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一人で東南アジアに行った話(アユタヤの狂犬)

前回の話の続きです。これで終わりです。

最終日はアユタヤに行くことにした。カンボジアからタイまでのバスで知り合った岩井くんと松坂くんもその日はアユタヤに行くと言っていたので、一緒に行くことになった。

バンコクからアユタヤまではバスで行き、アユタヤでは自転車を借りて遺跡群を周った。

アユタヤは1351年から1767年までアユタヤ王朝の都としてタイの中心だった都市だ。めちゃ広い。

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エンタメ用に鍛え上げられた像に乗ったりもした。降りるときに像にチップを渡してと言われ、紙幣を渡したら像が鼻で受け取った。少しプライドが傷ついた。

昼ごろになりお昼ごはんでも食べようかということになり、川沿いの適当なお店に入って見たことのない切り方のきゅうりが添えられたよくわからないチャーハンを食べた。

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さあ続きを見に行こうかと自転車にまたがり2km程走ったところで、事件が起きた。

松坂くんが携帯が無いと言い出したのだ。

「さっきのお店に置いてきたんだと思う!ここで待ってて!」と言って、松坂くんは来た道を引き返した。暑くて面倒だったのでここは待つことにした。

15分ほど岩井くんと待っていたら、松坂くんが焦燥しきった顔で戻ってきた。

「やばい!携帯なかった!あと、犬に噛まれた!」

踏んだり蹴ったりとはこのことだ。海外で携帯を失くすなんて本当に最悪だし、タイの犬に噛まれるってなんかよくわかんないけどめちゃくちゃヤバそう。

それから松坂くんは岩井くんの携帯を借りて家族に連絡したり、私たちも松坂くんに付き合って警察に行ったりした。言葉の壁もあり、なかなかスムーズに手続きも進まず何時間もかかり、私たちはただ横で見守っていた。結局、午後何も見ずに終わった。携帯ないから松坂くん置いてどこにもいけないし。

何度か「私、観光してきていい?」と聞きたくなったが、国境で助けてもらったご恩があるので流石に黙っておいた。

結局、携帯は見つからなかった。幸いにも二人はその日の夜に帰国する予定だったので、乗り換えの沖縄で狂犬病ワクチンの1回目を打ったそうだ。よかったね。

◇ 

二人と解散した一人旅最後の夜、どっと疲れが押し寄せてきた。折角だから本場のタイ古式マッサージをもう一回受けようと、宿の目の前にあったマッサージ店へ行くことにした。前の日の昼間に行ったお店よりも少し割高だったが、夜も遅かったのでそんなものかと入店した。

店内は薄暗くて、カーテンに仕切られている席があった。スタッフのお姉さんはお店に入ってきた私を見て舌打ちをした。タイで舌打ちってどんな意味なんだろうな〜と考えながら席に座ると、カーテンの奥からマッサージが終わった男の人が出てきた。チップを渡したあと、少しの時間見つめ合っていた。そこで私はこのお店がマッサージをしながらエッチなことをしてくれる、むしろそれが主な収入源のお店なのかもしれないということに気づいた。それからすぐに「ノーセンキュー、ソーリー、グッバイ、ワハハ」と伝えてお店を出た。お姉さんはもう一度私に舌打ちをした。これがタイでの最後の思い出だ。

これで私の一人旅の話は終わりです。

合計10日間の旅行だった。今回は一人旅だったけれど一人で全て解決できたわけじゃなくて、ここに書ききれないくらい色んな人に出会って沢山助けてもらった。私が五体満足で日本に帰って来られたのはその人たちのおかげだ。感謝してもしきれない。躊躇わずに行って本当に、本当によかったと思える経験ばかりだった。でももう行かないと思う。暑いから。暑いの嫌いなので。

長い間、ご清聴ありがとうございました。



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