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RB.03 | 乳幼児は鏡に映った自分をいつから自分と認識するのか

『乳幼児は世界をどう理解しているか: 実験で読みとく赤ちゃんと幼児の心』 外山 紀子 (著)、中島 伸子 (著)
発売日:2013/3/23

著者の外山先生は認知発達、知識獲得、素朴理論、概念発達、等々を専門に研究されている方です。KAKENサイトで研究論文のリストと概要や報告書が見れます。パッと見て、「離島におけるアロマザリングの総合的研究:守姉の風習を中心に」というフィールドワークの研究が面白そうだったので後で読みたいと思います(場所が分かりづらいですが、研究成果報告書の横のPDFボタンから見れます)。

書籍を読んで

>鏡に写った自己像の認識(ミラーテスト
鏡に写った自分を自分と認識できるのはいつからか?気づかれないように子どもの顔にペイントし、鏡を見て子どもがそのペイントに気づけるか(さわれるか)を調べた研究の話があります。15ヶ月児で約20%、21ヶ月児で約60%と、1歳過ぎた頃から気づける子が出てくるそうです。

吾子の場合、最近は鏡に写った僕と鏡越しに目線が合うようになりました。抱っこしている僕が鏡の中にもいるので、不思議そうな顔で振り返って僕の顔を見たりします。

それから手鏡で顔だけ映るように範囲を絞ると、映った自分の顔を他人と思って笑いかけたり、話しかけるように”あぁ、あー”などと声をだして笑っています。これからの反応の変化が楽しみです。

書籍の話にもどりますが、このミラーテストの話の後、撮影した映像をモニターに出して子どもに見せる話があるのですがそちらが非常に面白いです。リアルタイムで映像を出すと自己認識するのに、2秒遅れの映像を出すと自己認識できる割合が下がるのだそうです。

3歳時の場合、リアルタイムだと約80%の子が付けられたマークに気づく、2秒遅れの映像だと約40%の子しかマークに気づけない。わずか2秒ずらされるだけで、動作がずれるだけで自己認識が落ちる!?

一体感と言えばいいのか、身体性が自己認識と強く関連しているのかもしれません。ディープフェイクで顔だけ別人にすり替えた映像をリアルタイムで見せたら自己とご認識するのか、実験できるなら試したいものですね。

補足的にですが、youtubeにミラーテストの映像があったので載せておきます。


>素朴物理学についての話
素朴物理学とは、教育を受けたわけではなく、普段の生活から自分で学び取った物理法則を言います(例えば、ものを落としたら下に落ちるなど)。

例えば、走りながらボールを落とすと走っている方向にボールは落ちますが、図解を見せてボールがどう落ちるか予測させると、慣性の法則を高校で習った大学生でも半数近くの人が”真下に落ちる”と回答して間違うそうです。

深く考えられたことではなく単純に心の中にあるイメージ、これが素朴物理学、素朴理論です。本書では、乳幼児に地球のカタチについて質問した研究について記載があり、自分の子どもが3〜4歳になったら聞いてみようと思いました。

その他に興味深い話として、嘘をつくことや、そのために必要な能力である誤信念課題をクリアする話がありますので、興味を持たれた方は手にとってみてください。

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