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お金のことを知らない僕たち

大人であれば毎日いろんな角度から触れているお金。仕事をする時も、遊ぶ時も、旅行に行く時も基本お金を中心に物事を進めたり判断します。お金を得るための職業や資格に関することは皆一生懸命勉強しますが、肝心のお金について学ぶ機会は本当に少なく、自ら学ぼうとしない限り永遠にお金は身近なようで遠い存在となります。

本当にお金のことを知らない

社会に出れば毎日お金と付き合うのに、日本教育でお金に関する学びは一切ありません。資本主義社会上、必要な知識を生まれてから人生の4分の1を過ごす成長期に一度も学ぶ機会がないのだから、冷静に考えると不思議な教育システムです。世界で活躍できる人材を育てるなら、お金というものを幼少期からしっかり教えるべきです。学校では教えないことなので、結果として職場でも友達同士でも家族間でも「お金の話はしてはいけないもの」という価値観が刷り込まれてしまい、身内であればあるほどクローズな情報となってしまいます。

お金のことを知らないと使い方も知らない

お金の正体を知らない僕たちは、当然お金の性質も知りません。というより真剣に考える機会すらなかったかもしれない。知らないと何が起こるかと言うと、お金の使い方も下手くそだということです。「生き金」と「死に金」の区分けも知らないので、使っているものが「浪費」なのか「消費」なのか「投資」なのかも意識することなく、我流でお金を使っています。むしろ浪費や消費の他には「貯金」という選択肢しかなく、一生増えることのない使い方をしている方がほとんどかもしれません。

貯めても貯めても不安が消えない

老後の平均支出額を考えると1億円必要と言われています。厚生労働省の千金制度基礎調査によると世帯ごとの1ヵ月の平均支出額は年代によって様々ですが、平成28年度調べで退職直後の平均支出額は27.5万円。わかりやすく28万円/月としましょう。平均寿命は平成29年度厚生労働省調べで男性81歳、女性87歳となっており、今後も医療技術の発達などで90歳まで伸びると仮定し、60歳定年後は30年も生活することになります。年金制度もありますが、今後は年金に頼ることもできないので、自己資金で30年を過ごすことをシミュレーションをしてみましょう。

28万円×12か月=336万円
336万円×30年=1億80万円

あくまで単純計算ですし、一般的な支出額と寿命をもとに計算したので、これより少ない方もいるでしょうし、多い方もいるでしょう。この支出に対し、60歳代の平均貯蓄額は金融広報中央委員会が公表している「平成30年(2018年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」1,849万円。これを30年で割ると5万円/月にしかなりません。実際の支出28万円との差額はなんと23万円にもなります。この差額が見えない不安の正体です。2020年現在ではこの平均貯蓄に退職金と年金の収入があるため、多くの世帯がやりくりできていますが、平均年収の減少と長寿命化によって社会保障制度の圧迫は今後避けられない側面と、終身雇用制度の崩壊により、退職金も十分に期待できないことから、貯蓄額と年金は減少の一途を辿ります。結論として、今までの方法で老後に備えてしまうと、逃げ切り世代と言われる団塊ジュニア世代以降の一般的なサラリーマンの収入と貯蓄だけでは生活できない現実が明確になっています。老後を過ごすための戦略は大きく変わるという事です。

それでも今までの方法から抜けられない

あくまで平均ではありますが、数字で見ていくと老後は安泰ではないにも関わらず、多くの人たちは今まで通り、1つの企業に勤めて、貯金をして、結婚して、マイホームを買っています。この王道ルートの先にあるものに気づいている人は既に対策を講じているか、ルートから外れる勇気を持って行動しています。会社の上司や両親などの逃げ切り世代のアドバイスは自分たちの世代にとっては正解かもしれないけど、逃げられない世代にとっては迷惑以外の何物でもありません。「一つの会社でまず頑張ってみなさい」「出世目指して」「貯金しておけ」どれを真面目にやっても報われることはないのですから。

お金の増やし方を知らない

1970年代の成長期には金利8%超という今考えると恐ろしい時代がありました。仮に8%だとして預けた金額が10年で2倍になります。

複利シミュレーション

何もしなくても「貯金さえしておけばお金が貯まる時代」だったのです。それが貯金神話を築いたと言っても過言ではありません。今では定期でも利息は雀の涙。「貯金をしろ、借金はするな」というのは、この高金利時代に根付いた文化と言えるでしょう。今同じ方法を取っても全く貯金は増えませんし、むしろ為替状況や物価状況などより円の価値が減ってしまうと、貯蓄した金額の価値も減ってしまいます。ではどうすればいいかという事も一部の識者を除いて大半の人は増やし方を知りません。

お金について学ぶ機会をつくる

お金は人生の目的ではないにしても、とても大事なマストアイテムです。経済成長期は真面目に働き金融機関に貯蓄しておけば、社会保障と合わせて人生を謳歌できましたが、現代を生きる40代以下に同じ手法は通用しないことは明確です。誰も教えてくれないからと嘆いている場合でもなく、自ら学ぶ姿勢と実践が必要です。「お金の勉強」というと少し怪しげに思うかもしれませんが、学ぶ文化がないから聞きなれないだけで、これから生きていく上でお金の知識は必須と言えるでしょう。

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