こーさん

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エモい感じで別れたかった。

西武池袋線練馬駅から徒歩27分のアクセス最悪な場所に、 6畳一間、風呂トイレ一緒のオンボロな天国がありました。 天国には目がくりっとした小動物みたいな可愛い女の子が1人で生活しています。 僕は仕事帰りにほぼ毎日、天国に帰っていました。 今はもうただいまが言えない、「元カノ」の家。 月給15万の彼女は、小さな幸せを見つける天才でした。 冷蔵庫から放たれる異臭を嗅ぐことも、 ちっこいサボテンに愛情を注ぐことも、 ガムテープだらけの壁を眺めることも、 敷布団に身を寄せ合って寝

    • 僕は田舎出身で、あんまり地元が好きじゃないです。

      僕は田舎出身で、あんまり地元が好きじゃないです。 ・他人の噂話が5Gより早く広まる ・夏が近くなると自転車を漕ぐだけで目に虫が入る ・モグラの鳴き声が夜な夜な五月蝿い ・知らないおじいさんが致死量の無洗米を渡してくる ・遊ぶ場所が家しかなくて、愛のない性行為が高校生から流行する 嫌なところはキリがないくらいあげられます。 都内から遊びにくる友達の「空気がいいな」は 原子レベルの話で、 住んでる僕は「空気悪いな」と15年間思い続けて、 ようやく一年半前に上京しました。 僕

      • ジャックと壁と木

        むかしむかし、とある東の国に ジャックという青年がおりました。 ジャックは毎晩、お金をかせぐために街でバーテンダーの仕事をしていました。 ある日、ジャックがバーではたらいていると、初老のお客さまが大きな豆を差し出しました。 「ジャックや、この豆をおぬしにあげよう。いつか大切なものを見つける役に立つじゃろう。そのときがきたらば、土に植えてみなさい。」 ジャックが初老のお客さまの手から豆を受け取ろうとすると、初老のお客さまは「ただし」と付け加えました。 「この豆をあげる代わり

      エモい感じで別れたかった。