讃岐の誘惑:5
(承前)
「四国遍路」「うどん」「アートとデザイン」「瀬戸内海」。これら4つのポイントを余すところなく押さえるには、3泊は必要だ。行きは東京駅を22時ちょうどに出るサンライズ瀬戸を利用して、午前中の時間を有効に使いたいところ。幸いにして、栗林公園やうどん屋は朝早くから開いている……のだが、実際に訪れるのはだいぶ先の話になりそうだ。
というのも、これからしばらくのあいだ、観たいものががさほど観られなくなってしまうと思われるからである。
イサム・ノグチには、大回顧展「イサム・ノグチ 発見の道」(東京都美術館)が控えている。4月末から8月いっぱいの長期間開催されるこの展覧会には、イサム・ノグチ庭園美術館から主要な作品が20点ほど貸し出されるという。つまり、これから現地に足を運んでも、本来の同館の姿を見ることは叶わないのだ。
さらに、栗林公園の中にある讃岐民芸館は改修工事中で、当面の間休館中。
どうせ行くのならば万全を期したい。状況が整ってから、瀬戸内海を渡るのがよいのだろう。小柳ルミ子の『瀬戸の花嫁』でも口ずさみながら、その時を気長に待つとしよう。
※大学4年の夏の旅行では、金刀比羅宮に参詣してから高松駅前で宿を探し、やっとこさ見つけたネットカフェで苦い地ビールを飲みほし、硬いマットレスの上で丸くなって眠った。翌朝、眠い目をこすって適当なうどん屋に入ってうどんをすすり、観音寺で銭形の砂浜を見てから愛媛県へと抜けたのだった。
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