#青ブラ文学部ベリーショート小説「港」
私は、よく眠れないことが多い。眠れない夜、父は決まって夜の海に連れてってくれる。港町に住んでるから、近くて連れて行くのが楽なのだろう。
父は海に行くと父はいつも「この夜の海の静けさ良いだろ」とこちらに共感を求めてくる。静かな海のどこが良いのかわからなかった。だって、入って遊ぶことのできる海の方がいいに決まってるじゃないか。そう思っていたので、それに対して返事はしなかった。よく眠れている日が続いたある日、父が「そうだ、お前今日早く寝ろ、明日早く起きるぞ」と言ってきた。何をするのかはわからなかったが、とりあえず父の言う通りにした。
翌日は4時30分に起こされた。父は「いいもの見せてやるよ」みたいな顔で「ついてこい」と言った。いつもの海へ行く道だ。と思っていたら、いつもは真っ直ぐ行く道を右にまがった。「道、間違えてるよ」そう言った。だが、父からは「合ってる」の一言だけが返ってきた。もしかして目的地は海じゃないのかなどと考えているうちに、父の足が止まった。ついたらしい。そこにあったのは高い建物だった。「これは灯台という建物だ。登ろう」父は言った。父に促されるまま、私は灯台を登った。登ってから、しばらくすると、父は「見ろ!!日の出だ!!」と興奮気味に言った。黒の海にオレンジ色が塗られていく。雲の綺麗さと相まって言葉では表せないほどに綺麗だった。父は「いいだろ、海」と言った。「うん!!」海の良さが少しだけわかった気がした。
了(613字)
ありがとうございました。今回参加した企画はこちらです。
締切ギリギリですみません、、、(現在2月4日23時39分)
ではまた!!
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