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優秀なチーム”より、”普通のチーム”が強くなる理由

Kodomo Edu International School 代表の上田佳美です。
Kodomo Eduは、レッジョ・アプローチにインスパイアを受けた中目黒拠点のインターナショナル・スクールです。

1ヶ月ぶりの投稿となってしまいました!オリンピック、終わりましたね。開催については世界中で賛否両論ありましたが、参加した選手達の挑戦する姿が、私達にたくさんの感動をくれたのは事実です。私も開催には賛成できませんでしたが、自分の可能性に調整する選手達からたくさんの勇気をもらいました。

やっぱり自分を信じて誰かのために頑張る人の姿は素晴らしいです!自己実現だけのために頑張るには限界があります。どの選手もきっと、自分の満足のいく結果を出すためだけでなく、支えてくれてきたコーチ、家族、応援してくれている母国の人たちのために頑張ったから、様々なドラマが生まれたのだと思います。

話は逸れてしまいましたが、KodomoEduでは学期末の保護者面談や子ども達の作品展ラッシュに続き、サマースクール 前半戦がようやく終了し怒濤の1ヶ月がオリンピックとともに終了しました。

知識はときに創造力の邪魔をする?

今年のサマースクールは、KodomoEduで初めて「小学生サマースクール 」を開催しました。お陰様ですぐ満席となりましたが、小学生クラスは、幼稚園クラスよりもさらに高度なチャレンジができ、私達もとても新鮮でした。学校ではなかなか扱わないテーマをもとに、子ども達の好奇心を引き出しながら所々でチャレンジを課しましたが、子ども達は予想以上にそれに応えてくれ、5日間の限られた時間の中でも成果を出すことができました。

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そこで興味深かったのが、あるグループワーク。『私たちの街「中目黒」を知ろう』というテーマで、2つのグループに別れて5日間で中目黒の地図を作ります。中目黒の街を歩いて地理感覚を身につけながら、インタビューも行ったり、様々な手段で中目黒の情報を集めます。

今回は、1年生から3年生の参加だったので、英語のレベルで分け、1年生だけのグループと、2年生と3年生の混合グループの2つに分かれました。

5日間で中目黒に関する様々な知識を得たうえで、最終日に描いた「最終版:中目黒マップ」。それぞれのグループが作った作品はこちらです。

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(↑ 1年生グループの作品)

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(↑ 2年生・3年生グループの作品)

どちらのグループも同じだけ2.5時間ほどかかりましたが、アウトプットの量は同じでしょうか?

線の美しさは別として、1年生グループの方が情報量も多く手が混んでいます2年生・3年生はとても綺麗にしあがっていますが、本当の彼らを知るからこそ、彼らの実力が時間内に出しきれなかった作品になってしまったように感じました。

もちろん知識を得た分、地図に盛り込みたい情報も増えたため、たくさん書きたくて時間がかかったこともあります。でも、とくに2年生・3年生のグループほど、グループの話し合いの中で5日目によく聞いた言葉は「違うよ、そうじゃないよ」とか「そうじゃなくて、こうだったよ」という”正しい情報”を探すための会話。「正しく描きたい」という思いがでて、新しい発想が生まれた時に「何が正しいか」の議論になって作業が止まってしまいました。

それに比べて、1年生は比較的”みんなの発想"を生かして地図を作っていました。小学生も成長していくと、学校で知識が増える分「正解でいたい」という思いが働くように感じました。そこを、”正解を目指す” のではなく ”新しい発想に耳を傾ける” という姿勢も身につけられるよう、大人がファシリテーションしながら伝えていくことが必要だなと感じた瞬間でした。

信頼を忘れたチームは実力を発揮できない

2・3年生が制作する中でぶつかった壁は、「何をどう描くか?」の話し合い。年齢が上がれば、知識のある人とない人の違いに気付き、また、正しくやりたいという気持ちも強くなる。そうすると集団での作業に必要になってくるのが、「他者を信頼すること」。大人でもそうですが、自分が100%正しいということはないし、何かを作るためにやり方は何通りもあります。チームでの作業では、一人一人が主張ばかりしていては、作業を進めることは困難です。限られた時間内に最大限の結果を出すためには、他者を信頼した上で建設的な話し合いを進めていくこと。5日間ではそれを伝えることしかできませんでしたが、もしお子様がチームで行う習い事をやっている場合は、そういった視点でお子様のチームを見るのも、興味深いと思います。

一番強いのは「優秀な個人」ではなく「信頼し合うチーム」

私たちKodomoEduがレッジョ・アプローチを実践する理由も、これからの時代は「個の力」以上に「チームの力」が求められるから。子ども達が大人になった社会では、多くの仕事は「プロジェクト」のようにチームによって動かされていきます。せっかく「優秀な個人」が集められたとしても、彼らがお互い信頼できなければ、創造的なものは生み出せずプロジェクトも進みません。個人の能力を育成することに加え、いわゆる「チームビルディング」を子ども達が学ぶことは必要不可欠となっています。

私はサッカーに詳しくありませんが、今回のオリンピックで日本がメキシコに負けてしまった理由を、日本の選手は「メキシコのチーム力に勝てなかった」と話していたそうです。そうしたチームの力が、スポーツだけでなく、仕事の現場でも求められる時代。子ども達が身につけるべき力も、私たちの時代とは変わったと言えるのではないでしょうか。

KodomoEduでも、今後小学生向けのレッジョのクラスを増やしていきたいと思ったきっかけのサマースクールとなりました。サマースクール 後半戦もはんばります!

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上田佳美

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