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マイホームは資産なのか

資産といわれたり負債と言われたりする人生で一番大きな買い物「マイホーム」。超低金利時代とはいえ、定番となっている住宅ローン35年縛りの結果、数百万円というお金を金利として支払うことになります。銀行にとっては数千万円を35年も貸して数百万円しか利益がないというのはなんとも生産性の低い話ですが、借りる側にとってはチャンスと言わんばかりに家を建てる人は一定数います。ここで大切なのは貸す側にとっても借りる側にとっても住宅が資産となるのかということです。

マイホームは結局○○

結論からいうと、戸建住宅資産ではなくなる可能性が非常に高いと言えます。基本的に新築から経年劣化していくわけなので、必然的に価値も下がる市場になっています。「住んだ瞬間に○○%減」なんて話ありますが、状況にもよるので、具体的な数字は避けますが、戸建住宅は木造であることが多く、マンションなどの鉄筋コンクリート(RC)造と比較して、法定耐用年数も半分ほどになっています。法定耐用年数が短いという事はそれだけ家の評価額が下がることになるので、固定資産税など評価額から算出される税金は毎年安くなりますが、同時に市場価値も減っていくことを忘れてはいけません。もちろん「評価額=実際の家の価値」というわけではありませんが、どうしても築年数によって相場も価値も目減りするのは否めません。

戸建住宅VSマンション

戸建住宅は土地を求める必要があります。当たり前ですが、建物、庭、駐車場、境界塀などの建設費用は全て施主持ちとなり、マンションと比較しても上物(土地以外)はどうしても高くなります。ということは、同じ予算だとしたら、土地に掛けられる費用が戸建住宅は圧倒的に低いということ。そうすると立地面で戸建住宅は郊外にせざるを得なく、地価が低い土地に住むことになります。一方マンションは価値推移や流動性を考えるので郊外に建つことは稀で、地方でも中心市街地にあることがほとんどです。同じ予算であれば立地的にはマンションに軍配が上がるでしょう。もちろん戸建住宅はマンションと比較して建物の広さ、庭付きなどマンションにはない魅力がありますが、一般的に資産的に有利なのはマンションと言えます。

結局資産になるかは○○次第

2020年現在の日本ではマイホームが資産になるか負債になるかは立地次第と言えます。新築至上主義と言われる日本では読んで字のごとく、新築に価値を置くため、一世代ごとに建て替えをしたり、買い替えをするのが当たり前のようになっています。一定以上経過した中古住宅は一般的にほぼ土地代のみで売買されるので、立地的に優位なマイホームの方が資産価値が高く、手放すことになっても現金化しやすい特徴があります。

法律上マイホームは資産

不動産売買や新築請負契約をする時の一時的な税金や所有している限り発生する税金は無視できません。賃貸の場合は家賃+共益費くらいで済みますが、所有となると取得する時の不動産取得税や登録免許税を始め、所有している限り固定資産税が発生します。また、契約をするだけで、消費税の他に印紙税も発生するので、マイホームは法律上は資産(贅沢品)と言えます。

マイホームを取得するといろんな経費が掛かる

「販売価格」や「坪単価」はあくまで土地・建物自体の価格であって、表示価格だけでは所有できません。土地+建物代の他に外構費用(戸建の場合)仲介手数料、融資手数料(融資の場合)、登記費用、税金、各種手数料、火災保険、冷暖房器具、家具家電、カーテンなど、住むまでは土地+建物の他に10%~15%の諸経費が掛かります。マイホームの場合、所有することではなく、暮らすことが目的ですから、この事を頭に入れてから本当に所有すべきか考える必要がありますよね。

メンテナンス費用を甘く見てはいけない

いくら立地が良い場所にマイホームを構えたとしても、所有者である以上、建物のメンテナンス費用が掛かることを忘れてはいけません。現金購入されている方は別として、住宅ローンで購入されている方は35年で借入することが多いかと思います。一方建物のメンテナンスは35年以内に何かしら確実にあると言ってもいいでしょう。戸建住宅であれば、外装(屋根・外壁)が15年から20年、水廻りが20年~25年、内装(壁紙や床)なども状況によってメンテナンスが必要です。特に水廻りは費用が掛かるので、住宅ローンを払いながらリフォームローンを組むということも考えられます。

資産という視点か、それ以外の何かか

マイホームは収入が発生するわけではなく、むしろ支出が掛かるのでそういいた視点でみると「資産」ではありません。でも、海外も含めこれから発展する土地を発展する前に購入し発展後に売却するなら「資産」と言えます。今回は資産かどうかという視点で見ていますが、人によってはマイホームに求めるのは資産価値だけではないはず。家族が安心して暮らせる場所、居て落ち着ける場所などお金以外の部分に価値を見出す方もたくさんいます。ただ、忘れてはいけないのは家を所有するという事は前述のような費用が掛かるという事です。人生で一番大きな買い物で、家族全員の意見が一致して初めて購入に至るという買い物の中では極めて稀な部類に入る商品と言えます。だからこそしっかり理解した上で判断したいですね。

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