僕は田舎出身で、あんまり地元が好きじゃないです。
僕は田舎出身で、あんまり地元が好きじゃないです。
・他人の噂話が5Gより早く広まる
・夏が近くなると自転車を漕ぐだけで目に虫が入る
・モグラの鳴き声が夜な夜な五月蝿い
・知らないおじいさんが致死量の無洗米を渡してくる
・遊ぶ場所が家しかなくて、愛のない性行為が高校生から流行する
嫌なところはキリがないくらいあげられます。
都内から遊びにくる友達の「空気がいいな」は
原子レベルの話で、
住んでる僕は「空気悪いな」と15年間思い続けて、
ようやく一年半前に上京しました。
僕は律儀なので、年に一度開催される中学のクラス同窓会には必ず参加してます。
地元はあんまり好きじゃなくても、友達は好きなのが厄介です。
ネギ畑の匂いが染み付いた作業服を着る、
ドカタの友人は、酔っ払うと僕の肩を掴んで「ここがやっぱ俺らの場所なんよね。」と笑いながら言ってきます。
友人が熱く語る俺らの場所は、
晴れて君らの場所になりました。
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こんなにごちゃごちゃ言ってるけど、
「あんまり好きじゃない」のに
「嫌い」にはなれないのが地元だったりします。
上京したての頃は呪いから逃れた開放感を得ていたけど、最近はたまに、あの「あんまり好きじゃない」地元を思い出して懐かしくなります。
・往年のエロ本が眠る河川敷。
・"チーズラーメン"がプチバズりした高架下のラーメン屋。
・中学時代に付き合っていた彼女と毎週遊びに行ったイトーヨーカドー。
・ドリンクがタダでもらえる家からチャリで40分のイタメシ屋。
・ほとんど誰にも使われていない無法地帯の野球場。
・ネオンに光る無料案内所が目玉スポットの繁華街
地味で、滑稽で、飾りっ気のない。
ドンキのサンダルと一昨日からずっと洗ってないロンTでコンビニに行ける等身大の地元。
背伸びしなくていい地元。
奇抜な髪とオシャレな柄シャツが悪目立ちする地元。
ああ、あんまり、好きじゃないな。
頑張ってる僕のことを、真っ向から
頑張らなくても生きられるよ、と教えてくれる
あのつまらない地元が、僕はあんまり好きじゃないです。
でも、
どうかあの、あんまり好きじゃない地元が
これからもあんまり好きじゃない地元のままで
いつまでもそこにありますように。
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