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プロジェクト学習は幼児期からすべき理由

Kodomo Edu International School 代表の上田佳美です。
Kodomo Eduは、レッジョ・アプローチにインスパイアを受けた中目黒拠点のインターナショナル・スクールです。

私たちのスクールでは、2歳から「プロジェクト」を行います。アクティブラーニングの流れで「プロジェクト学習」が注目されていますが、レッジョのプロジェクトは、今必要とされるソーシャルスキル(自制心、共感力、コミュニケーション力etc...)を養うことを目的としています。

実は、今の海外の教育トレンドとしては、子供の”学習”を深めるためには、ソーシャルスキルの育成は欠かせないとされています。

何かを学ぶためには、仲間と話し合い、試行錯誤しながら問題解決をしていくことが欠かせません。自分が身に付けた”知識”を使って次に発展させるには、ソーシャルスキルが必要となるからです。

「自分が身に付けた”知識”を使って次に発展させる」というのは、日本の「プロジェクト学習」の目的の一つですよね。それでは、なぜ幼児期からプロジェクト学習が必要なのでしょうか?

ソーシャルスキルは、幼児期に大きく伸びる

プロジェクト学習を幼児期からすべき理由の一つは、なんと言ってもソーシャルスキルは、幼児期こそ大きく伸びるから。これは世界中の研究者が様々な実験を通して証明されていますが、未就学児のうちから、「自制心」「他者への思いやり」「人の話を聞き自分の意見も伝える」「建設的な問題解決」などのソーシャルスキルは、育成すべきとされています。

これらの能力は、一人での学習や、教師からの一方通行の授業では決して身につけることができません。お友達同士や先生など、コミュニティの中でのやりとりや協働があって初めて身につくのです。
だからプロジェクト学習が必要なのです。

「幼稚園児がプロジェクト?子どもにそんなことできるの?」

そう思われる方もいるかもしれませんが、それが、できるんです!もちろん、プロの先生のサポートがあってこそ成り立ちますが、KodomoEduのプロジェクト学習の事例をここでご紹介します。

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これは、「ボート プロジェクト」の始まりの様子。子ども達の会話の中で、絵本の中で出てきたボートの話から、「ボートに乗ってみたい」→「ボートを作ってみたい」という流れになり、それでは”ボートを作ってみよう!”と、ボートプロジェクトが始まりました。

それでは何を使って作ろうか?という先生からの問いに、ある子が「このテーブルを使おう」と提案し、他の子もそれに賛成する形で、作る作業が始まります。まずは、何人が乗れるボートなのか、ボートを構成する要素(ボート本体、帆、ロープなど)などについて話し合い始めました。

そして、先生が用意したマテリアル(紐、ポール、布)を使って、どう組み立てるか、トライ&エラーを繰り返しながら作り上げていきます。このポールも、何度も倒れてしまい、何度もやり直しました。子ども達、全く諦めませんでした(笑)。

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子ども達の意見が分かれると、それぞれが頭の中のアイディアを視覚化するため青写真(完成形のドラフト)を描き、再度出発。作っていく過程で、何度も振り返って考え直せるのがこの青写真です。この制作の全ての過程で、子供達はたくさん話し合い、たくさん失敗し、ソーシャルスキルを着実に育んでいきます。

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幼児期こそ、失敗を恐れずアイディア出し続ける習慣がつく

子ども達は驚くほどアイディアに溢れています。中学生・高校生よりも、ずっと幼稚園児の方がクリエイティブなアイディアをどんどん出してくれます。それは、失敗を恐れないから。上記のプロジェクトのように、間違えることを恐れず何度も失敗するからこそ、新しいアイディアが生まるのです。

KodomoEduの生徒の言葉で、印象的だった言葉があります。折り紙好きの生徒が、私にある折り紙の折り方をおしえてくれました。途中で私が間違えてしまい、「あ、失敗した。」と言ったら、「大丈夫だよ。失敗したってことは、どこかが間違ってるだけだから、そこを探せば良いの。」と言って、失敗を「失敗」ととらえず、次のアイディアのヒントと理解していました。

これは「創造的思考力」と言って、トライ&エラーの繰り返しにより新しいアイディアを生み出す力で、今世界の教育業界で、「これからの子どもが身につけるべき能力」の一つとされています。

小学校受験の「行動観察」に効果あり!?レッジョ・アプローチのプロジェクト

日本の特に東京都内では、小学校受験がよく話題になります。。小学校受験については様々な意見があるでしょうが、それは今回はおいておいて、その中で、最近の傾向として「行動観察」が重要だと言われているようです。「行動観察」はペーパーテストと違って一つの正解がないため、各学校によって子供の何を見て判断しているのか、明確な評価基準がない点が対策が難しいとされています。

一度、都内の有名お受験塾が主催する「行動観察」のクラスを見に行ったことがあります。そこで驚いたのは、ある”グループワーク”を行うクラスの中で、子ども達が(こう言ってしまうとすごく失礼ですが)台詞を棒読みするかのように、「これ使っていいよ。」「貸してあげるよ。」「一緒にやろうね。」などと、言い合って、それが評価されているのです。

恐らく「コミュニケーション能力」を判断するための”グループ・ワーク”なのですが、プロジェクト学習の経験がない先生と子ども達で行うクラスは、あまりにも「やらされている感」があって、子どもの好奇心からプロジェクトを生み出すKodomoEduのクラスでの、生の子ども達の会話とは違う印象を感じました。プロの小学校の先生なら、言わされている子どもの言葉と、自然に出てくる子どもの言葉の違いは分かると思います。

小学校受験の「行動観察」の対策には、レッジョ・アプローチが向いている?かもしれませんね。

上田 佳美

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