見出し画像

Fingertip spectacle! Draw a line. 作品解説Tips 4「指先の高度な技芸の世界へようこそ」


Fingertip spectacleは絵を描く時鑑賞する時考える時、想像する時指先の世界の価値をアートの世界、それとアートの世界の外にいる皆さんに伝えるために制作する絵画です。

絵画には制作者でなければわからない美しさがあります。
皆さんが歩くように。呼吸をするように。
皆さんが歩いている時には筋肉の動き、地面に触れる足、伝わる重さ、腕のフリ、背中の伸びを神経を伝って感じ取っています。それは他の人から見れば何にもわからない世界です。でも自分の中にははっきりとある無限の宇宙の世界。この世界の中で、脳が神経を伝って筋肉に指令を出し動作が成功すれば美しさを感じます。

この美しさの世界はアートの世界では詳細に語られずにきた世界。
なぜならば評論家にはこの世界は観えないからです。
そして画家がこれまで手について語ってこなかったのは適切な言葉を与えられてこなかったからです。
手の世界のことについて語れるようになって都合がいいのは絵を描く人です。
そしてそれは多くの評論家、学芸員、先生、コレクター、ギャラリストにとってはとても都合の悪いことでもあります。
絵は描くことが重要になる。

画家は手で筆を掴みます。例えば人差し指と親指でつまむように。その状況を細かく言えば、人差し指の先の骨である第2末節骨左側面の丁度親指の先が収まる窪みに、親指の先の骨の第1末節骨の先端を押し付ける。末節骨先端の表面は土筆のような形状をしており、クッションの役割を果たすとともに、指先に触れた情報をつぶさに拾えるよういなっている。つまむ際の圧力は主に親指の筋肉によって行う。その際に意識は指先のクッションの所に集中する。これまでの圧力のデータを総動員してベストな加減を導き出し実践する。

はじめて筆をつまむ際は、靴紐のように細い紐をつまんで引っ張ったり、ドアの鍵を開ける時のように日常で行っている動作と同じ神経、筋肉、脳の働きが応用できる。つまり、このつまみ方をする場合、日常生活の中で慣れ親しんでいる指先の使い方をそのまま応用することができる。
鍵穴に鍵を差し込む際は鍵の先端を穴に指し、どの程度の力で押し込みどのタイミングで鍵を回せば良いか体で覚えている。それがスムーズに行けば美しい

画家には脊髄反射的に身に着けた描き方がある。鍵穴に鍵を開けるように、何事もなく絵筆が色と形を描いていく。その繰り返しの美しさが技芸の世界ではとても重要なのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?