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視覚支援にも土台がある

この記事は2,294文字あります。個人差はありますが、3分〜5分でお読みいただけます。

最近は、スケジュールや視覚支援について取り上げています。今回は、「視覚支援はモチベーションのあるところから」というテーマで書いていきます。

今は情報も多く、さまざまな勉強の機会があります。そうした中で、自閉症スペクトラムの方々の支援では、見通しを伝える(先々を予測できるようにしていこう)、コミュニケーションの支援をしていこう、そしてそれらは見える形でというのはよく見聞きするようになったものです。

一方で、「やってみたけれども、うまくいかなかった」というのもよく見聞きすることではあります。これらについては、下記の記事が少し参考になるかもしれません。

その方にとって意味やモチベーションがあるか

「ご本人が使いたがりません」
「活用したがりません」
「見せただけで嫌がります」
こうしたことも決して少なくありません。

自分にとって意味がある(=役に立つ、便利に感じる)と思ってくだされば、見えるように提示された情報を見てくれるかもしれません。でも、そうでなければ見てくれないのはあたりまえかもしれません。

ぼくらの生活に置き換えて考えてみましょう。

例えば、家事はそこまで好きではない(やれないわけじゃないけれども、モチベーションはあんまりない)し、時間があれば取り組みたいと思っていた活動があるとします。そうした際に、「今日はキッチンとリビングを掃除しておいて。終わったら、夕食の準備として〇〇をお願いね」とLINEやメッセージで伝えられたとします。視覚的なので、何度も見返せるし、忘れない指示かもしれません。でも、やってみようと思うかどうかはまた別の問題です。

さらに、何度もそうした連絡がくるとなれば、あんまりLINEやメッセージを見たくなくなるかもしれません。支援も同じです。

視覚支援の土台をつくるという視点で

見てほしいと思うのであれば、"その方にとって"意味があると思える活動からスタートしていくこと(=やってみたいこと、達成したいこと、不都合が減ること)が大事だろうと思います。例えば、チェックリストを使って学校の準備をどうさせるかからスタートするよりも、外出が好きな方であれば、その準備をチェックリストや手順書のように便利なところから取り組んでいくのがおすすめです。支援は、その方のためであって、周囲の人のためではないからです。

見える形で示されるものが便利だと思えば、他の活動についても見える形で提示した時に「役に立ちそう」と思って注目してくれるようになることが多いように思います。誤解のないように補足しておくと、「好きなことだけでよい」と言っているわけではありません。時には、好きでないことに取り組むこと、取り組まなければならないタイミングもあると思います。でも、そうした時にも、自分にとって負担がより少なく取り組めるためツールや手がかりがあることで、取り組みやすくなると思います。

「視覚支援=何かさせられる、嫌なことを指示される」ではなく、「自分にとって便利なもの」と思ってもらえるような土台を作っていく必要があるという話です。

まとめ

支援現場では、興味関心を大切にすることは大事と言われます。それはその通りです。でも、それは好きなものを活用さえすればいいわけではなく、何にモチベーションがあって、何を達成したいと思っているのかどうか、それを探っていくことも重要です。

ご本人がやってみたいこと、達成したいことを、より楽に、より負担少なくやれるための視覚支援を考えてみませんか?

佐々木康栄

いくつか宣伝

今回は視覚支援をテーマに書きました。視覚支援もわかりやすい環境設定の一つですが、そうしたことをテーマに、代表を務めているTEACCH研究会東北支部にて、6月18日(日)にお話をさせて頂きます。

TEACCHプログラム研究会東北支部

TEACCHプログラム研究会ではこれからご一緒いただける会員の方々を募集しています(東北在住の有無は問いません)。東北支部会員の皆さんには、これまで会員限定コラムや動画を配信しています。支部としては、一般的な研修の機会だけを提供するのではなく、会員の皆さんにとって有益となるようなものを提供させて頂いたり、コミュニティとしてより繋がりができ、そこに価値を作っていきたいと思っています。現在の会員特典としては下記になっていますが、今後より充実させていきたいと考えています。

【会員特典】
・研修費の割引
・会報誌の閲覧 ・指定する研修参加への助成(最大50%、上限2万円) ・限定コラムの配信(無料)
・限定動画の配信(無料)
・オンライン座談会(無料)

【今後追加する特典】
・新たに支部会員との対談動画を配信していく(会員のみ視聴可能。無料)。→内容としては、会員の皆さんの中にはさまざまな立場の方がおり、それを活かした取り組みをしていきたいと思っています。例えば、偏食含めた食事における工夫、心理検査を活用するための工夫、発達障害と司法など、それぞれの専門家の方々と佐々木とで対談をし(45分〜60分程度)、それをお届けしたいと企画しています。5月は、「偏食含めた食事における工夫」ということで調理師の方とお話ししたいと思います。  

このコンテンツでは、普段の研修会とは違った、よりニッチなこともテーマとして扱っていきたいと思いますし、会員の皆さんからもご質問をお受けしたいと思います。ぜひご一緒しませんか?

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