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大雅と蕪村とわたしと名古屋 :1

 昨日で暦が切り替わって、11月。あとふた月ほどで年が暮れる。
 つい先日まで半袖着用だったこともあってか、時間の流れがとみに早く感じられるものである。
 もう11月ということは、首を長くして待ちわびていた名古屋市博物館の特別展「大雅と蕪村―文人画の大成者」の開会が、いよいよ近づいてきたわけだ。落ち着いてなどいられようか。

 12月4日からスタートするこの展覧会については、早い段階から公式サイトに綿密な章立てと各章のコンセプトが上がっていた。
 理詰めで構成を組み立てつつ、有名どころの名品が押さえられている。また、その館で開催する意義についても十分な理由づけがしっかり述べられている。期待しかない。
 この展覧会、なにを記念したものかというと……「●市制●周年記念」だとか「開館●周年記念」といったありがちな周年事業ではけっしてない。
 「『十便十宜図』誕生から250年」とのこと。
 この時点ですでに、ちょっとマニアック。いいじゃないか。

 池大雅と与謝蕪村の合作画帖、言わずと知れた国宝《十便十宜図》を所蔵するのは鎌倉の川端康成記念会。
 現在、東海地方とは縁が切れてしまっているが、この画帖、もとは東海道五十三次の鳴海宿(現在の名古屋市内)にいた豪商・下郷家の注文により制作された説が有力だという。そのあたりの背景に1章分を割く。そして周辺に大雅と蕪村の代表作を網羅し、名古屋出身の彭城百川、丹羽嘉言で前後をサンド。なんと美しい構成か。
 文人画の流れを語るうえで欠かせず、なにより同じく名古屋の出である中林竹洞や山本梅逸については、いまのところ言及がない。いつかまた別の機会に大々的に取り上げようということだろう。それくらい大きな存在でもある。
 竹洞は個人的にいいなと思っている画家なので、その「いつか」に期待したい。

 その前に、まずは超大物「大雅と蕪村」から。ほんとうに楽しみである。(つづく

※行ってきました


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