし、柔軟に考え、対応していきましょうねということです。

特に、不測の事態では、特別なことではなくて「いつも通りのこと」が安定や安心につながるとされています。


2009年4月にはイタリア史上最大級の地震がありました。甚大な被害をもたらしましたが、その時には「元の生活に戻ることが安心につながる」と報告がありました(J Autism Dev Disord.2012)。

不安と感覚の偏り

もう一つ大事な視点があります。

発達障害の方々は刺激に鈍感な場合もあれば、敏感な場合もあります。それらが「感覚の偏り」と言われるものです。特に、敏感な場合には、緊急時のように、人が大勢いたり、落ち着かないような場所では刺激が多すぎることがあります。

なので、狭い空間、人の少ない場所の方が落ち着く人がいます(全員じゃないですが)。一人で過ごしていたり、一般的には「本当にここがいいの?」と思うような場所でも(例えば、倉庫とか)、実はそこが刺激が少なくて助かるということもあったりします。

ですから、そうしたときに「こっちで一緒に過ごそう」と誘うのはいいのですが、ぼくらの価値観だけで「絶対にこっちの方が居心地がいいはずだ」みたいに判断しないことが大切です。


どこで過ごすのがいいのか、落ち着けるのか、聞ける人には聞いた方がいいでしょう。

こちらの価値観だけで集団に入れようとするのは、親切のつもりかもしれないし、一見すると寄り添っているように見えるけれども、そうじゃない場合もあるということです。

ちなみに、不安が強くなる状況では、誰もが敏感になります。

例えば、お化け屋敷や肝試し。

これはわざと怖い空間を作っていて、そこでの小さな物音は怖いわけです。これは敏感になっているからです。だけど、明るい場所、ひらけている場所での小さな物音はそこまで驚きません。これは敏感になっていないからですよね。

こんな風に多くの人が、不安、緊張、疲労で敏感になるんじゃないかなと思います。その中でも、特に、発達障害の特性があり、もともと感覚の敏感さがあると、よりその敏感さのアンテナが立つようになります。

これは我慢が足りないとか、そういう問題ではないので、そこに対しての配慮が大切になってきます(肝試しでびっくりするのは、我慢不足、努力不足とかじゃないですよね。怖いものは怖いんです。ちなみに、ぼくはめっちゃ怖がわりです)。

最後に


刺激という意味では、これからもさまざまな報道が続きます。それらがトリガー(引き金)になって不安定になることもあります。そうしたときに、そうしたニュースを見ないで、「いつも通り」YouTubeを見る、ゲームをするなどの活動を不謹慎だと思わず見守ってほしいなと思います。

補足はVoicyの配信をお聴き頂ければと思いますので、宜しければVoicyの方も応援していただければと思います!

佐々木康栄

災害時に役立つさまざまな情報

被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ(国立障害者リハビリテーションセンター)

防災・支援ハンドブック(日本自閉症協会)

災害時、発達障害の子どもの支援についての医療関係者へのお願い(内山登紀夫先生)

災害時の発達障害児・者支援エッセンス

#障害者を消さない (ヘラルボニー)

寄付型セミナー(TEACCHプログラム研究会東北支部)

代表を務めているTEACCHプログラム研究会東北支部で、「寄付型セミナー」を立ち上げています。ぼくの衝動的な行動であることは自覚しています。それでも、今ぼくらにできることを考え、過去に配信したオンラインセミナーを再度配信させていただき、その売上(配信や販売に関わる手数料を差し引いた全額)を能登半島地震の支援・復興に向けた寄付することに決めました。宜しければ応援してもらえると嬉しいです。

#能登の障害者に届け

能登の障害者の方々に直接支援が届くように、一般社団法人障害攻略課さん
、NPO法人石川バリアフリーツアーセンターさん、一般社団法人Smart Supply Visionさんが「#能登の障害者に届け」というプロジェクトを立ち上げてくださっています。

この短期間でこれだけの状況を整えることは、どれだけ大変だったのだろうかと思います(きっとかなり睡眠時間や休みの時間を削って急ピッチで取り組んでくださったのだと思います)。本当に感謝です。    

一緒に応援しませんか?

その他お知らせ

オンラインサロン「みんなで考える発達障害支援」

クラウドファンディング

▼9月に大阪にて講演会をさせて頂いた「一般社団法人泉大津・発達支援勉強会Lien」さんが、「大阪府泉大津市、及び、泉州地域である近隣市町村一帯が、発達障がいや多様な子どもたちにとってより過ごしやすい地域に」を目指して、クラウドファンディングをされています。特に、4月2日の世界自閉症啓発デーでは、世界中がブルーライトアップされます。これは色々な人に目を向けてもらうための活動でもある一方で、それだけ予算がかかります。

そのため、どの地域でもできるわけではありません。今回、泉大津市内のブルーライトアップをしたい!という想いを叶えるためのクラウドファンディングです。目標金額は220万円です。ちなみに、これは行政と一緒に取り組んでいるものなので、「ふるさと納税」として寄付ができます。

ぼくも応援メッセージを出させて頂いています。どうか皆さんも応援していただけないでしょうか。

皆さんの応援が力になり、その力が地域を進める行動になり、その行動が当事者やご家族の未来になります。

一緒に地域の未来を変えるお手伝いをしてくれませんか?

セミナー情報

▼TEACCHプログラム研究会 第16回実践研究大会 in 東北・東京・熊本・鹿児島 「共に学び 成長する 熱い冬」

ぼくは仙台会場にいって、一丁前にコメンテーターというのをさせて頂きます!翌日にはTEACCHプログラム研究会東北支部主催でイベント「自閉症支援の未来会議 in 仙台」も開催しますので、2月10日(土)、11日(日)はご予定の確保をお願いします!

▼会員限定動画▼

これまで、会員の皆さんには限定のコラムや動画を配信してきました。現在下記のような動画を配信中です。閲覧にはパスコードが必要です。何度かメールでご案内しておりますが、もし会員の方で「パスコードがわからない!」という方はteacch.tohoku@gmail.comまでご連絡ください。

▼会員限定コンテンツ▼

現在、会員限定の質問フォームを設けています。匿名にしようかとも思ったのですが、会員の方からのご質問であることを確認するためにお名前のご記入をお願いしたいと思います。ご質問については、全てにお返事できるわけではなく、会員の皆さん全体にとって有益だろうと思うものを中心に取り上げて、限定コラムなどで書いていきたいと思います。

▼その他▼

ここに記載した以外にも、東北支部ではさまざまな取り組みを今後もしていきます。会員の皆さんには、「今こんなことを考えています」というのもお届けしますのでお楽しみに。公式LINEもあり、会員以外の方もぜひご登録ください!定期的に情報発信していく予定ですので、「TEACCHって何だろう?」「興味はあるんだけれども、どんな活動をしているんだろう?」という方はぜひご登録ください!

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