安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長
プライドが邪魔をして軌道修正できない人はリーダー失格である
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プライドが邪魔をして軌道修正できない人はリーダー失格である

安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長

リーダーの大切な仕事に「決断」があります。

そして決断したことを実行するため、ルールにもとづいて組織を動かすのがリーダーの役割です。

私がこのようにお伝えすると、こんなイメージを持つ人が多くいます。

ピラミッド型組織。上意下達。一度決めたことはとことんやり抜く。「独裁」だったり「軍隊」のようなイメージを抱かれる方もいます。

しかし私は、それでは真に「勝てる組織」にはならないと考えます。

どういうことか。

「決断」と同じように大切なのが「軌道修正」です。

リーダーは「違う」と判断したら、軌道修正することが大切です。部下からきちっと情報を収集して、自分が過去にした決断でも「変えるべきだ」と思ったら、躊躇なく変えなければいけません。

個人向けビジネススクールが大ゴケ

私も軌道修正をすることはよくあります。

識学の上場直後くらいのタイミングで「個人向けビジネススクール」を始めたことがあります。

私たちの事業は基本的には「法人向け」です。しかしそのときは「上場したことだし、個人向けのビジネススクールをやればうまくいくんじゃないか?」と思ったのです。

それから数ヶ月、ビジネススクール事業に力を入れ、広告宣伝費もじゃんじゃん使って、進めていきました。

結果から言うと、これがぜんぜんうまくいかなかったのです。

どうにも部下から上がってくる数字が芳しくない。「うーん、これはちょっとタイミングをミスったな…」と思って、事業を大幅に縮小させました。

私たちの会社の目的は「識学を広めること」です。

だからそのための「手段」が間違っていたと思った場合は、潔く撤退するべきなのです。しかしダメなリーダーほど「一度始めたのだから、なんとしても成功させる」となってしまう。

ここに罠があります。

「プライド」よりも「会社の利益」

ポイントは「己のプライド」より「会社の利益」を優先させることです。

「そんなのあたりまえじゃないか」と思われるかもしれませんが、ここで自分の気持ちが前に出てしまうリーダーは意外と多くいます。

「自分の間違いを認めたくない」「カッコ悪いところを部下に見られるのがイヤだ」という気持ちが勝ってしまうのでしょう。

会社の成長にとって間違った判断をしたのであれば、すぐに修正することです。早く修正できれば、そのぶん会社にとって利益になります。

そこで私情が勝ってしまうのは「リーダー失格」と言っても過言ではありません。

もちろん戦略的に「ねばることが必要だ」という判断をしたのであれば問題ありません。「もっと踏み込めばうまくいく」という判断であれば続ける道もある。

しかし「社長のオレが肝煎りでやった事業がコケるのは恥ずかしい」という理由で続けるのは完全に間違いだということです。

気を使わずに上司にモノを言える会社は強い

プライドが勝ってしまうリーダーに対しては、だんだん下の人も意見を言わなくなっていきます。

全員が「絶対この企画スベるよな」と思っているのに、リーダーに忖度して言わない。リーダーも「言い出しっぺ」だから止められず赤字を垂れ流す……。

そんな組織は地獄を見ます。

私の会社では、現場の情報を聞いて「うまくいかない」とわかった時点で止めます。ビジネススクール事業は完全に私が責任者だったので、すぐにストップをかけました。

上司や幹部に対してでも気を使わずにモノが言える。

これは私の会社の強みです。社長である私に対しても、事実なら気を使わずに報告してきます。

部下たちも言い方に気をつけたり、上の人への「配慮」はあるかもしれません。でもそんなことより、自分の責務を果たすことのほうが重要です。自分の身が危ないからです。

うちの会社では数字などの「事実」を大切にしています。事実でしか評価されないことがわかっているから、余計な気は使わないのです。

忖度などしている場合ではないのです。

まず計画を立てる。修正はそれから

「軌道修正が大切だ」という話をすると「じゃあ、計画は立てなくていいんですか?」と聞かれることもあります。

しかし、計画は必要です。

うちでも「5年後、10年後、どれくらいの規模にする」などの将来のビジョンは私がハッキリと決めています。

ただ「どれくらいのスピードでいくか」の設定が終わっているのは、この3年間だけです。それ以降どういうスピードでいくかは、この3年を見ながら決めていきます。

こんなご時世ですし、将来どうなるかはわかりません。来年再来年の市場の状況もわからない。だから「計画が立てにくい」ということは当然あるでしょう。

でも「計画を立てて、修正する」ということが大切なのです。どんな状況であってもです。

まず明確な計画を立て、それに向かって全力で進める。そのなかで修正すべきところが見つかったら、その時点で迅速に軌道修正する。

この繰り返しが大切なのです。

「不退転の覚悟」ほどアホなことはない

日本では「不退転の覚悟」が美徳のように言われます。

でも、こんなアホなことはありません。

「1度決めたら突き進む」というのはカッコよく聞こえるかもしれませんが、これほど前提条件がコロコロ変わる時代においては「手段の目的化」になりかねない。

本来の目的を見失ってしまい「自分が決めたことをやりきることが目的」になってしまってはいけないのです。

ダメなリーダーほど、自分の間違いを認めません。

一度決めて、それを前提に動き始めたら、変えられない。「間違っていたと認めることで、まわりからバカにされるんじゃないか」「評判が下がるんじゃないか」と思ってしまうのです。

しかし強がっているリーダーほど、実は弱いのです。「これは間違っていた」と認められるリーダーこそ、強い。

私はそう思います。


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安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長
組織マネジメントの専門家。早稲田大学卒業後、NTTドコモ入社。2006年にジェイコムホールディングス入社。主要子会社のジェイコムでは取締役営業副本部長などを歴任。2015年、株式会社識学を設立。業績アップの成果が口コミ等で広がり、コンサルティング実績は1100社超に。