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【観劇レポート】劇団四季『ゴースト&レディ』 原作は先に読むか後に読むか

最後に原作を読んでから観た映画はいつだったか。逆に映画を観てから原作を読んだことはあっただろうか。

そんなことを劇団四季の公演『ゴースト&レディ』を観た帰り道に思い出しながら、いわゆる原作は先に読むか後に読むか問題について思いを馳せていました。ちなみに私は今回事前に原作を読まずに観劇しました。

『ゴースト&レディ』の原作は漫画雑誌「モーニング」で連載されていた『黒博物館 ゴースト アンド レディ』。なお、原作では「&」が「アンド」と表記されています。

劇場2Fロビーではパネルや藤田氏によるオリジナルアートの展示も。

原作者は『うしおととら』などの大ヒット作を生み出した藤田和日郎氏です。

『黒博物館 ゴースト アンド レディ 上 下』(著:藤田 和日郎)

同作は19世紀半ばのクリミア戦争を背景に、フローレンス・ナイチンゲール(フロー)と、イギリスのドルーリー・レーン王立劇場に棲みつく芝居好きなシアターゴースト「グレイ」が繰り広げる、愛と冒険の大活劇。といっても一筋縄ではいきません。

一人の女性が困難な道を切り拓いていく姿に、放送中の朝の連ドラ『虎に翼』を想起する方も多いのではないでしょうか。見どころやあらすじは下記の記事に詳しいので是非ご覧ください。

観劇後、宣伝統括部のメンバー4人で感想をあれこれと言い合いながら、劇場を出て浜松町の駅へと向かいました。見上げると夜空が。そしてライトアップされた東京タワーも見えてくると、どこか先ほどまでの舞台の雰囲気と相まって余韻に浸ることができました。

ややネタバレになりますが、劇の序盤に、フローが「私を殺してください!」とグレイに懇願するシーンがあります。

もちろんこれは史実ではなく、この物語の話ですが「私を殺して!」と言うほど、当時のフローは絶望を味わっていました。原作を読んでいた方はわかるのでしょうが、果たしてその理由は何なのか?  と私は気になりました。

その時のフローとグレイの会話でも絶望の理由に触れられていますが、感銘を受けたのは、そのあとのあるシーンでも見事に表現されていたこと。詳細は控えますが、一気にフローに感情移入してしまいました。

先に紹介した記事の中で、演出のスコット・シュワルツ氏は同作の魅力について語っています。

「本作のテーマの一つは、人間はどのようにして癒されるのか、人を癒すことができるのかということ。(中略) 原作漫画のファンの方にはもちろん、原作を知らない方でも、また、フローレンス・ナイチンゲールを知らない方でも、十分に楽しめるエンターテインメントとして作り上げたい、と思っています」

出典:『黒博物館 ゴースト アンド レディ』が劇団四季により舞台化! その見どころに迫る

シュワルツ氏が語るように、原作を読んでいない私でも十分に楽しめました。とはいうものの、観劇後、原作ではフローがどう描かれているのか気になった私は、翌日には原作も読んでいました。まだはっきりと残っている舞台の記憶を浮かべながら、舞台を作られた方々が原作を読んで、どのように舞台を作ろうとしたのかを考えたり。こうして2日続けてゴースト&レディの世界に浸ることができました。

たしかに原作は読まなくても作品は楽しめる。でも読んだら読んだで、より登場人物の心のうちを知ったり、「このマンガがこんなミュージカルになるのか!」などという発見や感動もある。

先に原作を読む利点は、まず自分の中でイメージを構築できることでしょうか? 逆に先に映画や舞台を観た場合は、そのビジュアルのイメージが強く残りそうです。

原作は先に読むか後に読むか。どちらがいいかは議論があるでしょう。どちらもアリではあります。ただ、観劇したあとに原作が気になるなら、それはとても良い作品なのではないかと思います。

ということで、もし舞台を見て原作が気になりましたら、是非原作もお読みください。もう一度『ゴースト&レディ』を楽しめるはずです。

最後に公演情報を。『ゴースト&レディ』JR東日本四季劇場[秋]の東京公演は2024年11月11日(月)まで。2025年5月には名古屋で、2025年冬には大阪で開幕が予定されています!


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