大人の学び直し「リカレント教育」や「リスキリング」について
社会人になると、日々の仕事に追われて学ぶ機会が減っていきがちです。
働く環境や制度の変化が大きい現代では、社会人の学び直しとして、時代に適した知識やスキルを身につけることが求められています。
本日は、大人の学び直しについてご紹介します。
リカレント教育とは
リカレント(recurrent)には繰り返す・循環するという意味があります。
大学等※を活用し、社会人が仕事で求められる能力・スキルを教育機関などで学び直すことをリカレント教育と言います。
社会に出た後も「仕事と学習」を繰り返し、今の仕事に関連のある資格や知識だけでなく、語学やIT・お金のことや副業に生かせることなど、興味のあることを幅広く学び、スキルアップすることが求められています。
※大学等
通信制大学・オンラインスクール・資格専門校・セミナー・学習アプリなど
リスキリングとは
リスキリング(reskilling)とは、成長分野の仕事や業務に就くために、新たなスキルを学び身につけることを指す言葉です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速化やAIの発達、多様な働き方が求められる企業がリスキリングを進めています。
政府も支援するリスキリングに注目が集まっています。
リカレント教育とリスキリングの違い
リカレントとリスキリングは、どちらも「社会人の学び」で同じものと思われやすいですが、下記の特徴と違いがあります。
○リカレント
個人が主導の学び・教育機関などで学習する・仕事で必要なスキルを学ぶ
○リスキリング
企業が主導の学び・企業研修で実施・業務に必要な新しい知識を学ぶ
大学等で自主的に学ぶのがリカレント教育、企業が従業員等に研修を行うのがリスキリングと分けられます。
リカレント教育EXPO
今年の2〜3月に、リカレント教育EXPO2024が開催されました。
「社会人の“ 学びたい” と企業成長を引き出す産学連携のエコシステム創出を目指して」をテーマに、ハイブリットで行われたイベント。
大学等が提供するリカレント教育や、積極的に大学等を活用した人材育成の取組について先進的な知見を紹介し、企業の人材育成への活用に向けた意見交換などが行われました。
スキルアップのメリット
リカレント教育やリスキリングによって、自身のスキルアップをすることで、社会から求められる人材になり、企業の中でも長期的に活躍したり、フリーランスとして活動することも可能です。
しかし、学び直しが必要なことは分かっても、忙しい社会人にとって学習の途中で挫折してしまうこともあるでしょう。
学生時代のようにまとまった時間が取りにくくても、今はオンラインでスキマ時間に学ぶことができます。
目指す資格取得など、目標から逆算して1日5分・参考書1ページだけでも学習する習慣を身につけ、コツコツと行うようにするといいですね。
スキルアップのためのリカレント教育とリスキリングです。
「せっかく学んだのに仕事に生かせない」なんてことにならないよう、最初に学ぶ目的を明確にし、キャリアアップにつなげましょう。
学び直しの支援
厚生労働省では、リカレント教育に関するさまざまな支援制度を整えています。
要件を満たせば下記の給付金を受けることも可能なので、チェックしてみましょう。
●教育訓練給付金
働く人のスキルアップやキャリアアップへ向けた学びを支援する制度です。
厚生労働省が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の20%~70%の給付が受けられます。
対象は資格の取得を目的とした講座など、約14,000もの講座があります。オンラインや土日に受講できる講座もあるため、仕事と学び直しの両立がしやすいですね。
教育訓練給付金を受けるには、雇用保険の加入期間などの条件があります。
詳細は厚労省HPをご確認ください。
●公共職業訓練
公共職業訓練(ハロートレーニング)は、希望する職業への就業やキャリアアップに向け、必要なスキルや知識を学習できる制度です。
在職中・求職中の方を対象に、IT、理美容、製造など幅広い訓練コースがあります。
受講料は基本的にかからず託児サービス付の訓練もあり、子育て中の方でも利用しやすくなっています。
講座の詳細や受講の申込みはハローワークにお問い合わせください。
●高等職業訓練促進給付金
厚生労働省と自治体が、ひとり親の方を対象に経済的な自立や就業に向けて支援する制度です。20歳未満の子を扶養しているひとり親の方が、資格取得のために修業する際に月額最大14万円の給付金を受けられます。
都道府県の長が指定した資格が対象で、看護師や保育士などの国家資格が中心です。
支給要件の詳細は、厚生労働省のサイトからご確認ください。
大人の学び直しはいつでも可能
学び直しによって、時代にあわせた知識やスキルを身につけることができます。
学び直しの内容は多岐にわたるため、まずは今の仕事に関連するものや興味のある分野の知識を深めてみましょう。
忙しい社会人が学習を継続させるためには、下記の3つが大切です。
①目標を定める
②スキマ時間を活用する
③効率的に学ぶ環境を整える
大人の学び直しはいつからでもスタートできます。
難しく考えず背伸びしすぎず、まずは出来ることから始めてみてはいかがでしょうか。