見せて伝えることが、その人の助けや支えになるためには「個別化」がキーワード
この記事は1,990文字あります。個人差はありますが、3分〜4分でお読みいただけます。
自閉症の方々と関わる際に、お互いにとってまるで翻訳機のような役割を果たす"見せて伝えること=視覚支援"(誤解のないように書くと、わからないからというよりも、よりわかりやすくするためのもの)。
だけれども、なんでも見せて伝えたらよいかは「?」であるというテーマで書いていきたいと思います。
「見せて伝える」には根拠がある
自閉症スペクトラムの支援では、情報を見える化することの意義が大きいことはよく知られています。
その根拠としては、自閉症スペクトラムのASDは認知(ものごとの捉えかたや感じ方)に特徴があることが明らかになってきており、その中の一つとして、「耳から聞く情報には偏りがある(遅れたり、聞きそびれたりしやすい)」こと、そして「目で見た情報の方が、より正確に理解しやすい」ということがあります。
また、耳から聞き取ることができないわけじゃなくても、聞き取って理解するのに多くのエネルギーを使うこともあるようです。つまり、楽にはできていないということです。
でも一律ではない
もちろん、個人差はあるので、なんでも見せて伝えれば伝わるのか、理解や納得をしてもらえるかというと、そうではありません。
「視覚支援」
「見せて伝える」
これらは、どちらも同じような意味ですが、人によってわかりやすさは違うと思います。それ以外にも、専門家が使う専門用語が、そうではない人にわかりやすいとは限りません。このように、人によって何がわかりやすいのかは違います。なので、それぞれの人にわかりやすい形に調整してみること、これを"個別化"と言います。
こうしたことが、「見せて伝える」際にも重要です。
そのためには、何が必要かというと、「その人のことを知る(=アセスメントとか評価と呼ばれたりします」ことです。これについては、また別の機会にと思いますが。6月4日(日)に「自閉症eサービス」さんで、こうしたことをテーマにお話をさせていただく予定です。ご関心あれば是非と思います。
こうした見せ方は注意して
「見せて伝えるのは有効かも」ということが伝わった際に、現場でよく目にするのは、「してほしくないこと」「ルールとして応じてほしいこと」などをイラスト、写真、文字などを活用して伝えるということです。
ですが、そうしたものを見てくれたとしても、「うまくいかない」「応じてくださらない」ということも少なくありません。
こうしたことについては、下記の記事で取り上げていますので、宜しければご覧ください。
まとめ
ここまで、4回にわたって「見せて伝えること(視覚支援)」をテーマに書かせていただきました。何か少しでも日々の対応や関わりのお役に立てば幸いです。
"ご本人にとって役に立つ”
そんな関わり方を目指してみませんか?
佐々木康栄
いくつか宣伝
今回は視覚支援をテーマに書きました。視覚支援もわかりやすい環境設定の一つですが、そうしたことをテーマに、代表を務めているTEACCH研究会東北支部にて、6月18日(日)にお話をさせて頂きます。
TEACCHプログラム研究会東北支部
TEACCHプログラム研究会ではこれからご一緒いただける会員の方々を募集しています(東北在住の有無は問いません)。東北支部会員の皆さんには、これまで会員限定コラムや動画を配信しています。支部としては、一般的な研修の機会だけを提供するのではなく、会員の皆さんにとって有益となるようなものを提供させて頂いたり、コミュニティとしてより繋がりができ、そこに価値を作っていきたいと思っています。現在の会員特典としては下記になっていますが、今後より充実させていきたいと考えています。
【会員特典】
・研修費の割引
・会報誌の閲覧 ・指定する研修参加への助成(最大50%、上限2万円) ・限定コラムの配信(無料)
・限定動画の配信(無料)
・オンライン座談会(無料)
【今後追加する特典】
・新たに支部会員との対談動画を配信していく(会員のみ視聴可能。無料)。→内容としては、会員の皆さんの中にはさまざまな立場の方がおり、それを活かした取り組みをしていきたいと思っています。例えば、偏食含めた食事における工夫、心理検査を活用するための工夫、発達障害と司法など、それぞれの専門家の方々と佐々木とで対談をし(45分〜60分程度)、それをお届けしたいと企画しています。5月は、「偏食含めた食事における工夫」ということで調理師の方とお話ししたいと思います。
このコンテンツでは、普段の研修会とは違った、よりニッチなこともテーマとして扱っていきたいと思いますし、会員の皆さんからもご質問をお受けしたいと思います。ぜひご一緒しませんか?
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