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【消費大国アメリカで思う】子育てとお金のはなし


アメリカに住む人々の消費意欲はすごいです。

大きな家に住み、大きな車を複数台、所有し、
ショッピングカートはお菓子やおもちゃが山のように積まれて。

週末にはレジャー施設やショッピング施設、レストランが
どこも人でにぎわう。
みんな、手にはカフェのコーヒーやおやつ、おみやげを下げている。

そんなアメリカで暮らす我が家ですが、
私たち家族の暮らしはかなり質素です。

小1の息子は、もっと外食をしたい、と言います。
あれを買ってほしい、といつも言っています。
買って買って攻撃がすごいので
極力、一緒に買い物には行かないようにしています。(汗)

そんな自他ともに認める、ケチケチ夫婦ですが
お金がないのか、というとそういうわけではなくて。

では、なぜ、質素に暮らすのか。

アメリカは豊かな国?36%が預金ゼロという現実


アメリカ人の36%は銀行の預金口座残高がゼロだといいます。
さらに
18%は口座残高が1000ドル未満。

つまり、アメリカ人の54%は、ゼロもしくは、ほんのわずかな貯金しかもっていないということです。

だけど、この国の人は、
お金を持っているように見えるんです。

冒頭に書いたように、
子供におもちゃやお菓子をあふれるほど買い与えたり
豪華でスタイリッシュな家具を一式そろえたり。

以前、こんなことがありました。

アメリカに引っ越して間もなくして、友人になった同世代の女性が居ました。

彼女は身なりをきれいにしていて、
インテリアにこだわりがあり、
オーガニック食材が豊富な高級スーパーで日々買い物をしていました。

子供たちを連れて公園に一緒に遊びに行くと
近くのカフェでコーヒーを買ってきてくれることもあったり、

おしゃれなレストランへ外食に誘ってくれたり、
気の利いていて、センスの良い女性だなぁと思っていました。

あるとき、その友人と夫の生命保険について話していた時に、
彼女が、
「もし1000ドルあったら、
夫の万一の時に、子供たちの教育資金がカバーされる保険に入れるのに」

とこぼしていました。

それを聞いて、私はびっくりです。

彼女の夫は、国防にかかわる仕事をしていて、時に身の危険があることも。
そんな職種だから、特別な生命保険が提供されていて、
万一の時に、子供たちの生涯の学費がカバーされるものがあるそうです(私の認識が正しければ)。

リスクのある仕事に従事する配偶者を持つからには
なんとしても入っておきたいその保険。

彼女はその保険料である1000ドルを持っていないというのです。

彼女の普段の暮らしぶりから、そんなこと想像もしていませんでした。
これが、クレジットカードで何でも買えてしまう
アメリカの消費社会の現実なのだと知りました。

(ちなみに彼女のことは、あらゆる面で今でも尊敬しているし
批判するつもりはありません。
財政状況がどうであれ、友人であることには変わりありません。)


身の丈以上のライフスタイルから抜け出せない人たち

この友人の例だけでなく、
先日見たyoutube で
世帯年収が17万ドル(約2550万円)あっても、
毎月の支払いがぎりぎりで貯蓄もできずに暮らしているという話題が出ていました。

昨今の物価高に加えて、数々の誘惑に負けて収入以上の暮らしをしてしまう。
ライフスタイルによって借金を背負ってしまう、というのは
アメリカの社会問題の一つです



日本に比べて借金をすることに対する心理的ハードルが低く、
ローンを組んで生活を維持することが
当たり前になっているようです。

2億円以上する大きな家に住んでいても
つやつやの高級車に乗っていても
実は多額のローンを組んで購入している。
そして給与の大半は、数々のローンの支払いに飛んでいってしまう人が相当数いるという現実。

毎日スタバを買って通勤するビジネスマンも
毎月貯金している額は、スタバ30杯分よりも少ないかもしれない。

ライフスタイルが豊かにみえることと、
実際の家計状況が豊かであることは別
なんですよね。

子供に伝えたくないライフスタイル。日本人母、試行錯誤の日々。


まわりくどくなりましたが、

私が質素に暮らす理由は
豊かに”見える”アメリカのライフスタイルを
子供に当たり前だと思ってほしくないから。
です。

(もちろん、そもそも、何でもかんでも買うライフスタイルに耐えられるだけの収入がないというのもあります。汗)


衝動的に、欲しいと思ったものを買う人。
他人の評価を得たいがために、高価なブランド品を買う人。

子供は、そういう人を見ると、
問答無用で「あの人はお金持ち」と思っていると思います。

子供は、うちは貧乏なんだな。
もしくは、
なぜうちだけ我慢しなきゃならないの?と思っているかもしれません。

だけど、目の前にいる大人が
本当に豊かなのかは、本人にしかわからない。

息子がもう少し大きくなって、
社会のことを一緒に話せるようになったら
このゆがんでしまった社会状況について一緒に話してみようと思っています。

どこに住んだって同じ。足るを知るは満ちる。

日本に住んでいても同じことですよね。
日本には、コンビニや100均のような安価で身近な誘惑がたくさんあります。

コンビニにふらっと寄って、おやつやコーヒーを買うことは
一度や二度では家計状況にインパクトを与えないかもしれません。

だけど、その消費行動は癖となり、
通勤途中にコーヒーを買うことや
仕事帰りにおやつを買うことが当たり前になる。

よいことも悪いことも習慣となり、積み重なると
人生に大きな影響を与えます。

子供には、できるだけ良い習慣を伝えたい。

毎月の支出が収入を上回り、手元にお金が残らない生活は
当たり前ではない、と伝えたい。

多少高価なものであっても、欲しいものができたのなら
ローンを組むのではなく、お金を貯めて買う。という発想が
当たり前だ
と思ってほしい。

そして、そのためには、
自分にとって必要なものを見極める訓練が必要です。

自分にとって必要なものを見極め
何を手に入れると幸せだと感じるのか 

モノにあふれていて
なんでも買えてしまうアメリカにいるからこそ
子供には、物を買うことそのもので
幸せになれるわけではないと伝えたいのです。

それでも、息子が自立した時に、
この節制の反動で散財をする人間にならないとも言い切れないんですけどね。

身の丈以上の暮らしをする人に囲まれたこの社会で
身の丈の暮らしを模索する家族なのです。





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