生誕120年 没後60年 小津安二郎展:4 /神奈川近代文学館
(承前)
小津作品の登場人物には「喜八もの」に描かれるような最底辺の庶民もいるけれど、ブルジョワや、医師、大学教授、会社の重役といった職にある良家の人びとがより目立つ。
彼らの会話のなかには、一定以上の裕福さや知的教養の高さを物語るために、文学や音楽、美術などの文化的な話題がしばしば織り込まれる。
『戸田家の兄妹』では、遺産相続をめぐる親族の話し合いのさなか、名士だった父が遺した書画骨董の目録を読み上げるシーンがある。作品名と作者を書き出してみたい。
「なかにはだ