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税務実務気まぐれ日記 #13(税理士は法律の専門家なのか、会計の専門家なのか)

※この記事は約1,000文字の日記のため目次は入れていません。

 この前、税理士は法律の専門家なのか、それとも会計の専門家なのかという話で盛り上がった。結局その人によって異なるという結論に行き着いたのだが、自分が税務業務を行う中でどちらの側面が強いのかについて、せっかくなので綴ってみたい(税理士として活動しているわけではないため素人の意見と思って読んでいただけると幸いです)。

 税務業務には、日々の取引の記帳から決算書作成などを行う会計としての側面と、私法上の取引が税法の課税要件を満たしているか否かを検討するという法律家としての側面がある。そのため、会計の専門家なのか、法律の専門家なのかという疑問が生まれる(まぁ税務の専門家であると言われたらその通りだが)。

 この点、私は会計の専門家としての側面から税務業務を行っていると自負している。それは、会計士試験を通過し、監査法人を経て税務業務に携わるようになったからだと思う。
 したがって、会計士試験組が税理士として税務業務に携わるようになった場合は会計の専門家として、司法試験組が税理士として税務業務に携わるようになった場合は法律の専門家として捉えていると思われる。そうすると、税理士試験組や元税務署職員などはどうなのかということになるが、それは正直その人によると思う。ただ、概ね会計の専門家として考えているのではないだろうか。

 税理士試験には簿記論や財務諸表論がある。そのため、会計についてはそれなりに知見があると自負してる方が多いと思われる。一方で法律の専門家と胸を張っていうためには、税法と関係の深い会社法や民法の知識もそれなりに持っている必要があるとともに、法的思考力も有している必要がある。しかし、税理士試験には税法以外の法律科目はない。しかも試験制度も計算や理論の暗記が中心で、条文を引くという作業を受験生時代から頻繁に行なっていたわけではないであろうから、法律の専門家というには気が引けるのではないであろうか。もちろん、試験科目にあるなしに関係なく法律を独学で勉強してそれなりの専門性を身につけた方もいると思うので断言はできないのだが。

 つらつらと思ったことを書いてみたが、ネタとしては面白い一方、実務を行うにあたっては正直このような議論に意味はないと思っている。クライアントにより良いサービスを提供するためには、法律の専門家としての視点、会計の専門家としての視点の両方が必要になるからだ。そのため、会計士試験組だから会計の専門家と自らを決めつけるのではなく、司法試験組とも法律の観点から税務業務について議論をしても引けを劣らないぐらいの力を身につけられるよう励んでいきたい。

 それでは今日はこの辺で。

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